私たちの能力は人を通して、国、世界、そのすべての成り立ちと成り行きを知ることができるのだから、危機を救うこともできれば、破滅に導くことだって……
「マジかぁ~! あたしとは全然違う見え方してたってことか? こいつぁ一本取られたな! にしてもあんなのどっから生まれたんだろうな?」
「うん、そしてどう終わるんだろうね」
「だよな。あんなスゲェやつにも始まりがあって終りもたぶんある。ってことはさ、あたしら人間程度は好きにやってもいいてことじゃね? そう思わん?」
「極論過ぎるけど、まぁ分からないでもないかな」
「おっ? 少し考え変わった?」
それにはあえて答えなかった。
いまは混乱しすぎていて、とてもじゃないけど結論など出すことはできない。
どころか、余計にそれが遠ざかったともいえる。
でも、あの不思議な存在が言っていたように、能力を使えばひょっとしたら……ひょっとしたら私の考えているようなちっぽけな悩みなんて、簡単に解消することができるのかもしれない。
確かに万能なのだ。
私たちの能力の発動は時場所場合を問わない。
未來と心が重なり合えば、断片といえどもいつでも誰でも過去と未来を見ることができるのだ。
もしかしたら練習を重ねることで、能力が別の発展を遂げることになるかもしれないのだ。
それこそ一人で過去も未来も見ることだって……。
いや、いまの時点でも、ものすごいことはできる。
それこそこの国の重要人物、どころか世界のトップの未来と過去だって幾らでも覗き込めるのだから。
試したことはないけれど、もしかしたらすでに死んでいる人、歴史上の人物の過去を見ることができるかもしれないし、これから生まれてくる子供については、その未来が……。
それが可能なのであれば、迷宮入りした事件を解決できるかもしれないし、これから起こる事故を未然に防ぐこともできるだろう、もちろんその逆だって思いのまま……そして、それが持つ意味とは?
時代を変えることも作ることもできるとあの不思議な存在は言ったけど、まさにその通りかも知れない。
人を通して、国、世界、そのすべての成り立ちと成り行きを知ることができるのだから、危機を救うこともできれば、破滅に導くことだって……。
そのすべてが私たちの考え次第。
どうにでもできる。
今を、そして未来を。
人を、その世界を。
それこそ私たちの力の影響を受けて変わりゆく未来だって、さらにその先の未来を覗きこめば容易に軌道修正をすることだってできるだろう。
それに伴う犠牲に目をつむればだけれど……。
何をするにしても犠牲や場合によっては生け贄の存在は不可欠。
それならば何を気にすることがあるのか?
正義の名のもとに?
エゴではなくて?
でも、それが身近な存在だった場合はどうするの?
愛する人。ましてや自分自身のことだとしたら?
「……」
それにしても私たちがあの不思議な存在と同じ高みに上がれると言っていたけれど、何の確証があるのだろう?
もしかしたら、あれも元は人間だったとか?
そしてあの存在を通じて感じたことは?
恐怖?
万能感?
寒気?
それとも……憧れ?
「……」
そして私はあれを見たときどう思ったのか?
驚いた?
でもそれは何に対して驚いたの?
恐ろしさ?
神々しさ?
美しさ?
一つだけ言えることとしては、私の知的好奇心は強くくすぐられた。
それも恐ろしいほどに。
これだけは確かなことだ。
たぶん、この能力の持つ魅力は、現世で学んで知ることなど足元にも及ばないほどの素材であることだけは間違いない。
そしてそれを知りたくば能力を使えとあれは言った。
見えるのかもしれない。
過去と未来を覗き続ければ、いつか何らかの真理に行き着く可能性はあるかもしれない。
「……」




