ロリ科学者、評価不能に萌える。
「スキャン完了。うん、やっぱり……バグってるわね」
その日、ネオはまたしても不穏な空間にいた。
白い壁。白い床。白い天井。
なのに中央だけ、ドピンクのハートまみれ拷問椅子(?)。
そして目の前には、身長140cmちょい、ぺたんこ体型、白衣の下はゴスロリ風、無表情な瞳に狂気の光を宿す少女――
ミミ・クロックワーク。
合法ロリ科学者、年齢は優に100歳を超える天才。そして、今回のネオの担当医(仮)。
「じゃ、もう一回、脳スキャンしてみよっか」
「いやちょっと待って!? さっきから“脳スキャン”って言って電気流してきてるだけだよね!? あとこの椅子なんか尻が振動して気持ち悪いんだけどッ!?」
「……観察対象がうるさいから、次は口も封じるね」
カチッ。
ネオの口元に謎のアメ型マスクが装着される。甘い香りとともに物理的に黙らされるネオ。
「さて、面白いわ。“評価されない”って、つまりこの世界の根幹から外れてるってこと。存在認識がバグってる。“スキャン不能”。これ、素敵ね」
その無感情なロリ顔が、ほんのり興奮で上気していた。
「あなたの存在、まるで量子揺らぎ。観測すると変わる。認識すると消える。ねぇ、それって、恋じゃない?」
「ンーッ!?(それはさすがにロマンチック解釈がすぎるッ!!)」
ミミの白衣が翻り、彼女は嬉々としてノートに数式を書き殴る。
「“評価”とは観測とフィードバックによる存在証明。
でもネオくんは、それをすべて拒絶する。つまり――」
バッと彼女が振り返る。
「君は“虚無属性”と紙一重。 そして、それがリアルちゃんの“虚無視線”を打ち消すキーになる可能性があるのよ」
その瞬間、空間がノイズを走らせた。
リアルちゃんの気配――この世界の“外”にいる観測者の存在が、ネオにほんのり反応したのだ。
「やっぱり……! 君は、抗虚無的存在(アンチ=リアル)……ッ!」
口枷を外され、ようやく言葉を発せたネオが叫ぶ。
「なにその危険そうな二つ名!? ていうか! ミミ、君ちょっとずつ目が輝いてない!? ヒロイン枠としてどうなん!?」
「……今の私は、“ヒロイン”じゃない。“研究者”でもない。
――ただの、“変態”よ」
「おい待て何か違う方向に覚醒しないでぇぇええッ!!」
こうして、評価不能属性に性的関心を抱く系ロリ科学者が爆誕した。
ミミ・クロックワーク。
彼女はもう、“評価”という言語では測れない。彼女自身がバグった。
一方、観測の狭間で。
闇の少女、リアルちゃんは囁いた。
「……評価も観察も壊れてく。いいよ、そのままバグっていってね。
私は、待ってるから。“本当の虚無”を、抱きしめられるかどうか――見届けるの」




