一話 実家に行きました
一話 実家に行きました
要がエスパーダを連れてコロンビアに向かって数ヶ月。
要はビザが切れて、日本に帰ってきた。そこまで長居したのにはわけがある。
エスパーダの父に働かされていたのだった。
エスパーダとともにあいさつに行ったのだが、相手はスペイン語で途方にくれた。だがエスパーダは使えたので、通訳を頼んで、彼女の両親にこう言った。
「娘さんと結婚させてください」
するとエスパーダの父親はこう聞いてきた。
「炒飯は作れるか?」と。
「出来る」と答えると「働け」と言い出した。
当然エスパーダは文句を言うが、無視された。要は自分の家がモメてるため、なんとかしたかった。要は店で働く事を決めた。
ガスコンロと中華鍋とお玉を買うことになり、メニューに『巨人の炒飯』が追加された。
小人の大食い達の間では有名だったらしく、気軽に挨拶された。要は黙々と鍋を振い、エスパーダは接客に参加していた。家族経営の町中華って感じがして、心が躍る。自分はこういうのを求めているんじゃないかと要は思った。やはり日本で小人達に料理を振る舞ってた事は無駄ではなかったのだ。
ただ炒飯を作る楽しい日々はビザが切れて、突然の終わりを迎えた。
「お前は立派な料理人だ。娘を飢えさせるなよ」
最後にエスパーダの父はそう言った。が、給金は払われず、金がない要は想に送金してもらい、やっと帰ってきた。
家に帰ると、大家が出迎えて、家賃の催促をされた。これ以上、想に迷惑をかけられず、結婚資金手をつけた。また貯め直しである。
会社には連絡を入れていたのでクビにはならなかったが、収入はガクンと下がった。仕事の勘も取り戻すのに苦労し、炒飯を作り続けるより疲れた。そして疲れて帰ってくると、エスパーダに対する扱いがぞんざいになるわけで……。
今までで一番、二人の仲が拗れていた。




