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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第三章 夏休み

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海へ⑤

(そろそろか)


 約二時間。ビーチフットやってた彼らには他にも体を動かす遊びをしてもらった。

 本当に楽しんでいるようで水を差すのは申し訳ないが中断を呼びかける。


「リゼ、レティスさんも!」

「まだ勝負ついてないんだけど?」

「お姉さんも、あとちょっとやりたいなあなんて」

「良いから」


 と集団をビーチ内の飲食店に連れ込む。


「お、えらく良い匂いがしやがる」

「こりゃ空きっ腹に毒だぜ」


 と男性集団がわいわい言い始めた。


「今度は食事です。これまで体を動かしてた方にこっちのテーブルに」


 エマさんのように見守っていた方はこちらにとテーブルを分ける。


「真、料理はもうお運びして良いのかしら?」


 これまで俺の指示で料理を作ってもらっていたティアが顔を出す。

 こに匂いを嗅げば上手くやってくれたのがよく分かる。


「ありがとう、お願いするよ」


 魔法で冷やしてもらった水と作ってくれた料理をテーブルに並べて行く。

 メニューは海産物の串焼きや、焼きそばもどき、お好み焼きもどき。

 つまるところ海の家や屋台で売っていそうな定番メニューだ。

 こちらにないものは完全再現とはいかなかったが、そこはまあ仕方ない。

 ある程度、根っこの部分を真似られれば形にはなる。


「これは」

「まあ言いたいことはあるでしょうけどそこは後で」


 幾つか食堂のメニューにもあるが殆どは違う。


「空きっ腹のところ申し訳ありません」


 そう謝罪を入れて遊んでた組には待ってもらい動かない組に食べてもらう。

 すると、


「……悪くはない、けど味が濃過ぎないかしら?」

「ええ、ちょっとこれはキツイかも」


 と予想通りのリアクション。

 では次、とリゼとレティスさんを除く遊んでた組に食べてもらう。


「うっま!?」

「かーっ! 染みるなオイ!!」

「美味しいわねこの……何? キャベツと小麦粉の生地を焼いたもの?」

「イカってこんな美味かったか?」


 こちらは絶賛。反対テーブルの面子が目を白黒させている。

 性差や趣向の違いはあれど、ここまで別れるかと。


「疲れた時に塩気が欲しくなるのは承知していると思います」

「ええ。だから」

「そう、この食堂で出された食事も普通のところより多少塩気は強かった」


 でも足りない。

 疲労の度合いがイマイチ把握出来ていなかったのだ。


「皆さんは元々海と共に暮らして来ました。つまりこの環境に適応してるわけです」


 真夏の炎天下に海へ漁に出るなど当たり前のこと。

 体もそれに慣れてしまっているから気付き難い。


「海に慣れていない人間ならもっと消耗します。それが遊びなら尚更だ」


 仕事なら無茶をすればまずいとペース配分を考えるが遊びは違う。

 考えはしても仕事をしている時よりかは緩い。


「楽しい時は細かいことなんて気にしないでしょう?」

「おうさ。これが仕事だっつって連れて来られたが普通に遊んじまったわ」


 明日キツイだろうなあと笑うおじさんに釣られ他でも笑いが起こる。


「……だからこれぐらいの塩気が必要になるわけか」

「はい。それと塩気の調整もですがこの店のメニューそのものもです」


 ケチをつけるわけではない。

 ティアの補助についてもらっていた店の方にまずそう断りを入れる。


「ここの料理は美味しいけど少しばかり上品過ぎるんです」


 今のメニューを何品かは入れても良い。好みがあるからな。

 だがビーチで出すなら今作ってもらったようなジャンクなものをメインにする方が良い。

 客層的にもその方が打率は高いだろう。


「ただこういう店が要らないかと言えばそれも違う。この店を出すならビーチより町の中」


 新鮮な海鮮料理が食べられる小洒落たレストランみたいな感じで売り出す。

 その方がビーチで出すよりウケも良いだろう。


「奥方との大事な記念日に何時も飲んでる騒がしい酒場に連れてったらどうです?」

「そりゃまあ、不機嫌になっちまうわなあ」

「それと同じことです」


 と言えば小さな笑いが起こる。

 何人かの女性はうんうんと頷いてるあたり心当たりがあるようだ。


「……なるほど、惜しいというのはそういうことだったのね。

導線の有無もそうだけど客層に向けたアプローチがズレていると」


 必死にメモを取るエマさん。

 トップがこの勤勉さだから他の人も着いて来るんだろうな。


「あの、真? 私らも何か食べたいんだけど」

「同じく。いやお昼食べたばっかりだけどさ。あれだけ動いてたらお腹減っちゃって」

「勿論。二人はこっちに」


 あれをと指示を出し持って来てもらったのは網と七輪みたいなの。

 そしてついさっき獲れたばかりの下処理を済ませた魚介類と皿に調味料。


「好きなように焼いて食べて」

「へえ、なるほど。これは良いね」

「楽しそうじゃない」


 楽しそうな二人を地元民はイマイチピンと来てない感じで見つめている。


「皆さんにとっては当たり前のことでしょう。でも他所から来た人間には違います」


 獲れたての魚介類をその場で焼いて食べられる!

 みたいな売り文句で十分、商売になると思う。


「あとは漁師さんこの中に居ますか?」


 そう聞けば半分ぐらい手が挙がったので聞いてみる。

 漁から帰って来た後、仲間内でよく食べる賄い飯のようなものはあるかと。


「あるけど」

「じゃあそれもメニューに入れましょう」


 謳い文句はこうだ。


「地元漁師だけが知るご当地絶品料理! みたいな感じで」

「……少し、良いかしら?」


 エマさんが手を挙げたのでどうぞと促すと、


「――――真くん、うちに移住しない?」

「いやそれはちょっと」


 獲物を狙う獣のような目だった。

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