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俺のスキル【配信】コメント欄が戦国武将だった~秀吉の教えでどん底から成り上がる~  作者: 清松
第二章 暁は銀色

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田舎者の流儀

「……はあ。やっとね」


 うんざりしたように呟くリゼ。気持ちは分からないでもない。

 少し先に見える村まで来るのにリーデルから馬車で三日半。

 馬車の停留所がある小さな町から更に歩いて半日だからな。


>@Super_monkey

こ奴にとっては馬車が一番堪えたようだのう。

しかし不思議なもんじゃ。戦闘じゃぴょんぴょん跳ね回るのに馬車の揺れは駄目とは。


 馬車に乗ってる間、俺はティアとお喋りをしていたがリゼは無言。

 別の理由もあるだろうが一番大きいのは馬車酔いだ。

 口を開いたら出ちゃうと漏らした時の顔は悲壮感半端なかった。


「フフ、お疲れ様」

「……どーも。で、あれが例の?」


 リゼの視線は村の背に聳える山に注がれていた。

 立地を見れば分かるように村の暮らしは山の恵みに大きく支えられている。

 だが複数のモンスターが巣を作ってしまったことで山への立ち入りが難しくなってしまった。

 村に来るモンスターは撃退出来るが攻めるとなれば厳しい。

 そこでギルドに討伐依頼を出したというわけだ。


「だろうな。直、日暮れだから動くのは明日になるだろう。まずは村長に挨拶しないとな」


 そうして村の中に入ったところで待て! と制止される。

 現れたのは十五歳ぐらいの子供が五人。全員武装してるところを見るに自警団の一員か。

 リーダーと思われる赤毛の少年が一歩前に出る。


「何もんだ」

「討伐を依頼を請け負った冒険者だよ。村長さんのところに案内してくれるかな?」


 登録カードを見せるが少年は黙ったまま。

 俺たちを見る目はあまり好意的ではない。排他の色が窺える。


「……帰れ。お前らの手は借りない」

「ちょ、ちょっとリックくんまずいって!」

「黙れ! 何でわざわざよそもんの手を借りなきゃいけねえんだよ!?」


 自分一人ではキツイが村人総出でかかれば何とかなる。

 そう力説する少年リックとそれを宥める他四人。

 どうしたものかと迷っていると騒ぎを聞きつけて大人たちがやって来た。


「何やっとるんじゃリック!!」

「村長……」


 疲れた様子の老人がリックを叱り飛ばし俺たちに頭を下げる。


「ご無礼平にご容赦を。儂からもキツク言って聞かせますので」

「いえ、彼の気持ちは分かります。……この村は冒険者が常駐するような場所ではない」


 モンスターはどこにでも居るが冒険者はどこにでも居るわけじゃない。

 報酬が確実に支払われるという信用のあるギルドがある場所を拠点にするのが大半だ。

 中には領主が個人的に雇い入れ、領内の村に常駐させるなんてのもあるが滅多にない。

 そういうところは自警団を結成し自分たちの手で村を守るしかないのだ。


「自分たちでやって来たという自負があるんでしょう。その怒りは当然です」


 金でしか動かない冒険者に良い印象がないのは仕方ない。

 冒険者は金銭を対価に危険な仕事に従事してるわけだがこういうのは理屈じゃない。

 大人ならまだしも子供なら余計にだ。

 あとこの様子を見るに冒険者に何か嫌な思い出もあるのかもしれない。


「何も知らないよそ者に金を払ってなんてふざけた話だと思うのは仕方ない」

「……」

「でもリックくんだったかな? 村長さんの気持ちも理解してあげて欲しい」


 村人総出でなら確かに勝算があるのかもしれない。

 だが被害ゼロで勝てるのか?

 死ぬのは一番まずいし怪我をするだけでもその後の暮らしに影響が出る。


「皆の安全がお金で買えるなら安いもの。村長さんはそう思ったから依頼を出したんだよ」


 よしここじゃ! とモンキーさんから指示が飛ぶ。分かってるとも。


「村長さんの皆を想っての判断。どうか尊重してあげて欲しい……あ、いやそういう意味じゃなくてね?」


 俺がそう言えば周囲で見守っていた人たちから笑い声が漏れだす。

 小さな田舎の村。ある程度、閉鎖的な空気になってしまうのは致し方ない。

 そのコミュニティにお邪魔する以上、少しでも良い印象を持ってもらわないといけないからな。


「何笑ってんだよ!? 偉そうに説教垂れやがって……!!」

「リック! お前という奴は……!!」


 村長が顔を真っ赤にしてリックを睨み付ける。

 このままでは彼の立場がよろしくない。

 フォローに入ろうとして、


「あんたの言いたいことはよーく分かったわ」


 リゼが先に口を開いた。


「でもさ、あんたも男なら言葉じゃなく行動で示してみせなさいな」

「何を」

「あ、ちょっとあれ借りるわね」


 少し離れた民家の玄関先に置いてあった切り株。

 そこに刺さった薪割り用の鉈を引っこ抜きリゼはその切っ先をリックに向ける。


「安心なさい。ちゃんと手加減してあげるから」

「舐めやがって!!」


 とリックも剣を抜く。

 そして周囲の制止を振り切ってリゼへと斬りかかるが、


「は?」


 その刀身が根本から消滅していた。

 リックは元より村人たちも何が起こったか分からず呆然としている。

 理解が及んだのは宙を舞っていた刀身が地面に突き刺さってから。


「……き、斬ったのか? 薪割り用の鉈で?」


 くるくると鉈を回しているリゼを見てガタイの良い男性が信じられぬと呟く。

 腰に剣を差しているあたりそこそこ心得があるのだろう。

 だからこそ鉈で圧し折るのではなく断ち切ったという事実に戦慄している。


「私はあんたより強い。お分かり?」

「……く、クソッ!!」


 リックがその場から走り去る。

 反射的に追いかけようとするがリゼに止められてしまう。


「大丈夫よ。田舎者には田舎者の流儀があるんだから」


 一晩あれば飲み込めるとリゼは言う。

 自身も寒村出身だから分かることがあるのだろう。

 でも、


「それは良いけど……お前、村の貴重な武器を一つ台無しにしてるんだが?」

「あ゛」

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― 新着の感想 ―
余裕のある会話。 そして、村の若い衆との対立。 良いですね。 でもリゼさんはこう何と言うか、手加減と言うか・・・ もう少しね?
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