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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第三章 夏休み

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海へ①

 翌々日。

 俺たちは帰って来たばかりだというのに再度馬車に揺られていた。

 つってもあの時と違い目的は遊びで距離もリーデルから一日半ほど。


「……ま、まだ着かないのかしら?」


 なのでリゼも酔いで青くしながらワクワクを隠し切れないぐらいだ。


「もうちょっともうちょっと。だから、ね? あとちょっと頑張ろ」

「……うん」


 レティスさんに言われ素直に頷くリゼ。


(よっぽど海水浴が楽しみなんだな)


 この世界にも海水浴という文化は存在する。

 ただ元の世界ほど一般的ではないし場所もそう多くない。

 富裕層の娯楽に近いものだからリゼからすればちょっとした憧れなのだろう。

 川で泳いだりはしてたみたいだけど海は行ったことすらないみたいだし。


「それにしても初耳だったわ。リーデルの近くにビーチがあったなんて」


 ティアの言葉に俺も頷く。

 ちょっと遊びに行こうと誘われた時は街で何かするもんだとばかり思ってた。

 それが蓋を開けて見れば海水浴でリーデルからそう遠くもないという。


(立地的にリーデルに居れば話は聞こえてきそうなもんなのにな)


 この世界でビーチを作るのは大変だ。主に安全確保の面でな。

 海に面していて尚且つ豊かな土地であるのは必須条件。だからビーチが少ないのだ。


「そりゃそうだ。開業前だからね」

「「開業前?」」

「これから行くルミエラは元は小さな漁師町でさ」


 遡ること二十数年前、当時はまだ子供だった現在の町長はこう思ったそうだ。


「“この町には未来がない”ってね」

「廃れて滅ぶということかしら?」

「そこまでではない。ここでいう未来は発展性って意味だよ」


 漁をして売り捌いてそれで暮らすだけ。

 漁獲量に翳りが見えたら男は他所に出稼ぎへ。女は内職を。

 もし将来自分に子供が出来たとしてそれで良いのか? と考えたのだ。


「それでビーチを作り観光資源にってことですか?」

「そ。子供の絵空事と侮るなかれ。町長は時間をかけて安全面の問題はクリアした」


 冒険者に依存しない体制の構築だ。

 始まりは自警団のようなもの。

 地元の人間が戦うことが出来ればギルドに依頼する金が浮く。

 最初はそう説得して徐々にビーチを作る際の安全確保に持っていったそうだ。


「やり手ね。言うのは簡単だけど実際にやろうと思えばかなり大変だったはずよ」

「みたいだね~。私も軽く聞いただけなんだけど」


 町長の才覚なら帝都の役人になって官僚にもなれたんじゃないかとのこと。

 ルミエラという町は幸運だな。

 そんだけの人間が地元愛に溢れ尽くしてくれてるんだから。


「営業は来年からで今年はその前の最終調整ってことでね」


 信頼出来る人間を招いて利用感を確かめてもらってるらしい。

 そこで出た意見をフィードバックして来年の営業を盤石にってことか。


「レティスさんはどうしてそんなとこに伝手が?」

「リーデルに来る前に少し滞在してたの」


 その間に色々してたら大変感謝されたらしい。

 それで俺らが依頼に出る少し前、プレオープンに招待されたとのこと。


「招待されたのに顔出さないのもあれでしょ? だから近い内に行くって言ってたの」

「俺たちも一緒で良かったんですか?」

「ご友人も誘って是非にってあったからね。向こうとしても人が多いのはありがたいでしょ」

「ああ、そりゃそうだ」


 多角的な意見を貰える方が良いに決まってるもんな。

 ましてやレティスさんという社会的信用がある人間の知己なら尚更だ。

 徒に人を呼んでも客の質が悪ければ意味がないし。


「そういうわけだから遠慮なく楽しんでくれて良いよ」

「……楽しむ。めっちゃ楽し……う゛っ!?」


 楽しむ人間の顔じゃねえんだわ。

 無理に喋るなとリゼの背中をさすってやる。


「――――着きましたよ」


 と御者に声をかけられ外に出る。


「あら、中々良い雰囲気じゃない」


 元は漁師町と聞いていたが全然そんな感じはしない。

 観光地化のため徐々に手を入れていたからだろう。

 印象としては華美さはないが小綺麗にまとまってる感じだ。


「あら! レティスさんじゃないの!!」


 まずは宿にと思ったところで声をかけられる。

 四十手前ぐらいの日に焼けた健康的な女性だ。

 随分とエネルギッシュな印象を受ける方だなと思っていると、


「これは町長。お久しぶりです」

「ええ、ええ! 来てくれたのね。嬉しいわぁ!!」


 この人が例の。


「そちらはご友人かしら? はじめましてルミエラの町長を務めてるエマよ」


 どうぞよろしくと手を握られる。こちらこそとこっちも名乗り返す。


「まだ開業前だけどきっと楽しんで頂けると思うわ。ゆっくりしていって頂戴!」


 おススメのお店やらをえらい勢いで教えてくれ、エマさんは去って行った。


「嵐のような人だったわね」

「ああいう人だから大きな改革に乗り出せたんだろうな」

「……私はああいう人、好きだわ。うん、よし、元気出て来た! 海に行きましょ!!」

「まずは宿だっつってんだろ」


 復活したリゼの肩を軽く小突き滞在に使う宿へ向かう。

 ビーチの直ぐ近くにプレオープン客用の宿があるとのことだ。

 今はプレ客は居ないようで数日は貸し切り状態らしい。

 部屋で荷物を置き昨日購入した水着に着替え外で皆を待つ。


(しかしこういう時、はしゃぎそうなモンキーさんが全然顔出さねえな)


 まだシックスさんに詰められてるんだろうか?

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