表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/25

13

 

 ブリジット様の周りにいたカロリーナ様とコラリー様が焦ったようにハンカチを渡し背を撫で、少し彼女は落ち着いたようであった。


 気まずい空気が流れる中、私は「あー」と声を上げる。


「お昼、取りませんか? その、一緒に」


 そう言うと、コクリと三人は頷いた。


◇◇◇


 今日は、ブリジット様たちがよく行くカフェに連れてってもらった。

 ここは王宮にも近く利用者も多いらしく、確かに王宮務めの人たちもチラホラいた。顔を覚えるのは得意なのだ。


「スコーンとアプリコットジャムにします」

「私はホットケーキを……」


 という会話をしイネス先輩が注文をすると、会話が途切れ静かな間が流れる。


 しばらく待つと私たちが頼んだモノと、紅茶が入ってるであろうティーポットとティーカップが来た。

 私は空のティーカップをしげしげと見る。


「自分で紅茶を淹れるんですね……」

「私たちからすると珍しいですよね」


 そう言ってコラリー様がティーポットを取ろうとしたので、慌てて私は止めた。


「私が後輩なので、どうかやらせてください!」

「ええ? そう言われても……」

「ぜひ、やらせてください」

「ヴィヴィアンヌ様、なんかイメージとかけ離れていますわね……」


 コラリー様とティーポットの取り合いをしていると、ブリジット様が呆れたように呟き、「そこがヴィヴィアンヌさんの魅力なんですよ」とイネス先輩が誇らしそうに返していた。


 そんなやり取りを二人がしている間に私は無事紅茶を淹れる権利をもぎ取った。


 それから、少し蒸らしてから紅茶を淹れる。

 私はこの時間が好きだ。皆はなにを入れて飲むのが好きなのか、それを考えながら紅茶を淹れる時間は、背筋が自然と伸びる。


 手元に意識を集中させながら、順々に皆のティーカップに回し入れ、最後の一滴となるまで淹れ続ける。


 ――ぴちょん


 その最後の一滴の音を聞き終えてから、私はティーポットを傾けるのをやめた。

 次に、角砂糖をソーサーの上に置いたり、ミルクの入ったクリーマーを二つの紅茶に入れた。


 全てが終わってから皆の前に紅茶を置けば、皆一様に驚いた顔をしている。


 カロリーナ様が興奮したように声を上げる。


「どうしてわたくしが角砂糖を二個入れたいと思っていたのが分かったんですかっ」

「カロリーナ様は生クリームがかかったシフォンケーキを、生クリーム抜きで頼んでいましたよね? それとさっきシュガーケースを自分の方に寄せていたのだので甘いモノが好きだけど、ミルクはなんらかの理由で食べられないと思ったんです」

「すごいすごーい! 私、甘いの大好きだけど牛乳アレルギーなんです」


 次に、コラリー様がキラキラとした瞳を私に向けた。


「ヴィヴィアンヌ様、私がミルクティーを好きだとは、どうやって推理したのですか?」

「コラリー様の領地は、酪農が盛んですよね? だから普段から、紅茶にミルクを入れる習慣があると思ったんです」

「私の領地のことまで知ってくれているんですね、嬉しいです!」


 そのあとも、ブリジット様とイネス先輩のも当てると、二人とも目を輝かせて喜んでくれた。


 お姉様たちが嫌がらせのようにお茶会で「この子はその人が飲みたいと思った紅茶が分かるんです」と言うから、茶会に来た人の飲みたい紅茶を当てる特技がこんなに喜んでもらえるとは……と少しだけ嬉しくなった。



それから私たちは、食事を終え王宮に戻った。

 今日は早めのランチだった為、王宮の廊下を歩いている所で丁度十二時を告げる鐘の音が鳴る。


 私たちはさっきよりも大分打ち解け、軽口を叩きながら長い廊下を歩いていると「ちょっといいかい?」と話しかけられた。




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ