Page.19「起き抜けの談話」
カーテンの隙間から漏れ出した陽の光が、顔を直撃して目を覚ます。
……眩、しぃ……。
あれ……?
ふと気になったことがあり、俺はゆっくりと身体を起こした。
「もしかして俺、準備してる最中に寝落ちたのか……?」
てか普通にベッドで寝たのに今回は何も見なかったんだな……。
珍しいことも、あるものだ。
「準備、あらかた終わってるじゃん……」
荷物を確認してみると、どうやら寝落ちする前に必要最低限のモノだけは全部詰め込んでいたようだ。
最悪の場合、足りないモノがあれば創造ればいいか。
なんてことを考えていると不意に、ドアがノックされる音が聞こえた。
「クロエ君、起きてるかな?」
声の主はキリカだ。
「ん、あぁ。起きてるぞ」
そう答えつつ俺は、部屋のドアを開ける。
「おはよう、クロエ君!」
俺の顔を見るや否や、キリカは元気に声を掛けてくる。
「おはよう、キリカ。……で、何か用か?」
何か用がない限りは、わざわざここに来るとは思えないんだけど……。
「ん~?特に用事があったわけじゃないよ?ただまぁ強いて言えば……クロエ君、ちゃんと準備したのかなーって気になってたりはするけどね」
「少し俺のこと馬鹿にしてないか?……確かに途中で寝落ちはしたけど、その前に終わらせたっての」
完全に見下されてるな俺……。
少々ムッとしているとキリカが「ふふっ」と笑う声がした。
「冗談だよ。クロエ君が“こういうこと”はちゃんとしてるのは、知ってるから」
「こういうこと“は”って言ったな」
他にもちゃんとしてることくらい、色々あるわ。
「───居ないと思ったら、ここに居たか」
突然キリカの背後から、声が飛んできた。
「おはよう、フゥ君。あれ、探されてた……のかな?」
ほんの僅かに、キリカが不安そうな表情を浮かべる。
「あぁいや、何か用があったわけじゃなくてただ単に『居ないなーどこ行ったかなー』みたいな? 」
そんなキリカの表情を見てフゥは、少し焦った様子でそれを否定した。
なんとなく、気になったって感じか。
「えぇと……とりあえず、全員分の支度は済んだってことでいいのか?」
首を傾げながら俺が訊くと───
「俺の方は大丈夫だぞ?」
「私の方も二人分、ちゃんと準備したよ!」
───と、親指を立ててこちらに同時に突き出された。
それと、良い笑顔も追加されて。
「そっか。なら……ご飯食べたら出発するか?」
「おぉ、異議なーし」
俺の言葉に、フゥが悪戯っぽく笑いながら、茶化すように言った。
馬鹿みたいだ、と一瞬そんな考えが脳裏を過ぎり、思わず俺は吹き出した。
それにつられて、フゥも声を出して笑ってみせる。
───そんな様子を、キリカは柔らかな笑みを浮かべながら見ていた。




