第二話:プライド
予約した中華料理屋に着いた。
レジに行き名前を言うと小太りの中国人が奥の個室に案内してくれた。
「リク様御一行ハコチラダネー。」
片言ながらもしっかりとした日本語に長い期間日本で料理を振るっている事がわかる、料理への期待が高まる。
「食べ放題ハ90分ネ~、ドンドン頼ムヨロシヨ~。」
俺達はこの店の店長らしき小太りの男に軽くお辞儀でお礼を言うとニッコリ笑ってくれた。
いい人だ、それにあの余裕のある顔だ。
きっと料理にも自信があるのだろう、さらに味への期待が高まる。
ウキウキしているとリクが喋りかけてきた。
「良い人だったね、お言葉に甘えてどんどん注文しよっか!」
リクもウキウキした表情で今にもヨダレを垂らしそうだ。
まるで夕食がハンバーグの時の小学生のような表情だ、きっとショタコンお姉さんなら一撃必殺だろう。
まあ、俺でもグラッと来たよ少しね、本当に少しなんだからね!!
俺はグラつきながらも発信機的な物をピンポーンっと押すと飛んで来た。
「ゴ注文ハキマリマシマシタカ?」
「えっと、エビチリとマーボー豆腐と、」
俺達の注文を遮るようにピンポーンっと鳴る。
店主らしき小太りの男は「少々オマチクダサイヨー。」っと言うがピンポーンが止まらない。
店主らしき男は少し困った顔をした、俺はこのままでは逆に遅くなりそうなので先に譲ることにした。
「どうぞ、先に行ってあげてください。」
「面目ナイヨー、スイマセンネー。」
男は苦笑しながら頭を下げて小走りで向かって行った。
そしてリクの方を向くと目を輝かせていた。
「やっぱりスマートだよね。」
「どっちかっていうとヒョロヒョロだけどな。」
俺が焦点をずらした冗談を言うと少し頬を膨らまして”そういう意味じゃないよ~”っと苦笑した。
「まあ、待ってる間ドリンクバー取り行こうぜ」
俺が言うとリクは大きくうなずいた。
ドリンクバーに向かう途中にさっきの店主らしき男がいた。
俺は一瞬ギョッとした、店主らしき男が接客しているテーブルにはいかにもクレームをつけそうな柄の悪い金髪のチャンニーの二人組だったのだ。
そして近づくにつれて段々と会話の内容が聞こえてきた。
「汚ねぇオンボロ店の上にサービス精神もねぇのかよ!こっちとら無駄な時間取らされたんだぞコラァ!」
ええ、コラァって本当に使う人いたんだ・・。
俺は恐怖心のあまり足が速くなる、俺はリクを付いて来てるか確認しようと振り返るとリクは悲しそうな顔をしていた、助けたいけど助けられない無力さを嚙み締めたような表情だった。
俺はリクの顔を見てふと思い出した。
昔リクはイジメられていた。女みたいだとか、泣き虫とか。
リクは今その時と同じ顔をしていた。
昔、俺はイジメられているリクに話しかけた。
何故だか仲良くしたいと思ったのだ、今ではもう記憶に無いが当時の俺も考えのある行動では無い気がする。
結果的に一番の友人に・・いや親友になれたのだから。
俺の胸が酷く傷んだ、理由は分かっていた。
リクと同じ理不尽な状況に立っている人を見捨てて逃げようと恐怖心から逃げてしまおうと思ってしまった自分が恥ずかしくなった。
今とあの時の違う所とといえば考えがあるか無いかだけだ。
そうだ、あの時のように手を差し伸べてやろう。
リクの前では決して逃げる自分を見せたくない。
立ち向かおう、リクの為に。
俺は強く金髪の若い男のいる席向かって言った。
「すいません、注文したいのですが~」




