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喫茶 停車場  作者: みそのKS


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外伝29 磯山


木曜日だった。


午後の停車場。


高橋はいつもの席で新聞を読んでいる。


若い男はコーヒーを飲みながら窓の外を眺めていた。


その時だった。


ブォォォ……。


大型トラックが店の前を走っていく。


若い男は何となく目で追った。


ふと見ると、高橋も外を見ていた。


「高橋さん。」


「なんだ。」


「トラック好きなんですか。」


「俺じゃない。」


「え?」


「磯山だ。」


「社長さん?」


「ああ。」


若い男は少し笑う。


「社長って忙しいですよね。」


「忙しいな。」


「なのにトラック見るんですか。」


「見る。」


「なんでです?」


「好きだから。」


あまりに即答だった。


若い男は笑う。


「子供みたいですね。」


「子供だ。」


カウンターの中からマスターが言う。


「病気だ。」


若い男は吹き出した。


「そこまでですか。」


高橋は頷く。


「休みの日。」


「展示会。」


「新しいトラック。」


「見に行く。」


「運転できる。」


「喜ぶ。」


若い男は苦笑いした。


「本当に好きなんですね。」


「好きだ。」


「会社作るくらいですもんね。」


高橋は首を振る。


「違う。」


「え?」


「あいつは会社が好きなんじゃない。」


少しだけ笑う。


「トラックが好きなんだ。」


若い男は少し黙る。


何となく、その違いは大きい気がした。


その時だった。


また一台、大型トラックが通り過ぎる。


高橋はまた外を見る。


若い男が笑う。


「高橋さん。」


「なんだ。」


「見ましたよね。」


「見たな。」


「好きなんじゃないですか。」


高橋は少し考えた。


それから笑う。


「うつるんだよ。」


マスターが言う。


「長く一緒にいるとな。」


「うつる。」


若い男は笑った。


窓の外を見る。


今度トラックが通ったら。


たぶん自分も見てしまう。


そんな気がした。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


続きが気になりましたら、ブックマークや評価をいただけると筆者がとても喜びます。

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