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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第三章 夏休み

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器量

「っと、すまないね。疲れているだろうに重い話題になってしまった」

「いえそんな。むしろありがたいです。今はパーティを率いる身ですから」


 そこらをしっかりと考えておくべきだった。

 やっぱり気が抜けていたんだろう。


>@Super_monkey

まあ仕方のないことよ。ずっと気を張っていれば心が先に参ってしまう。

目に見える対処すべき事柄があるなら別だがそうでないなら気を抜くのも将の仕事ぞ。

何、何時までも腑抜けておったら儂が尻を叩いてやるゆえ安心せい!


 一週間の休日を楽しめと言ってくれているのだ。

 先生といいモンキーさんといい年長者の方には世話になってばかりだな。


「ふむ」

「先生?」

「いや、話を聞いていて思ったが君には人の上に立つ器量があるようだ」

「……そうですかね?」


 軍事的な素養に関してはモンキーさんとシックスさん頼りだったし。

 まあそこは説明出来ないのでスルーするしかないのだが。


「指揮能力とかそういう話ではない。もっと根本的なところだ」

「根本的なところ?」

「そう。極論、指揮能力などは優秀な副官をつければ補える」


 だが目に見えない資質は誰に補えるものでもないという。


「少しテストをしよう。何、お遊びのようなものだ。気楽に答えてくれれば良い」

「はあ」

「君が領主になったとしてその土地を良く治めようと思う。さて何を目指す?」


 細かな差配ではなく大目標ということか。


「その土地はどんな感じなんでしょう?」

「良く気付いた。そうだ。どんな土地かも知らずに方針を立てられるわけがない」


 先生は軽く前提を説明してくれた。

 豊かな土地ではないが極端に貧しいわけでもない。

 特産品などの類もなければ資源が豊かなわけでもない。

 一度大きな不作が起これば大きく被害を受ける、そんな領地だそうだ。


「そう、ですね」


 しばし考えた末頭に浮かんだのは、


「……おかず」

「おかず?」

「ええ。日々の夕食におかずを一品増やしてあげる。まずはそれを目標にしようかなって」


 半年食うや食わずの底辺を彷徨って食べることのありがたみは身に染みた。

 リゼとパーティを組んでおかずを一品増やせるようになった時の感動は今も忘れられない。

 前提条件からしてその土地に住まう人々にとってささやかな幸せに繋がるかなと。

 まあ為政者としてはしょうもないこと言ってるのかもしれないけど。


>@Super_monkey

いや、それでええ。おみゃあは間違っとらん。


 マジか? と思ったが先生も感心したように頷いている。


「やはり私の見立ては間違っていなかったようだ」

「えぇ……?」

「今は理由が分からないだろう。それを知るためにもこれから更に学ばねばな」


 それからしばし、色々と話をしてから先生の家を後にした。

 日は落ち暗くなり始めた街並み。

 歩いているとすれ違う民家から炊事の煙が香った。

 以前はどうしようもない寂しさを覚えていたが今は違う。


(仲間が出来て、帰る家も出来た)


 物的な充足で言えば日本に居た頃の方が圧倒的に上だ。

 けど天涯孤独の身からすれば心は圧倒的に今の方が満たされている。


「ただいま」

「おかえり~」

「おかえりなさい。夕飯はもう少し待っていてくださいな」


 ごろごろしているリゼとキッチンで料理を作っているティア。

 これからはこの光景が当たり前になっていくのだろう。


「ああ。幾らでも待つよ」


 言いつつも俺の空腹はかなり刺激されていた。

 やべえ、滅茶苦茶良い匂いするじゃんよ。


「で、どうだった? 馬車酔いの話、聞いて来てくれた?」

「ああうん、一応」


 寝転がっていたリゼがぴょんと跳ね起き聞く姿勢に入った。

 かなり期待しているようだけど……。


「前日に十分な睡眠を取る」

「バッチリ寝たわね」

「当日は空腹と満腹を避ける」

「程良くってことね。やってたわ」

「体を締め付けない服装にする」

「……してたわね」

「遠くの景色を眺める」

「……見てたわね」


 そこで沈黙が訪れる。


「全然ダメじゃない!!」

「やるだけやって無理ならそれもう体質だから仕方ねえよ」

「仕方ないで済ませられんないわよ!? 毎回、レティスさんに着いて来てもらうつもり!?」


 毎回締め落としてもらうつもりなのかよ。

 幾ら懐の広いレティスさんでも怒るぞ。

 とりあえず明日、改めて御礼に行かんとな……。


「シルバーになったら遠くに行くこともあるらしいのに……」


 近場で済ませるという答えにならないあたり本当にポジティブだ。

 苦手を克服しようという意思を感じる。


「あとはまあ、数をこなして慣れるかどうかを試す?」

「……言われてみれば片手で数えるほどしか乗ってないのか」


 まあ都合良く馬車が必要になる依頼があるかは別の話だけどな。

 リゼとお喋りをしているとティアから食事が出来たと声がかかる。

 具沢山のスパイシーな香り漂う鍋にサラダ、ガーリックブレッドに炙ったチーズ。

 あまりにもご機嫌な夕食に思わず喉が鳴った。


「さ、召し上がれ」

「「いただきます」」


 考えることは同じらしい。

 俺もリゼも真っ先によそってくれた鍋に手をつけた。

 これが堪らなく良い匂いをしていたのだ。


「「「……!!」」

「どうかしら?」

「「……」」

「お口に合わなかった?」


 考えることは同じらしい。

 俺とリゼは同時に立ち上がっていた。


「「あの、お金払いますんで」」

「結構よ」


 ティアの飯は信じられないぐらい美味かった。

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― 新着の感想 ―
全ての民に食を与えようって、すごい事だよね。 何気なくそれが口に出る真君すごい。 パーティ内の食事情も良くなって良い未来が見えてきた。
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