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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第四章 影と語らう

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冬に向けて

 ウェアウルフ討伐後、俺たちは野営の準備を始めた。

 討伐依頼の規定数は三で既に五匹狩ったので文句なしの花丸。

 だが同時に採集依頼も受けていたのでまだ森を出るわけにはいかないのだ。


「いやー、全然やることなかったわね! 楽だけどちょっと物足りないかも」


 焚火を囲みながらリゼがケラケラ笑う。


「じゃ、次何か襲って来たらリゼちゃんに任せるよ」

「そうして頂戴。このままじゃただ歩いて草取るだけになっちゃうし」

「あら、それを言うなら真と私がまんま歩いて草を取るだけになってしまうのだけど?」

「いやティアは結界とか張れんじゃん」

「そういう少年もスキル使ってくれたじゃん」


 と妙なフォロー合戦が始まり何だかおかしくなって噴き出してしまう。

 良いよな。皆で一つの火を囲みながらお喋りするってさ。

 すんげえ冒険してる感あってワクワクするわ。


「さて。ちょっと真面目な話するけど良いか?」


 俺がそう切り出すと三人は小さく頷いてくれた。

 ありがとうとお礼を言って俺は話し始める。


「分かってはいたけど俺らはシルバーでも十分やってけることが分かった」


 だからこそパーティの方針を明確にする。

 つってもゴールド目指すだとか伝説のお宝をゲットするみたいな長期目標ではない。

 同じパーティでも見てるものが違うから長期目標は設定出来ないだろうしな。


「短期目標として冬までに稼ぐ。稼いで稼いで稼ぎまくる」


 目標は冬を丸々仕事しなくても乗り切れるぐらいまで貯蓄すること。


「え、じゃ冬はずっと遊べる系?」

「なわけないでしょう。あくまでそれぐらいの額を目標にとってことよ。そうでしょ真?」

「ああ。一冬何もしなかったら流石に鈍るだろうしな」


 不測の事態が起きても冬を越せるようにということだ。


「マジ、冬に金ないのは地獄だからな……」


 俺が転移して来た時の冬は暖冬だったし体も来たばかりで栄養も充実していて万全だった。

 そんな恵まれた状態でなければ俺は春を迎えられずに死んでいただろう。


「だからまあ、夏から秋の中頃ぐらいまではハイペースに依頼をこなそうと思ってる」


 どうだろうか? と確認してみると全員が頷いてくれた。


「私はそーゆーの全部真に任せるって決めてるし」

「ズレてるなら指摘するけれどそうでもないし反対する理由はないわ」

「あたしも良いよ。今年の冬は厳しくなるかもって噂だしね~」


 備えておいて損はないとレティスさんは言う。

 しかし今年の冬が厳しくなるかもってのはどういうことだろうか?

 リゼとティアも初耳のようで目を丸くしている。


「ああいや、しっかりした記録があるわけじゃないんだけどさ」


 夏に特定の魚がよく獲れればその年の冬は厳しくなる。

 あの生き物がこういう行動を取り始めた時は以下省略。

 そんな感じで年寄りが噂しているのをよく聞くとのこと。


(地震の前にナマズが暴れるみたいな迷信ってことか)


 とは言え馬鹿には出来ないよな。

 日常に根差した経験則なわけだし。

 そういった経験則が科学で立証された例が元の世界でも沢山あったからな。


「へえ、初耳だわ」

「田舎出身のあなたの方がこういうのは馴染み深いのではなくって?」

「私がジジババの話を大人しく聞いてるように見える?」

「見えないわね」


 俺もそう思う。


「レティスさん、冒険者として冬に備えてやっておくべきことって何かありますか?」

「お金を貯める以外でか。そうだねえ」


 色々あるけど先ず一つと言って教えてくれたのは防寒着の用意。

 それ自体は当たり前のことだが気を付けるべき部分があるとのこと。


「夏の終わりぐらいから出回り始めるから懐に余裕があるならさっさと買うべきだね。

寒くなり始めてからだと需要が増えて値上がりするから少しでも節約するなら早めが良いよ」


 そこらで出回るのは前年の在庫や春先に売られた中古品らしい。

 ちゃんと使えはするのでこだわりがないならそちらがおススメとのこと。


「使えるものが大量に出回るのって何かおかしくない?」

「おかしくないわよ。だって冒険者にとって防寒着はシーズン使い捨てのようなものだし」

「えー!? 勿体ないじゃない!」


 俺もそう思ったが……あ、いやそういうことか。


「違うリゼ。置き場所がないんだ」

「そ。だって冒険者なんて基本、宿暮らしでしょう?」


 服なんて何時までも置いていられない。

 防寒着のような嵩張るものなら尚更だ。

 そういう意味でうちは借家でだからそれなりに余裕はあるんだよな。


(新品の頑丈な奴を買うのも選択肢に入れておこう)


 その後もレティスさんからあれこれ聞いていたのだが、


「……」

「どうしたリゼ?」

「いや、何か物足りないなって」


 ビスケットみたいな携帯食料をかじっていたリゼが不満げに漏らす。

 気持ちは分かるけどしょうがないと俺たちが苦笑していると、


「いよし。折角森に居るんだし何か狩って来るわ!!」

「「「え、ちょ」」」

「レティスさんも居るから安心して離れられるわ! じゃ、ちょっと待ってて!!」


 と止める暇もなくリゼは暗闇の向こうに消えて行った。

 いや、うん。リゼなら単独でも大丈夫だし、こっちも問題はないけどさあ。

 まあでも帰って来たら小言の一つは言ってやらんとな。


「「うぉ!?」」


 少ししてくぐもった唸り声が森に響き渡った。

 すると遠くからずーりずーりと何かを引きずる音が。

 暗闇の中から現れたリゼが満面の笑みで後ろを指し示す。


「熊、狩って来たわ!!」


 コンビニエンス感覚で狩られる熊……。

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― 新着の感想 ―
クマー!? クマはファミ◯キ扱いなんだね。 皆様ハンパない。 
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