六話 マダムが来ました
六話 マダムが来ました
アックスのハトで、マダムがやって来た。今日はシールドを連れて来てはいない。
「サイズから聞いたわ。あなた、本気で要さんの事を……」
妊活はサイズを通して広まったようだ。あんな小さいうちからスピーカーとは。将来が不安だ。
「ええ。要は私と愛し合っているんです。ね」
見せつけるように確認を取ってきた。マウントなのか、自分に言い聞かせているのか。前者の方がマシに思えた。
「私はあなたが資産目当てにシールドに近付くのではと思ってました。さらにシールドは若返り、要さんに似ている。私の息子を放っておくはずがないと。それは杞憂でした。妊娠したら、私を頼りなさい。先輩として助言をいたしますわ」
エスパーダは愛想笑いで、お礼を言っていた。
「そんな、エスパーダは要の女になってしまったのか」
要がアックスと出会った時からそうだったが、黙っておいた。
「アックスは良い人いないの? あ、サイズはダメよ。子供だもん」
「分かってる。だが黒星に負けたのは癪だ。あのムッツリ」
「黒星はサイズに誠実だったじゃん」
「違う。あいつ、エクスカリパーと付き合ってるんだ」
「え? そうなの?」
「嘘ついてどーする。まったく俺のどこがいけないっていうんだ」
アックスがモテないのは性格のせいだ。付き合いの浅い要が分かるのに本人は気付かないものなのか。当然黙っておく。
「エスパーダ、誰か良い子いないか? 会社の同僚とか、後輩とか」
そこに上司やらお局が入っていないところにガチさを感じた。
「私以外男だよ。上司もね」
「シールドのほうが会社の規模がデカいんじゃない?」
要が聞いた。
「IT系は話があわん」
「あんた食品会社ナメんじゃないわよ」
エスパーダの怒りを買って、話は終わった。
「手当たり次第なのが良くないんじゃないの? 顔だけは良いんだから、頑張んなさい」
マダムはズバリ言って、さらにアックスにダメージを与えていた。
「そんな事より、何か食べ物を用意してくれないかしら」
マダムは要がコロンビアに行く前と変わらない。己の食欲に忠実だ。
要はコロンビアを思い出して、炒飯を作った。滞在している間ずっと作って、多くの客が食べてくれた自信作だ。
「巨人の炒飯、お待ち!」
「炒飯……ステーキを期待してましたのに」
大量の炒飯を前にマダムはガッカリしていた。
需要と供給が合っていなかったようだ。




