祈るだけの存在じゃない。セラフィーナ、布団から世界を変える
セラフィーナ・ホープ。
清楚で、儚げで、病弱で、そして……
“世界の深淵に最も近い少女”。
「……ふふっ。今日も、ネオ様は元気そうですね」
窓辺のステータス端末。
そこには、ネオの評価ログがずらりと表示されていた。
“ギャルに水着で抱きつかれた”
“ポップコーンで評価爆上げ”
“世界から崇拝され始めた”
「……相変わらず、“なにもしていない”のに……こんなに、ね」
彼女は咳き込む。弱々しく、それでいてどこか妖しい吐息。
ふわりとずれたガウンの肩口から、雪のような素肌が覗いた。
──だが。
セラフィーナは、“ただの病弱な聖女”ではない。
「祈りましょう。世界に、ネオ様の安全と、幸福と……」
「ほんの少しの、“偶然の導き”を――」
指先が、虚空へすべる。
すると、教会の祭壇に置かれた“聖遺物”が、ぼんやりと淡い光を放ち始めた。
【セラフィーナの祈り:発動】
【対象:佐々木ネオ】
【効果:不明(ログに記録されません)】
【……ただし、“何か”が動き始める】
「“祈る”だけで満足していた私。でも……」
布団の上で、彼女はゆっくりと上半身を起こす。
わずかな動作に、胸元がこぼれそうになるが、気にする素振りはない。
「私は……“選ばれし観測者”でもあるから」
その目は、神々しくも冷たい。
そしてなにより、“この物語を知っている目”だった。
セラフィーナの背後に、
黒く、歪んだ、何かの“影”が、ちらりと現れては消える。
彼女は気づいていた。
この世界の“評価”が、すでに限界に来ていること。
そして、ネオの存在が、すべてをリセットするための“鍵”であることを。
「……“彼女”も、そろそろ動き出す頃ですね」
静かに、静かに、セラフィーナは微笑む。
その笑顔は、祝福か、それとも――空虚な絶望か。




