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唯我独尊の猫は恩返しに創作活動をする  作者: 善峯


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3.私は決心する

 すっかり日も暮れた頃、ご主人様のお帰りよと言わんばかりに玄関からバタバタと音を立てながら優美が帰って来た。


「ただいまクロミちゃん。ちゃんといい子してた?」


 悪戯っぽく見せる笑顔を向けながら私の頭を撫でる。帰って来てすぐだからか柔らかな手の温かさが伝わってきて心地よいものだわ。そして優美は早々に机に向かった。私にとってはチャンス到来よ。優美が何をしているかこの目で確かめてやる。私は優美の足に擦り寄ってぴょんぴょん跳ねながら訴えかける。


「うん?どうしたの、クロミちゃん?」


 そう言いながら私を持ち上げて膝の上に乗せる。正に計画通りね。ちょっと擦り寄ればすぐ膝の上乗っけてくれるからチョロいものね。

 そして膝の上から手をついてひょっこりと机を覗く。そこにはタブレットに何やら可愛らしい絵が描かれていた。コマ割りをしていることから恐らく漫画と思われるわね。


「それね私が趣味で描いている漫画なんだ。恋愛ものが描きたくて始めたんだよね。あ、ちなみに今描いてるのは新しい恋愛もののやつだよ。ほのぼのした日常の中で男女の不確かな感情を描いているのよ。まだ途中だけどね。」


 優美はウキウキしながら私に聞かせてくれた。なるほど恋愛漫画を描いていたのね。私も恋愛漫画や小説を見てきたからそれなりの嗜みはあるわ。優美が描く恋愛模様に興味がそそられるわ。タブレットの端をペチペチと叩きながら再度目で訴えかける。


「なに〜?ひょっとして読みたいの?じゃあ折角だし見せてあげよう。でもまだ下絵してる途中だからネームになっちゃうんだけどね。とは言っても猫にわかるのかはわからないけど……」


 そして優美は今描いてる下絵を保存して、ネームが保存してあるフォルダを開いて見せてくれた。優美がページをめくっていきながら所々で解説を入れてくれながらストーリーを見ていく。優美の解説曰く主人公である紗英という女とその彼氏である信長が付き合っていく中で互いに気持ちを確かめ合うという感じのストーリーみたいね。ありきたりなお話だけど悪くはないんじゃないかしら。


「どうだった?自分で作っておきながら言うのもなんだけど面白そうでしょ?」


 確かに優美の言う通り面白そうではあるわね。


「でも、全然評価されてないのよね〜。rixivって言うイラストや漫画を投稿できるサイトに掲載しているんだけど反応がイマイチなのよね……。PV数は1000を超えているのにいいねの数が20前後なんだよね。他の人とか見るといいねの数が300とか500、多い人では千とか万とか行くから気落ちしちゃうなぁ」


 どうやら優美は自分が描いた漫画が評価されないことを気にしてるようね。気持ちはわからなくはないけど少し気になるところがあるわ。それはストーリーがあまりにも平行線だと言うことよ。例えるなら風ひとつ吹かず穏やかな波の音しか聞こえない海岸みたいにね。全24ページもある中で紗英視点と信長視点だけでそれぞれ半分ずつ使っているのはテンポが悪いんじゃないかしら。しかもそれぞれの友達との会話シーンで彼氏彼女の気持ちについて語っていたりしてる。丁寧に描写されているのだけれど、セリフが多くて漫画というよりかは小説に近いわね。

 私は小説も読むから何の苦にもならないけど他の人が見たら、特に小説とかを読まない人からしたらどうかしらね。漫画と思ったら小説だったってことで読むの辞めちゃうんじゃないかしら。


「まぁ評価してくれている人がいるだけマシだよね。背に腹はかえられぬとも言うし。あ〜でも評価されたい、私の作品を見てもらいたい、それで人気クリエイターの仲間入りしてSNSでチヤホヤされて、うへへ……」


 優美は恍惚な表情しながら私の頭や顔を撫で回した。数日間しか共にしてなかったから初めて知ったけど優美は妄想癖があるようね。とにかくそう言うことならこの私が手を貸してあげてもいいわ。怪我で動けなくなった私を介抱してくれた恩があるしね。しかし困ったことに人語が話せないんじゃ私の意図を伝えるのは難しいわね、さあどうしたものかしら。


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