第六話:訓練の日々
父ルイスにお願いをして、魔法の訓練が始まってから、三年と少しが経った。
この世界での自分は、もうすぐ五歳になる。
ちなみに、この世界には正確な太陽暦があった。中世という時代を加味すると少し意外だった。だが、空を見上げれば納得もいく。なにせこの世界の空には太陽が二つある。あんなものを毎日見ていたら、さすがに天動説は無理がある。
一年は441日。一か月は大体37日で、一週間は九日らしい。そして、休日なんて概念は存在しない。
まあ、そんなことよりも今の自分にとって大事なのは、暦より魔法の訓練だ。
父ルイスとの訓練は、はっきり言って厳しい。普段は母エリスにべたべたしているくせに、訓練になると急に別人みたいな顔をするのだ。容赦がない。走らされるし、転ばされるし、泣いても手加減はしない。命が掛かった訓練だから、真面目なのかもね。
ただ、その訓練のおかげで分かったこともある。
生まれた時から、自分は魔素を感じることができていた。体の中を流れるそれを動かすことも、外へ押し出すことも、一応はできていた。なのに魔法は出なかった。霧ひとつ作れなかった。
なぜか?
その答えが分かったのは、訓練を始めてすぐのことだった。
「もう一度だ、パウル」
庭の朝露を踏みながら、父ルイスが腕を組んで立っている。隣には姉のマリー。こっちはこっちで、いかにも余裕そうな顔をしている。
「ちゃんとイメージしてますよ」
と言い訳を言いつつ、手のひらに魔素を集めて集中する。
「イメージしているだけでは足りない」
父はそう言って、自分の額を指で軽くつついた。
「パウル、魔素をそのまま移動させても、なにもできないぞ。まず処理だ。魔素を整える。」
「...どういうことですか?」
「霧なら霧だ。水なら水、火なら火。それぞれ作り方が違う」
最初にそれを聞いた時、自分は少し拍子抜けした。もっとこう、異世界ファンタジーらしく「強く念じればどうにかなる」みたいな話かと思っていたのだ。だが違った。全然違う。
魔素は、思っただけでは魔法にならない。
事前準備が必要なのだ。スマホを使うためには、ロックを解除するのと一緒だろう。絵を描く前にキャンバスを張るようなもの、と考えると分かりやすかった。
「マリー、見せてやれ」
「はーい。見てなさいよ?パウル。」
姉は軽く返事をすると、右手を上げた。空気の中の魔素が、彼女の指先の周囲で一瞬だけ静かに整う気配がした。次の瞬間、白い靄がふわりと生まれる。薄く、均一で、朝によく見るあの霧だ。
「なんでそんな簡単そうに出せるの?」
「慣れよ、慣れ。整えた後は、朝の空気をそのまま思い出せばいいの。」
「雑だなぁ」
ちょっと愚痴がでる。マリーは教師には向いてなさそうだ。
「でも私の手から霧は出てるでしょ?」
マリーが首をかしげてさも当たり前のような顔をする。
「その通りで。」
ルイスは苦笑していた。あの苦笑いの感じ、エリスも最初は苦戦してたんだろうな。
もう一度、集中して、自分もやってみる。姉や父が霧を発動させる際に魔力を整えるあの感じを思い出す。魔素を集める。流れを整える。あの感覚を、頭ではなく体でなぞる。そうしてようやく、霧というイメージを乗せる。
...成功だ。超薄いモヤだけど。霧と言うには無理があるな、うん。
「ちょっと薄いな。それでも、すごいぞ、パウル!正直もう数日は掛かると思ったんだけどな。」
とルイスが元気よく言ってくれる。
この時になって、ようやく自分は魔法発動の流れを理解した。今まで自分は、魔素そのものに直接イメージを押し付けようとしていたのだ。無理である。油絵の具を家の床板に塗って「名画が描けません」って言っているようなものだ。
まずは魔素をイメージを受け入れられる形に整える必要があるようだ。その上でイメージ。
必要なのはこの順番だった。一週間ぐらい続けて、ルイスのように身の周りを霧で覆うぐらいはできるようになった。当然、その後も魔法訓練は続けた。
ルイスは庭にいる時も、外へ出る時も、必ず霧を纏っている。マリーも同じだ。当然、自分も庭にいる間や村を歩く際は、ずっと霧の練習をさせられた。
庭で遊ぶ時も霧。走る時も霧。転んでも霧。正直ちょっと頭がおかしい。というか視界として見づらいのだ。それに、ルイスもマリーも二人とも、視界確保のために風の魔法を時々使ったりしてるし、不便じゃないのだろうか?絶対不便だと思うんだけど...。
ちなみに、「家の中だとカビが生えるからやめなさい」と母エリスに言われて家では霧の魔法は禁止らしい。
霧の魔法は何日も何十日も続けるうちに確かに発動は滑らかになっていった。最初は一回ごとに息を詰めるみたいに集中していたのが、やがて指を動かすくらいの感覚でできるように。
この「無意識で使えるようになるまで繰り返す」というのが、この家の訓練方針らしい。
...もしくは、そこまでしなくてはいけない程に、レーザー魔法で魔術師が殺されたのか。
霧の次に習ったのは、水だった。これがまた、霧とは勝手が違った。
「水は、霧よりずっと魔力を使うぞ」
ルイスはそう言って、庭に置いた木桶を指差した。
「同じように見えても、やることが違う。霧は空気に近い。だが水は、もっとはっきり形を持つ」
「つまり整え方も違うってことですか?」
「そうだ」
ルイスが頷く。
水魔法の訓練は、霧より難しかった。形がはっきりしているぶん、イメージの曖昧さが誤魔化せないのだ。しかも、少しでも不安定だと、すぐに水の生成が失敗する。出たと思ったら、ぼたぼたと落ちて終わり。
けれど、挑戦してみて分かったが、消費魔力は霧の魔法に比べると次元が違った。正直霧の魔法はマリーや自分が外に居る時使っても、そんなに凄い魔力消費はなかった。一時間の外出中に体内の魔素の1割も使ってないと思う。だけど、水の生成には大量の魔力を使う。
ある朝、ルイスとマリーの水を配りに付いて行ったことがある。
村人たちは桶や瓶を持って待っている。そこへルイスやマリーが水を生成して渡すのだ。礼を言われ、代わりに野菜や干し肉や時には硬貨を受け取る。付いて行って初めて分かったことがある。
村人の中にも、少しなら水魔法を使える者はいるらしい。だが、魔力がまるで足りないのだ。コップ一杯分にも満たない量しか生成できない人も多い。一家が数日飲むために必要な分となると話が違う。
「村の人たちって、優しいけど、いつも魔法が粗いのよね」
帰り道、マリーが言った。ルイスも頷く。
「それに、村の皆は体内の魔力もそんなに多くない。大気中の魔素を使ってもいいが、前処理が甘いと効率が悪いから、結局、少量しか作れない。」
つまり、水を「無から生成する」というのは、それだけでかなり負荷が大きいらしい。
自分も試しに小さな桶いっぱいの水を作っただけで、思った以上に疲れたし、魔力が空になってしまった。霧とは比べものにならない。水は身近なものだし、ただの液体だから簡単そうに思える。だが、それは現代文明で蛇口をひねれば出てくるからそう思うだけだ。無から作るとなれば、全然話が違う。
この世界で、ルイスとマリーが朝から村を回って水を配っているのは、親切心だけではない。もちろん善意もあるだろうが、それ以上に、あれは技術と魔力量がないとできない仕事なのだ。
そう考えると、いつも昼前にはくたくたになって帰ってくる理由も分かった。
自分も四歳になった日から手伝いに加わった。少しでも父の負担を減らせば、そのぶん訓練に時間を回せるからだ。
ちなみに、大気中から水蒸気を集めるという形で水を生成する時は魔力消費が劇的に減った。とは言え、大気中から集めるといっても大気中にある水蒸気を集めても、大きな桶に半分溜まるかどうかと言ったところで、大気中の水分がほとんどなくなってしまう。もちろん、時間が経てば、水蒸気も戻ってくるが、村中の人たちの水を確保するには、やっぱり厳しい。特に冬場は気温が低いので大気中から集めようにも、空気中の水が殆どない。夏に大気中から集めても精々一家族分だ。よって、この裏技みたいな方法も焼け石に水だった。無理くり魔素を消費して、水を生成してようやく必要な水分量だ。
とはいっても作ってあげるのは飲むための水だけだから、そんな膨大じゃないんだけどね。
そんな水の魔法の次に、火、土、風と順々に習った。それぞれの魔法タイプごとに、魔素をイメージになじませるための前処理が違ったので大変だった。それに火の魔法は扱い注意だし。
一通り学んだある日、火の魔法に関して気になったことがあったので、実験をしてみることにしたのだ。
気になったことは、火の魔法で生成された火は酸素を消費するのか?という点だ。
ということで、土の魔法で、地面から、土の器と蓋を作る。器の中に適当に枯葉を入れておく。火の魔法で作った後に燃え続けてもらうためだ。
蓋をしないで火を出してみる。
当然だけど燃え続ける。では、蓋をしたら?
蓋を閉じて暫く待って開けてみる。消えている。やはり火は酸素を燃やしているようだ。
そのあとも簡単な実験をつづけた。
例えば、酸素が消えた中火の魔法を使えば火は燃え続けるのか?という実験だ。
結論から言うと火を閉じた器の中にも維持させることはできた。ただ、大気中で火の魔法を使う時よりもずっと魔力を使った。まあ、酸素という可燃物による補助がないから当たり前だ。枯葉もなくしてもう一度閉じてから、火の魔法で火を容器の中に付けると、もっと多くの魔力を消費する。
どうも、火の魔法は、「燃焼現象を作る」こと自体はできる。だが、その先を現実に任せられない場合、魔力で無理やり支え続けることになるのだ。
燃える物がある。空気がある。そうすると、熱が続く。
そういう条件が揃っていれば、魔法は少ない力で済む。逆に、物理的に無理のある状態を押し通そうとすると、消費が跳ね上がる。
要するにこの世界の魔法は、何でもありではない。
現実に近いほど安く済み、現実から外れるほど高くつく。
夢がないと言えば夢がないが、魔素を消費して夢を買っているということだろう。そもそも酸素や可燃物もない中、燃焼状態の火を作り出せるのが意味不明だしな。
ちなみに、風と土の魔法は、火や水に比べると分かりやすかった。どちらも基本は、「すでにあるものを動かす」ことが多い魔法だからだ。風魔法で空気の流れを操り、土魔法は地面を操作する。
もちろん簡単と言っても、訓練しているのは幼児である自分だ。失敗はするし、威力もたかが知れている。だが、水みたいに一から作る感じではない分、確かに消費は遥かに軽かった。
「土と風は基礎では使いやすい」
とルイス。
「実戦でも便利だ。風は目つぶしにもなるし、土は壁にもなる」
実に物騒な教育である。ただ、土魔法を習っている時に、少し妙なことも分かった。
土を動かすのはいい。盛り上げるのも、穴を掘るのも、壁を作るのもできる。地面から即席の椅子くらいはすぐ作れる(座り心地は最悪な椅子だけど)。
ともあれ、小さな障害物くらいなら簡単に作れる。汎用性だけで言えば、五つの基礎魔法の中でもかなり便利だ。
ルイスもマリーも、何かと土魔法を使う。庭での訓練でも、実験用の的はだいたい土製だ。いちいち木工職人に頼む必要がないのだから、そりゃ便利に決まっている。
だが、その一方で ――
ある日の訓練で思わず聞いたことがある。
「土そのものを魔法で作ることはできるんですか?」
父ルイスは首を横に振った。
「少なくとも俺は無理だ」
「私も~。」
とマリー。
意外だった。水は無から作れるのに、土は作れないというのか。
「なんでですか?」
「分からん。だが、できる者は聞いたことがないな。」
ここで、地球の知識が頭をよぎった。
そもそも「土」というのは、そんな単純な物質ではない。砕けた岩、鉱物、有機物、水分、微生物、長い地質活動の蓄積。その混ざりもの全部をひっくるめて、ようやく土になる。水みたいに「これだ」と一つのイメージで括れるものではない。
つまり、イメージできていないのだ。もっと言えば、土は理解できていないほど複雑なものだ。
魔法で形を与えるには、それがどういうものかを、少なくとも術式に乗る程度には把握していないと駄目なのかもしれない。
その仮説を裏付けるようなこともあった。
ルイスは、土の魔法を用いて、鉄を極々少量だが、生成できる。
その一方で、この世界で学校にまだ行っていないからか、もしくは鉄という物質を理解していなさそうなマリーはできない。
自分は、何度か試して、ようやく本当に小さな、馬鹿みたいに小さな鉄の粒なら作れた。
蟻の頭ほどの大きさである。
ルイスは自分よりずっと多くの魔力を使っていたが、同じくらいの大きさの鉄の粒だった。
おそらく、理解の精度に差があるからだろう。ルイスはこの中世で解明されている理屈の枠組みで鉄を創造しようとして、自分は前世の物理学知識を下敷きにしている。その理解の精度は雲泥の差だろう。
もっとも、だからといって夢のような大量生産ができるわけではない。全力で魔力を使ってもこのサイズなのだ。鉄塊どころか、釘一本すら怪しい。
技術革命? 無理無理。
こんな粒みたいな鉄でなにができるって言うんだよ。しかも、たかがこのサイズでも、めちゃくちゃ魔力を消費したしね。
体内にあった魔力と近場の大気中にあるすべての魔力を集めて作られたのが蟻の頭よりも小さい鉄だ。
しかも作って、すぐにうっかり落としたせいで、失くしたし!
どこだよ!(泣)
そんなこんな試行錯誤をしながら、訓練を積んでいくうちに、自分なりにこの世界の魔法の法則が少しずつ見えてきた。
まず、魔法には魔素の前処理が必要だ。魔素をそのまま弄るだけでは駄目で、イメージを乗せられる形まで整えなければならない。感覚でしか説明できないので、非常に難しいのだが。
次に、イメージは具体的であるほどいい。曖昧だと発動しないし、発動しても効率が悪い。
そして最後に、おそらくだけど、物理的に困難なことほど魔力の消費が速い。
無から何かを作るのは魔素を大量に消費する。既にあるものを動かすだけなら消費量は少ない。現実に存在しうる条件が揃っているほど魔法は通りがよく、逆に現実を無視するほど無理やり魔力で押し通すことになる。
それに、水火風土霧の基礎魔法には、どうも「物を空中で自在に飛ばす」ような都合のいい力はないらしい。たとえば、ファンタジーでよくある、ファイヤーボールが宙に浮かんだまま飛んでいったり、ストーンキャノンがそのまま撃ち出されたり、みたいな。ああいうのは少なくとも基礎魔法の範囲では無理らしい。
水魔法は水を作ったり、水の流れを変えたりする魔法であって、水そのものに「飛べ」と命令する魔法ではない(水圧を利用してスプラッシュできるし、多分水圧を物凄く強くすれば鉄を切り裂き、人だって殺せる攻撃になるだろうけど)。
土魔法も同じで、地面を盛り上げたり形を変えたりはできても、岩を空中に浮かせて矢みたいに射出するのはルイスもできていない。
魔法はあくまで現実的なイメージの再現であって、チートではないのだろう。
土を作るというイメージの中に、重力を無視するような動きを想像しても単に再現失敗で魔力を無駄にするだけだ。せめてもの救いは風の魔法や霧の魔法だな。風や霧の魔法がイメージ通りに動くのは、空気に関係するものだからだろう。そもそも軽い空気だから重力を殆ど無視できるのだ。
もちろん、だからといって魔法が弱いわけでは全然ない。火なんて矢みたいに飛ばせなくても十分すぎるほど危険だし、無から何かを生成できる魔法がチート気味なのも変わらない。特に安全な水はそれだけで革命的だろう。夢のある万能魔法ではないけど、充分すぎるほど理不尽ではある。...それに勇者は重力魔法を作ったとされている。もし重力魔法があるならそれこそファンタジーみたいな事もできるはずだ。当然ながら、重力魔法を習うまではお預けだが。
異世界の神様も、もう少し夢を見せてくれてよかったのでは?ま、神様がいるならの話だけど。
それに、この制限があるからこそ、この世界の文明は魔法があるのに中世止まりなのかもしれない。
何でも好きに作れるなら、とっくに世界は変わっているはずだ。中世どまりなんてありえない。だが実際には、正確な理解が必要で、その前には魔素がイメージを受け付けるように処理が必要だ。そして無から物質を生成するには、魔力を膨大に消費する。だったら、人が手で作った方が大抵の事は安く、速くできる。鉄なんて、どう考えても魔術で作るより鉱山で掘った方が良いに決まってる。そういう意味では、妙に納得のいく世界だ。
ギリギリ、レアメタルの生成なら魔法の方が採算を取れそうだけど、この世界でそもそもレアメタルを必須とするような製品は皆無だろう。億万長者になれないようで残念だ。
もちろん、魔法の訓練ばかりしていたわけではない。文字の勉強も始めた。
これは主に教会のラインハルトさんに習っている。ルイスも教えてくれるには教えてくれるが、朝の水配り以外にも何やら外で忙しくしていて、じっくり時間を取れる日は少ない。あっちこっち出歩いては夕方に帰ってくるのだが、何をしているのかは教えてくれない。
エリスに聞いても、「お仕事よ!」と笑って誤魔化される。マリーも詳しくは知らないらしい。
怪しい。
紙をもってあちこち行ってるから、もっと難しい単語も覚えれば分かるようになるのだろう。
文字は、この村があるスロバ王国ではギリシア文字が主流だ。隣のローラン帝国ではまた別の文字も使われているそうだが、スロバ王国ではギリシア世界の影響が強く、魔法を学ぶにもそちらの文字が基本らしい。
ラインハルトさんは両方読める。さすが牧師で、教養が高い。
と思っていたら、ルイスも読めるらしい。昼間はどこをほっつき歩いているのか知らないが、やることはやっているようだ。夕方帰ってくると母といちゃついている姿しか印象にないので、少し見直した。
今のところ自分の読み書きの実力は、せいぜいこんなものだ。
『ぼくはパウルです。きょうは、パパとおねえちゃんと村の人のいえをまわって、みずをつくりました。村の人からウィンナーを一本もらいました。とてもおいしかったです。』
...うん。幼児の作文である。でもまあ、四歳児としては十分だろう。たぶん。
それと、そのウィンナーなのだが。去年、村の皆で作っているところを見た。
正直とんでもなくグロいイベントだった。豚が、ああなって、こうなって、そうなって、そして最終的にウィンナーになるのだ。現代社会でパック詰めされた完成品しか見てこなかった身としては、なかなかに衝撃的だった。最初は匂いが強烈すぎて普通に吐いたし、しばらく肉を見たくなかった。
今年も村総出でやるのだろうか?なんなら、そろそろ自分も手伝わされるかもな。
もしやるなら、土魔法でどこかに穴でも掘って隠れたいものだ。
...いや、無理か。ルイスの魔力感知にすぐ見つかって、「サボるな、手伝え」とか言われて連れ戻される未来しか見えない。
まったく、異世界転生というのはもっとこう、剣と魔法と冒険に満ちた華やかなものだと思っていたのだが。現実は、毎日の訓練と、朝の水配りと、幼児作文と、極稀にウィンナー解体ショーである。
まあ、でも、ウィンナーぐらいしかこの世界に美味しい物がないし、少しくらいは我慢してもいいか...。
本当に少しくらいならね。




