七話 エクスカリパーがマウント取ってきました
七話 エクスカリパーがマウント取ってきました
数ヶ月経ったある日、エクスカリパーが訪ねてきた。黒星は一緒ではなく、なぜか双子用のベビーカーにスミス姉妹が乗っていた。
「やあ久しぶり」
「元気してた?」
二人は相変わらずだが、エクスカリパーは違った。刀を持っておらず、マタニティ姿で完全に妊婦だ。
「なんで二人がベビーカーに?」
「これで移動しないと肩に乗ってこようとするんだ。お腹の子に障る」
忌々しそうに言った。
「黒星との子供だよね?」
「ああ、もう安定期に入った」
「どうして付き合ったの?」
エスパーダは興味津々だ。
「それはその、要達のせいなんだ。要達がいなくなって、こいつらが私と家に住み着いてご飯をくれと言ってきたんだ。困った私は黒星に相談した。アックスでは頼りにならないし、何をしでかすか分からんからな。それから頻繁に会うようになって、家に泊まるようにもなって、居着いてしまった。そもそも要がいてくれれば、私がこんな事には……」
その先が聞こえなかったが、惚気と判断した。食欲の果てに、恋のキューピットになるとか聞いた事がない。スミス姉妹恐るべしである。
「イヤなの? 妊娠してるのに?」
「イヤじゃない! イヤじゃないが、要がいなかった事が原因の一つだと知っておいて欲しいんだ」
「結婚式は?」
「まだしてない。子供の事もあるし、まだ上杉を捨てる覚悟が出来てない。銛を忘れたくないんだ」
「過去は捨てられないよ。俺だってみんなをけしかけて、研究所に乗り込ませたし」
「でも黒星に悪い」
「それは黒星に言ったの?」
「言った。それでも良いって言って、そのまま外へ出てアライグマを狩ってきた」
怒りがないわけではない。でもどうにも出来ない事を知ってるからこその狩りである。
「あいつ、度量が狭いのよ」
「黒星は優しい! 未亡人の私を受け入れてくれた」
「好きなのは分かるけど、相手の欠点を把握しておいたほうが良いわよ。要は頑固で先走るし、私の事を完全に理解しているわけじゃない。だから対策として心も体も通じ合わせるの」
「心も体も……。でも妊婦では……」
「そっち方面の話はしてないの。信頼しあえって言ってるの」
「分かった。相談して良かった。ライトハンドとレフトハンドの言う通りだったな」
「なんて言ったの?」
要が問う。
「自慢がてら相談すれば良いって。要のご飯も食べられるし」
スミス姉妹は笑っていた。
「お前達、意地が悪いな。エクスカリパーを使ってマウントとは」
「え? そうだったのか?」
エクスカリパーは気付いていなかったようだ。
「今、妊活してるんだ」
「そうだったのか。私は幸せ自慢をしていたのだな」
エクスカリパーは気を遣ってくれていた。問題はスミス姉妹だ。
「僕等は要の作った物が食べたいんだ」
「エスパーダばかり要のご飯食べてズルい」
許しがたい。要はそう思い、反論もせずに台所で鍋を振るった。
「巨人の炒飯、お待ち!」
一人一皿、炒飯を与えた。
やはり不満顔になるか、要は構わずに言った。
「残したら二度と作らない」
「そんな……」
「こんなに食べられない」
エスパーダを曇らせるなんて、友人だからって許されるものではない。これで懲りてくれれば良い。
スミス姉妹は泣きながら、炒飯を食べた。




