だって運命だのなんだの言っているんだからまともなわけないし。まともじゃないんだから異常なくらいでちょうどいいんじゃね? 友達どころか、鬼が出るか蛇が出るか? もしかして神様なんか出てきたりしてな!
「こんな状況、まさに願ったりだろうが?」
コイツ、やっぱりおかしい。
あまりに考えられない状況ゆえに、未來の足りない頭脳では現状を処理しきれていないのかもしれない。
呆れつつも言い聞かせる。
「あのさ、どこが願ったりなのよ?」
「らしくないな。んなこともわかってないんか?」
「……なにが言いたいわけ? もったいつけていないでハッキリ言いなよ」
「だって運命だのなんだの言っているんだからまともなわけないし。まともじゃないんだから異常なくらいでちょうどいいんじゃね? 友達どころか、鬼が出るか蛇が出るか? もしかして神様なんか出てきたりしてな!」
そうだった。
異様な雰囲気に目を奪われて当初の目的を見失っていたのかも。
こればっかりは悔しいけど未來の言うことのほうが正しそうだ。
でも……。
「で、でも本当に何が出るのかなんてわからないだろ。神様どころか、もし悪魔だったらどうする?」
「おいおい、お前もしかして『日本昔話』のように「あたしゃ神様だよ」なんて具合にひょっこり出てくるとでも思っていたのかよ? ま、もちろんそれはそれでアリなんだろうけどさ。てか、お前何の心配しているんだ? 意味わかんねぇぞ?」
心配……。
そうだ私は何を心配しているんだろう。
「ん? 顔色悪いぞ? それにさ、さっきのリンクでじいちゃんの未来はまったく見えなかったのかよ? って、それ聞いたらつまらなくなるな! なにが出るのかは会ってのお楽しみのほうがいいか!」
「えっ? おじいちゃんの未来なんて……あっ……」
「にしてもいったいどんな友達なんだよ。こんなスゲーことやってのけるんだから、ただのダチンコじゃなさそうだな!」
未來の声など聞こえない。
それよりもおじいちゃんの未来、ほとんど見えなかった。
まったくもって。
それは余命が無いことを意味しているはのでは?
ガンとはいえ、残り少ないながらも多少は見える未来はあるはず。
それがまるで無いということは……
すなわち死。
そうなのだ。
遅まきながら思い当ったこの事実。
おじいちゃんの未来がほとんど見えなかったということは、もう人生の残り時間が少ないという見方ができるではないか。
そしてそこに関わる私たちは……。
漠然とした不安や心配の根源はここにあったのだ。
そんな大事なことにいまさら気がつくなんて……。
とっさに未來に指示を下す。
「未來! おじいちゃんを早く止めないと!」
私がせきたてるも未來はさっきから手に携えている棒きれをもてあそびつつ、しなり具合を確認している。
もう、本当にいい加減にしろ!
「ちょっとなにやってんの! このままじゃまずいことになるよ、絶対!」
「いったい何がまずいんだ? お前の言うことはよくわからん。それに……」
「だから!」
「まぁ聞けって。さっきのリンクでじいちゃんの未来をどこまで見たのか知らんけど、今のお前の反応からすると、じいちゃんの先がもう無いってことなんだろう? 違うか?」
「うっ、それは……」
「ふむふむ。もしこの件でじいちゃんが死ぬのだとしたら、ますます連れて帰ったらダメだろが。それを望まなかったからこそ今ここにいるわけだし、そしてお前もそれに同意したから同じくここいる」
「状況が違うって! わかっていて、みすみす死地に行かせるようなことは……」
「お前はじいちゃんの心配もしているだろうけど、それ以上に自分の安全について気をもんでいるんじゃないのか? もしかしたら死ぬかもしれないじいちゃんの運命に巻き込まれたくないというさ」
「そ、そんな、ことは……」
図星を突かれて狼狽してしまった。
そして私の真意を問うような、未來には珍しい厳しく問いかけるような視線で見つめられて、思わずドキッとする。
「お前は昔からそういうところあるよな。水たまりを前に飛び越すでもなく迂回するでもなく、あたしがどちらかの行動をとってからいいほうを選択するというさ。けどな、そんな考えじゃなにも生まれやしないぞ?」




