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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第二章 暁は銀色

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ただいま

 レティスさんの見立て通り、四日でギルドの職員がやって来た。

 驚いたのは調査隊の陣頭指揮を執る人間だ。


「例の死体はどこに?」


 ワイアルドさん。通称異世界佐吉。

 やべえ事態だとは思ったが支部長自らとは流石に予想していなかった。


>@Super_monkey

まあこ奴の性格上。事の重大さを鑑みて自分が直接出向くのが最善と判断したのであろう。

正直、儂は予想しとった。そしてこ奴だからこそ交渉も上手く行くであろうとな。

今回は徹頭徹尾理屈でものを判断する手合いとの交渉のやり方を見せてやろう。


 後でな! とモンキーさんが続ける。

 少々締まらないが支部長の性格を考えれば当然だろう。


「こちらに」


 この人相手なら余計な問答は要らない。

 支部長を連れて寄り合い所にある蔵へと向かう。


「……何だこれは」


 報告書は読んだのだろう。

 それでも尚、支部長ですら驚愕するのだから他の面子は尚更だ。

 見た目も人に近く人語を解し武器まで使用するオーク。

 後でリゼから聞いた話からして指揮を執っていたのもコイツだ。


「それを調べるために来たのでしょう? 解剖に使う家屋は別途用意してあります」

「その通りだ。解剖班は死骸を持ってそちらに」

「山で現地調査を行うなら俺たちと現地の人間をガイドとして使うべきかと」

「尤もだ。手配は」

「既に済ませてあります。許可さえ頂ければ直ぐにでも動かせます」


 一応、俺も遊んでたわけじゃないんだ。

 支部長が来るのは予想外だが調査が円滑になるよう仕込みは進めていた。


「ですがその前に調査隊の滞在場所を先に決めておくべきでしょう」


 村長さんに視線をやると小さく頷いてくれた。


「調査に赴くならまずはそれを済ませてからの方が効率的かと」

「……素晴らしい」


 褒められたよオイ。


>@Super_monkey

まあこ奴の性格上そりゃあな。とっつき難くて理解者も多くはなかろうて。

そこにおみゃあが自分が要求することだけを的確に並べ立ててくれたんじゃ。

褒め言葉の一つぐらいは出て来よう。こ奴も人間なんじゃから。


 さあ、この時間を有効活用するぞと言われ心の中で頷く。


「待っている間に一つよろしいでしょうか?」

「構わん。何だね?」


 補償と滞在費の交渉に入る。

 つってもモンキーさんの言葉をそっくりそのままなぞるだけなんだがな。

 結果は語るまでもない。大成功だ。

 戻って来た村長に親指を立てて見せると、


「うぇぇ!?」


 と驚いていた。

 そんなリアクションをスルーして支部長は書類を作るから少し待てと告げる。

 村長からすればコクコクと頷くことしか出来んわな。


「ではこれにサインを」

「は、はあ」


 手早く書類を済ませ契約は成った。


「では行こう」


 やはりと言うべきか支部長も同行するらしい。

 ならばと道中で再度、俺の口から報告をしておく。

 届いた便りの内容と齟齬がないかの確認だ。


「……なるほど。確認だが」

「ええ」


 とまあこんな感じで調査に付き合うこと四日。

 調査隊はまだ残るが俺たちは守秘義務を課されお役御免となった。


「シルバー昇格は確実だが少し時間がかかるので報せを待つように」

「ええ」

「帰りは高速馬車を手配してある。使いたまえ」

「ありがとうございます」


 ちなみに支部長はもう数日ほど滞在してから帰るとのこと。

 人員の引き継ぎがあるんだろうな。ここからはもう俺が関与することは何もない。


「高速馬車だから行きよりは早く帰れる。頑張って耐えてくれよ」


 馬車を待つ間、俺はリゼにそう話しかけたのだが……。


「フッフッフ」


 何やら様子がおかしい。


「私をあの時の私と一緒にしないで頂戴。最高の対策を用意したわ」

「は?」


 自慢げにレティスさんを見つめるリゼ。

 ちなみに帰りはレティスさんも一緒の馬車だ。


「……本当にやるのぉ?」


 何故か心底渋い顔。一体どういうことだろうか?

 ティアは知ってると? と話を振れば、


「いいえ。神魔法に酔いを抑えるものなんてあったかしら?」


 と小首を傾げられる。

 そうこうしている内にギルドの高速馬車がやって来た。

 まずは荷物を載せ次は俺たちというところでリゼがレティスさんの背中を叩いた。


「レティスさん! やって頂戴!!」

「……ああもう分かった分かった」


 何をするのかと見ていると、


「はぁ!?」


 レティスさんがリゼを後ろからキュっと締め落とした。

 何かをやり遂げたような顔で崩れ落ちるリゼを受け止めるレティスさん。

 え、ちょっと待って。


「……物理で意識を飛ばしてその間にってこと?」

「……のようだよ。起きる度に気絶させてくれと頼まれたよ」

「……うちのリゼが申し訳ありません」


 そんなこんなで俺たちは帰途についた。

 リゼは本当に馬車が動いている間は最高の対策を打ち続けた。

 ドンドン目が死んでいくレティスさんが気の毒でならない。

 嫌なら止めても良いと言ったんだけど、


『あそこまで切羽詰まった顔で頼まれたら流石に』


 とのことで付き合ってくれた。

 今度改めて手土産持参で挨拶に行こうと心に誓った。

 道中は本当に何もなくあっという間だった。


「……」


 リーデルの街が見えた途端、何だか胸がいっぱいになった。


(ただいま)


 帰って来たと素直に思えたのだ。

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― 新着の感想 ―
異世界佐吉君デレたw そしてリゼさんの馬車酔い対象法w レティスさんが可哀想ですぞw
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