八話 嬉しい事が重なりました
八話 嬉しい事が重なりました
最近、エスパーダは一人で研究所に行くようになった。嬉しそうに出て行き、迎えの黒磯(男)とも親しげだ。彼女の交友関係を狭める事になるので、嫉妬を抑えていた。だが妬ましい。
家にいる時にはいつもリラックスしていて、ゲームばかり。セクシー写真もご無沙汰だ。
ピークを過ぎた感が否めない。
「エクスカリパー、病院に行ったって」
「うん、師匠から聞いてる」
昨日、慌てた感じで黒星からメッセージが届いた。生まれそうとの事だった。出産に立ち会う事になったらしく、混乱していた。
要はただ聞いてやる事しか出来ない。妊活はまだ結果が出ていないのだ。
他人事なのにソワソワしていた。まるで予行演習しているかのようだ。
エスパーダが出産の時は同じ思いをするのだろうか。まだ妊娠もしていないのに、そんな事が頭を支配する。
それ以外は変わらぬ一日だった。朝起きて、ご飯作って、食べて、出勤して、働いて、帰宅して、ご飯作って、食べて、お風呂に入って、寝る。これが要の手に入れた幸せなのだ。
黒星から連絡が来たのは夜中だった。『産まれた』との一言と写真。エクスカリパーが子供を抱いた写真だ。
「おおおーっ!」
騒ぎ過ぎて、隣の人に壁を殴られた。
エスパーダにも送られたみたいで、静かに感動していた。
「良かったね」
「うん、俺達も頑張ろう」
「その事なんだけど……」
エスパーダは要を真剣な表情で見上げる。
「何かあった?」
悪いほうに想像が行ってしまう。エスパーダは首を縦に振り、自分のお腹に手を当てた。
「三ヶ月だって」
「え?」
「だから妊娠三ヶ月目」
「やった。やつたぞ。うおおおーっ!」
要は先ほどよりも大きな雄叫びをあげた。当然、隣からかなりキツめに壁を叩かれたのだった。




