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恐怖だって? 嘘だろ? これってワクワク&ドキドキだろうが? 普通の生活では体験できないものがそこにはあるのかもしれないんだぞ? それにときめかないで一体なにに興奮するっていうんだよ?

「もちろんさらなる悲劇もね」


言われっぱなしが悔しかったので一矢報いるつもり言った。


「まあね。でもな、お前は一体何をそんなに恐れているんだ? 見えないことや理解できないことがそんなに怖いのか? それって逆だろ? 見えていないことにこそ未来、可能性があるんだ」


「身近なものでは、あたしらの回りにあるもの、人工的なものはすべて元々色も形もなかったはず。それらはすべて手探りでゼロから作り上げたものなんだから。それどころか目に見えないものすら見つけ出してもいる」


「重力が働いていることや地球が丸いことなんて、いったいどうやってわかったんだ? それを発見するなんて素晴らしすぎるだろ? そんな未知なるモノにお前は惹かれないのか? 自ら可能性を狭めてどうすんだよ?」


「可能性? 今回の異常事態については、そんなものなど感じようがないでしょ! ただ単に恐怖があるだけじゃない!」


「恐怖だって? 嘘だろ? これってワクワク&ドキドキだろうが? 普通の生活では体験できないものがそこにはあるのかもしれないんだぞ? それにときめかないで一体なにに興奮するっていうんだよ? お前はなにをそんなに恐れているんだ?」


「世の中には知らなくてもいいことがあるんだよ!」


「なら、勉強なんてやめてしまえよ。皮肉な話、お前は勉強しているからそういう成り立ちはわかるんだろうけど、そんなんじゃ所詮そこ止まりだろうね。決してそれら素敵なことを見つけることなんてできやしないのさ」


「勉強というなんにでもなる可能性を秘めた素材で、お前はけっして切り開いたり打開するために必要な武器や鍬を作ろうとはしない。なぜだが無駄に立派で頑丈な盾や鎧ばかりをこさえている。安全な家の中にしかいないのにも関わらず」


「……」


「お前は何のために勉強しているんだ? 臆病になるためか? 卑屈になるためか? 上手な言い訳を思いつく保身のためか? 華子を見ていると、知るほどに学ぶほどに小さくなっていくような気がしてしかたがないんだ」


「そんなふうになるくらいなら、勉強なんてしないほうがましだね。でも、まぁいいさ、来ないなら来ないでも。家に帰って守りの勉強の続きでもしていろ。あたしはじいちゃんと一緒に行く。後でいくらでも見ることができる本や教科書にはないことを体験するためにね」


「……」


「お前はいつまでも未来に縛られていればいいさ。そうすれば決められた未来とやらのせいにして温く生きていくことができるだろうしな」


そういうと歩き始め、間もなくすると振り向きざまに顔を掻きながら照れくさそうに話し始めた。


「でもさ、ありがとうな。ホント、感謝してるよ。華子の協力なくしてはここまでこられなかったのも事実だからな。あんなにいやがっていた未来と過去を見るのを手伝ってくれただけでもあたしはうれしかったよ」


「だから、もう無理しないでも大丈夫だ。うん! 華子はここまででいい。それにじいちゃん、絶対喜んでいると思うし後悔だってしないはずだ。未来が見えなかったのだってたまたまかもしれないじゃん? だって未来だもん。なにがあるなんてわからないし、わかってなんてたまるかってんだ! あたしだって、この先何があってもお前を恨むようなことはしないぞ!」


「……」


「じゃあな!」


そういって右手を軽く上げると未來は行ってしまった。


「……」


「……」


「……」


『……なんで? なんで! なんで!?』


『なんで言い返さなかったんだ! 馬鹿! 馬鹿! 馬鹿!馬鹿! 私の馬鹿!』


かつてこんなにまで悔しい思いをしたことはあっただろうか?


いや、ない!


未來なんていつでも言い負かせていたし、偉そうなことなんて、言われたくも言わせたくもなった。


けど言われてしまった。


それも言い返せないくらいコテンパンに。

それも捨て台詞にいたっては、きれいに場をまとめるような発言までされる始末。


「……」


私は、認めたわけではない。

未來が言ったことなんて。

けど……。


唇をかみしめた。


痛い。


でも今はその力を緩める気にはなれなかった。

なにかで読んだことがあった。

痛みと記憶の関連性について。


「痛みはすなわち記憶」


それを知ることで繰り返さぬように予防線を張るということなのだろうか?


これってさっき未來が言っていたことまんまだな。

あいつは本なんて読まないから、なんらかの経験、自分の体を通して得た知識なのだろう。


体を通して学ぶ……って、さっきおじいちゃんの言っていたことだ。


なんだか無性に悔しくてしかたがない!

いや、この際未來なんてどうでもいい。

とにかく私はこの屈辱を忘れないように、記憶としての痛みを植え付けているのだ。

そして、疲れた体に鞭打って、未來の後を追った。


「くそ! なにが後で見ることができる、だ! 元々教科書なんて開いたこともないくせに!」

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