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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第三章 夏休み

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海へ⑥

「……つまり遊びに来た冒険者を利用しようっていうこと?」

「ええ」


 試食後。集めた方たちには殆ど帰ってもらった。

 リゼ、ティア、レティスさんにもしばらくは遊んでて良いと言っておいた。

 俺は食堂に残り今まで紹介したものとは別のアプローチをプレゼンしている。


「ルミエラには安全を確保出来るだけの戦力は揃ってる。

でもわざわざ何もかもを町だけで補う必要はありません」


 モンスター駆除による安全確保に遊びに来た冒険者を使う。

 ギルドを介さずにな。

 その際、重要なのは自警団の面子が主導で冒険者は助力するという形にする。

 責任の所在が自警団側にあるというのは気楽だ。


「現金が絡むとギルドを通さないのはまずい。だから報酬は現物支給」


 臨時で自警団の討伐を手伝ってくれたら×日分宿代無料。

 もしくはこの町限定で使える食事券××分とかって形でな。

 値段設定はそっちでやってもらうとして、これは町にとっても悪いことではない。


「タダではありませんけど普通に頼むよりよっぽど安上りだ」

「乗るかしら?」

「冒険者としての立場で言わせてもらえは公算は大きいかと」


 俺たちにとってモンスター討伐は日常の一部。ルーティンだ。

 ちょろっとモンスターを狩るだけで金が浮くならまあと思う奴は結構多いと思う。


「仮に乗らなくてもそれならそれでルミエラの戦力でやれば良い」


 ただ一つ気を付けなければいけないことがある。


「それは?」

「積極的に話を持ち掛けるようなことはしない」


 あくまで冒険者用にこんなお得なことがありますよと紹介する程度。

 頼む側ではなく、提案する側というスタンスは崩すべきではない。

 依存していると見られれば足元を見られるからな。


「何なら宿や飲食店に貼り紙を貼るだけで良い」

「なるほど。それぐらいならコストもさしてかからないわね」

「冒険者側にとってもこれは悪い話じゃありません」


 先のちょっとした報酬もそうだが準備運動になる。

 いざ日常に戻ろうって前に軽く体を動かすのは悪いことじゃない。


>@Six-Tenmaou

其方、猿に似て来たな。余の前で話をぶち上げる時のあ奴そっくりぞ。


 嬉しいことを言ってくれる。


>@Six-Tenmaou

……其方には人を導く器量がある。此度の件が良き例だ。

町の者と訪れる者を作り出した商いの流れに組み込み誰もが得をするよう整えてのけた。


 おいおいおい、急にどうしたシックスさん。

 唐突なデレに俺は少しばかり困惑していた。


>@Six-Tenmaou

が、“それ以上”を望めばやはり身の丈を逸脱する。

商いという限定された範疇ならまだしも人として“善き方向”に導くとなればな。

出来る出来ないで言えば出来はするだろうが重荷であることに違いはない。


 イマイチ要領を得ないが、シックスさんは心配してくれているのだろう。

 商人ぐらいならやってけるからあんま無理はするなと。


(……ありがとう)


 人を導くなんて大それたことをしているつもりは毛頭ない。

 でも今歩いている道は心のままに進んでいる道だ。

 忠告はありがたく受け取るが、まだ別の道に進むつもりはない。


>@Six-Tenmaou

で、あるか。好きにせよ。


 やっぱり優しい人だねあなたは。

 思わずそう漏らすとシックスさんは秒で退室した。

 ちょっと可愛すぎるだろこの人……。


「お、そろそろですね。行きましょうか」

「ええ! 今度は何を見せてくれるのか楽しみでならないわ!」


 あれこれ話し合っている内に日暮れが近付き三人も戻って来た。

 なので事前に地元の方から聞いていた場所へ向かう。


「えぇっと、ここで何を?」


 地元民からすれば何てことはない普通の岬。

 だけど、


「「わぁ」」

「まぁ」


 他所から来た人間には一見の価値がある景勝地となる。

 海に沈む夕日を見つめて声を漏らす三人がその証拠だ。

 ……まあティアだけは心打たれたというより客観的な評価という感じだが。


「……説明お願い出来る?」

「海に沈む夕日を見られるのは海が見える場所の人間だけということです」


 だから俺は夕陽が綺麗に見える場所はないかと複数の人間に聞いた。

 その中で一番多く挙がったのがこの岬だったわけだな。


「“これも売りに”出来る。客層は男女だ」


 夫婦、恋人、友達以上恋人未満。

 その手の客層を狙い打ちにする。


「リゼ、お前に恋人が出来たとしてだ。手を引かれここに連れて来られたらどう思う?」


 素敵なものを見せてあげる。

 それだけ言われ目を閉じるよう言われ手を引かれて辿り着いたのがここ。


「……それ、今の状況じゃない?」


 ぼそっと何かを呟くとリゼの頬が夕陽のそれではない赤味を帯びた。


「い、良いと……思うわ……」


 具体的に想像出来たのかもじもじしながら答えるリゼを見て満足げに頷く。


「ここで愛を誓った二人の絆は死が二人を分かつまで続くという言い伝えがある」

「「「えぇ!?」」」

「いや、そんな言い伝えねえけど」


 とここを教えてくれた一人が冷静にツッコミを入れる。


「観光客向けの謳い文句にこういうのもありだって例を挙げただけですよ」


 他にもこういう売り出し方がある。

 宿や飲食店の人間に耳打ちのような形で伝えさせるのだ。

 お客さん恋人同士かい? 良い場所ありまっせってな。

 普通に宣伝打つより広まりは遅いが、隠れスポット的な形で口コミを広げるのだ。


「真くん」

「何です?」


 おぉ、と感心したような声が挙がる中エマさんが近付いて来た。

 そして俺の手を握り、


「――――未来の町長は君よ」

「ちょっと何言ってるか分からないっす」


 獲物を狙う獣のような目だった。

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― 新着の感想 ―
第六天魔王さまの不器用な優しさ。 推せる。 真君には商いの才能もあったのね。 師匠がモンキーさんだからそこら辺も仕込まれたのかな。
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