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復活

 足元でパキリ、という音がした。


石を踏んでいる感触があった。見るとコロコロとしたドングリが煤けたアスファルトの上に転がっていた。

 無数のドングリ達は歩いても歩いてもそこにあるような程続いて、俺はこれが夢だと悟った。


 ああ、これは死ぬときに見ると言うあれだろう。

 思っていたのと違う。

 再び足元を見ると、ドングリは無数の人の眼球となって、冷たい、冬の水溜まりにできた薄氷のように偽物の輝きで俺を見た。

 なぜ、こんな夢を見るのか。ああ、そうか。俺は死んだのだな。と自覚すると目が覚めた。


 目が覚めて感じたのは部屋の暗さだった。まだ、虫達も静かにしている時間であろうことは、枕元の目覚まし時計を確認せずとも明らかで、鬱陶しく寝返りをうった。

 いつもは寝ている時間だ。

 この季節、すっかり畑は落ち着いていて早起きはしない。

田んぼではもう少しで稲の収穫が始まる。重くなった稲穂を首をかしげるようにして稲達が顔を見せているに違いない。


 朝早く起きてしまったのは無性に腹が減ったからだった。

 そういえば、冷蔵庫に冷凍庫から引き上げたピザが入っていたはずだ。

 寝巻きのまま滑り落ちて、真っ暗な家を歩くころには、なぜか、膝が無性に痛かった。50kmくらいを歩いた後みたいだ。


 冷蔵庫にあった、萎びた茄子みたいなピザを食らう。面倒くさくてレンジにかけることもしない。

 味が濃いだけが取り柄の、三枚で数百円の味が、子供騙しの味がするはずだった。


 なのに、感じたのは生臭さだった。

 鯵を捌いて内臓をすすったかのような強烈な生臭さが口に飽和して鼻に突き抜けた。


 思わず吐いた吐瀉物が足にかかる。


 わなわなとした手で冷凍庫内のアイスクリームを口にするが、1筋の涙が頬を伝うばかりで、大好きなアイスは、油粘土みたいな味がした。


 終わりだ。甘党の俺が、味覚障害?

 しかもなんだこの胸のムカムカは。

 食事で吐いたことの無い俺が、トイレに駆け込む。


 強烈な味覚障害である。


 身体が何を欲しているかは明らかだった。


 感染者が遺体を食べているところを見たことがない。やつらは、生きた肉を好んで食べるのだ。

 俺は、この痛みを受け入れることができるのだろうか?


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