二話 彼は悩んでいるようです
二話 彼は悩んでいるようです
要は想と都をファミレスに呼び出し、お金を返した。
「ありがとう。おかげで帰ってこれた」
「困ってたらお互い様さ」
聖人のような振る舞いに感動すら覚えた。
「だが、親友を焼肉パーティーから外すのはいただけない」
「私なんか、運転したのに」
二人は要の不義理を責め立てた。
「分かった。ここは奢るから」
「あんた、自分勝手過ぎんのよ。食事って場の空気を楽しむもんでしょ」
「それに数ヶ月音沙汰なしで、久しぶりに来たのが金の無心。随分と都合よく使ってくれる」
口調は穏やかだが、何度も蒸し返すほどには怒っているらしい。要のほうにも事情はある。まずはそれを分かってもらおう。
「俺はエスパーダと結婚したい。そのためのコロンビアだったが、義家族には従業員として組み込まれてしまった。ビザが切れてなかったら、ずっと働かされてたかもしれない」
「イヤになった?」
都が意地悪そうに笑い、聞いてくる。
「そんな事全然ない。むしろ仕事に身が入り過ぎて、エスパーダの事が蔑ろになっているくらいだ」
「で、ギクシャクしてると」
「なんで分かったんだ? 超能力か?」
「あんたの事はお見通しだよ。興信所や探偵を使わなくたって分かるんだ」
「都」
想が都を制した。
「まあ、なんとなく分かるって程度かな。要うちでリラックスしてる?」
「リラックス?」
「そ、リラックス。焦っても、良い事ないよ。おばさんに認められてないんでしょ?」
「それも知ってるのか。俺は母さんに祝福されなくてもエスパーダと結婚する」
「それって二人で決めた?」
要は返答に詰まった。一方的に要が宣言しているだけで、エスパーダは何も意見は言っていない。
「とりあえずそこから話してみたら?」
「ありがとう。恩に着る」
「なら、焼肉パーティーに呼べよ」
ダメ押しのように言われて、要はぐうの音も出なかった。




