評価されたい元・勇者、ついに来襲! 闇堕ちヒロイン・ミラ登場
──評価されたい。
誰よりも。誰よりも強く。誰よりも美しく。誰よりも愛されたい。
なぜなら私は……かつて、この世界を救った“勇者”だったのだから!
* * *
「へえ、ここが“ネオ教”の本拠地ってわけ?」
黒いマントをひるがえし、ひとりの少女が街に降り立った。
腰まで届く真紅の髪。露出多めの服からは、戦闘に不釣り合いなまでに整った肢体。
だがその瞳は、美しさの裏に――圧倒的な飢えを秘めていた。
「はぁー……まじうける。
“価値ゼロの男”がチヤホヤされてんの、何それ? バグでしょ?」
少女の名は──
ミラ=テンション・ブレイカー。
元・世界を救ったチート系勇者。
元・太陽のような陽キャ。
そして今や、
承認欲求に呑み込まれた“評価の怪物”。
「……ネオォ~~~!!!」
高らかな声が、空に響く。
次の瞬間、街中の評価ゲージが暴走した。
【!!注意:評価濃度が臨界値を突破!!】
【注意:周囲の“承認欲求”が異常膨張しています】
【カルト化反応──進行中──】
「“あたしの応援”がなかったら、アンタ死んでたでしょ!?
チュートリアルで! 最初の村で! ゴブリンにすら勝てなかったくせにぃ!」
叫ぶミラの足元、地面が割れ、漆黒の魔法陣が展開される。
「……なのに、なんで……。
なんで“評価”されてるの、アンタばっかり……!!」
彼女のスキルは――《いいね暴走》
見られるほど、応援されるほど、彼女の力は膨れ上がる。
だが同時に、彼女の精神もまた、“評価に呑まれて”いく。
「評価しろよォ! もっと見ろよォ!
なんで“私”じゃないの!? “私”が主役でしょ!?」
――ミラの登場により、世界の評価システムは再び“警告領域”へ突入。
その頃、温泉宿では。
「……なんかヤバい波動きてない?」
エルナが湯舟の中から鼻をくすぐらせる。
メルティアは静かにメガネを光らせ、結界の構築準備に入っていた。
そしてネオは──
部屋で布団にくるまったまま、ポテチを食べていた。
「うまっ……あれ? また世界崩壊しかけてる?」




