「よ、一ヶ月ぶりだな」
知り合いからお題を貰いショートストーリーを書いたものです
楽しんでいただけると幸いです
「よ、一ヶ月ぶりだな」
片手を上げて挨拶をする彼は駅の改札口で待っていてくれた。
わたしは慌てて彼に駆け寄る。
「まった?」
「いんや。大丈夫、今来たとこ」
得意そうに右肩をくいっと上げる仕草をする彼。と同時に彼の鼻がひくっと微かに動くのが視界の端に映る。…彼特有の嘘をついてる時の癖だ。
「……今来たんじゃ無さそうだね」
顔を覗き込むように見つめると彼はバツが悪そうに、視線を逸らした。
「はは…三十分前には来てました」
やっぱり…と小さく息をつく。
「電車が遅延してるから遅くなるって連絡してたのに…」
申し訳なさそうに彼を見上げると少し高い位置にある顔がほんのりと色付いた。
「待ってる時間も楽しいからいいんだよ」
ぶっきらぼうに呟かれ、次いで手を差し出される。
大きくてガッシリとした男の人の手。私が1番大好きな人の手。
私はその手を掴んで微笑んだ。
「じゃあ、行こうか。都会のこと色々案内してよ」
「もちろん、美味しいバーガーショップも教える」
遠距離恋愛でしかも大学生の私たちが会えるのはよくて月に一回、長いと三ヶ月に一回。
都会の大学へ通う彼と地元の大学へ通う私。
少しだけ垢抜けた彼に手を引かれて私は駅の外へ歩き出す。
駅を抜けると清々しい風と同時に地元にはない勢いの喧騒と広がる色彩が出迎えてくれた。




