海へ②
>@Super_monkey
酷い目におうた……。
モンキーさん! モンキーさんじゃないか!
噂をすれば影とばかりにモンキーさんが姿を現す。
文字だけなのに憔悴してるのが伝わって来る。
(滅茶苦茶ガン詰めされたんだろうなあ)
シックスさん俺には不器用ながらも優しくしてくれてたけどモンキーさん相手だとな。
見下してるとかではなく親しさゆえのアレなんだろうが遠慮がまるでない。
>@Super_monkey
飲まず食わずでも何の問題もないのがこうも響くとは……。
クソ、こういう時は××の××が惜しくなるわ。
ちょっとセンシティブワードやめなよ男子ぃ。
>@Super_monkey
ちゃうわい……何じゃ、今どうなっとる?
アーカイブ見直す気力もなくてのう。
アーカイブとかあるんだ。
まあでも配信ならあるかと納得しモンキーさんが居なくなってからのことを説明する。
>@Super_monkey
ほうか……ええことじゃ。存分に楽しめい。
特に助言の必要もなかろうし儂はしばらく寝入る。
PCはつけたままにしとくゆえ、何ぞあれば大声で儂を呼べい……ではの。
それだけ言ってモンキーさんはチャット欄を出て行った。
(PC環境なんだ……)
ちなみにだが大声は問題ない。
配信スキルの副次効果なんだろう。
配信先への声かけは周囲の人間には認識されないのだ。
まあでも独り言呟いてるみたいで変な感じするから基本は心の中で応答してるが。
(しかしこれもどうなってんだかな)
俺が伝えたいと思うことだけ伝わってるみたいなんだよな。
そういう細かな気配り出来るんなら戦闘用のスキルとかも欲しかったわ。
「お待たせ!」
リゼの声が聞こえ振り返り、
「――――」
息を呑んだ。
「あら、どうなさったの? 日差しにあてられてしまったのかしら」
「いやいや。これはきっとあたしたちに見惚れてるんだよ。ね~?」
からかうように言うがその通りだ。
「うん。あんまりにも綺麗で息をするのも忘れてた」
リゼは布面積少な目のネイビーのビキニタイプでスポーティな魅力を。
ティアは清楚な白いワンピースタイプで愛らしい魅力を。
レティスさんは黒のビキニにパレオで落ち着いた大人の魅力を。
タイプの異なる魅力を真正面からぶつけられれば呼吸の一つも忘れるというもの。
そう素直に伝えると、
「「「――――」」」
三人が目を丸くしたと思ったらもじもじしだした。
「や、まあ……うん。そう?」
「えぇっと。嬉しいわ。とても」
「いや、はは。参ったね」
皆、とんでもない別嬪さんだ。
誉め言葉には慣れているかと思いきやそうではなかったらしい。
高嶺の花過ぎて逆に声をかけられ難いのか?
(……まあリゼとか初対面の時、殺されるかもとか言われてたしな)
特別不機嫌だったというのもあるが普段から見た目は鋭過ぎるからな。
「じゃ、海に行こうか」
「「「……うん」」」
こうもしおらしくされると何か俺まで変な気分になるじゃんね。
ちょっと照れ臭さを感じていたがビーチに出ればそんなもの一瞬で吹っ飛んだ。
「うみー!!」
リゼが歓声を上げて海の中に突っ込んで行ったからだ。
準備運動とか一切なしでおいおいと思ったが……異世界だしなあ。
そういう概念があるかも分からんし、リゼの身体能力なら問題ないか。
「つーか速ェ!?」
マグロかな? ってぐらいの勢いで泳いでるよあの人。
驚きつつ俺も楽しもうと借りて来た日除けを立てシートを敷く。
「どっこらせっと」
「少年は泳がない感じ?」
「ええ、まずはゆっくりしようかなと」
泳ぐのも好きだがビーチでぼんやりするのも中々乙なもの。
特に今は貸し切り状態だしな。
「レティスさんもどうです?」
「うーん、少年とだらだらするのも良いけどまずは泳ごうかな」
ちょっと競ってみたいしと、その視線はリゼに注がれていた。
肉体派の闘争心が刺激されたようだ。
「私はどうしようかしら。真と一緒にのんびりするのも良いけど」
折角海に来たのだしそれっぽいことをしたい。
かと言って今は泳ぐ気分でもないしと悩んでいたので、
「だったら砂遊びでもするか?」
「……子供じゃないのだけれど」
「砂遊びが子供だけの特権ってわけでもないだろう。ってか俺らも大人ってわけではないし」
どっこらせと立ち上がりぺたぺたと砂を盛る。
バケツがないのがちと不便だがそこはティアの魔法に頼ろう。
「……結構本格的ね」
「小さい子供なら出来ないことも大人なら出来るのさ」
俺が今作っているのはベタに城。
モチーフはバザーで見かけた絵に描かれていたものだ。
どうせ作るからには凝りたい。
「……城壁が少し薄くないかしら?」
「お、乗って来たな。確かにこれじゃ攻められた時に困るな」
「お城って為政者の権力を示すものでしょ? これだと少し地味だわ」
「一理あるな」
ああでもないこうでもないと言い合いながら築城を進める。
何時しかそれはもし自分が城を作るならという想定でのものに変わっていた。
こういうところでもティアの卒なさは遺憾なく発揮された。
俺のふんわりとした要望に肉付けをしてくれるので作業が進む進む。
結果、
「「うぉ!?」」
戻って来た二人が軽く引くほどのものが出来上がってしまった。




