十一話 やはりゲームをするんです
十一話 やはりゲームをするんです
要が帰ると能が出迎えた。
「お兄ちゃん、飯」
「分かった。すまないな」
「お義姉様のためだもん。早く子供生まれると良いね」
笑顔で言った。要は料理を作る前にエスパーダに近付いた。彼女はサイズとスマホでゲームをしていた。
「おかえり」
「すぐご飯にする」
「あのね、エスパーダと子供の名前考えたの」
サイズが言った。それは要も知っている。
「要にも相談しようって事になって。まずはカラシニコフでしょ。それから人間無骨に、シャヘド……」
スマホで聞いたのと違う。
「ストップ! なんかいっぱい出てきたね」
「私、お姉ちゃんになるの。だから必死で考えたの」
「いや、サイズはおばさんかな」
要の腹違いの妹なので、正しいはずだ。
「そんなぁ……」
「とりあえず、候補絞っておかないと」
要はひとまず台所へ逃げた。サイズのあげた名前は武器感が強過ぎる。
「だから違うって言ったじゃん」
能が言った。
「それより私、おばさんだって」
「私と姉妹だから、まあそうなるわよね」
「何とかならない? おばさんって呼ばれたくない」
「洗脳しかないわね。サイズお姉ちゃんと呼びなさいとか圧かけて」
「なるほど」
「私の子供を脅す宣言しないで」
そう言ってるとスマホの通知音。思わず確認してしまうと、課金の通知だった。ここ最近なかったから安心していたけれど、まだゲーム熱は冷めていないらしい。
「サイズ、今回のキャラ、取った?」
「ううん、誰だっけ?」
「ホーリエ・ヴィスコンティーのウエディングドレスバージョン」
「ウエディングドレスかぁ。エスパーダは着ないの?」
「子供生まれてからだね。能にはもう頼んであるんだ。ね」
「生まれてからだじゃないと体型変わっちゃうから。それにまだ金もらってないから生地だけだね」
「ふーん。……やった! 大当たり!」
「なんでサイズが当たるのよ。……きーっ! 私にウエディングドレスは縁遠いとでも言うつもり?」
課金の通知が来た。
「よし! ……あれ? よーし」
三度課金の通知が来た。さすがにこれ以上の課金は止めないとまずい。
要がエスパーダの側に戻ってくると、エスパーダはお腹を押さえて顔を歪めていた。
「痛い……陣痛かも……」
要は頭が真っ白になった。やらなきゃいけない事があるのだが、まず何をするのかが抜け落ちた。
「お兄ちゃん! 就、サイズ、準備して!」
能が仕切り出した。要達は能の言う事を聞いて、準備を整えた。入院するためのアイテムや着替えなどをサイズに引っ張り出してもらい、要がバッグに詰めた。
「お兄ちゃん、連絡」
言われて、兎の研究所に電話した。受け入れ態勢を整えてくれるそうだ。
みんなで就の車に乗って、研究所へ直行した。




