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ただの魔王の友人だったのに  作者: NY


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第六話 魔石

ヒューマンとハイヒューマンの関係が決裂した原因はわかったけれど、


その問題点が直接ハイヒューマン側の問題になるわけではない。


話を聞く限りであれば決別したところでこちら側に何の損失もないからだ。


王様はこの世界を楽しめと言っていたが、改善点があれば教えてほしいとも言っていた。


オブラートに包んではいるが、間違いなく何か大きな問題点があるはずだ。


そもそも問題がなければ俺が召喚される理由も説明がつかない。


もちろん真に自分と対等の立場を保てる友人が欲しいというのは、権力者あるあるの


悩みなのかもしれないが、そのためだけに誰が来るかもわからない召喚魔法を使うことはまずないだろう。


だとすると何が問題なのだろうか。現状労働力が足りていないわけでも、食糧難のような問題も


見当たらなかった。




「一度城の誰かに聞き込みをしてみるか」




そう呟いて俺は城へと戻るとシェリーさんが出迎えてくれた。




「おかえりなさいませ、勇磨様」




ただでさえこのバカでかいお城に入るのだけでも緊張するのに、こんなきれいで母性溢れる


メイドさんに出迎えられるとか、男子高校生にはハードル高すぎだって。


元々女性と接する機会が少なかったのもあるだろうが、作品の中の転生系主人公たちは


なぜ普通に会話ができるのだろうか。


お帰りといわれただけだから、ただいまと返せばいいと思うだろう。


俺もそう思う。でも昨日来たばかりでいきなりただいまというのは馴れ馴れしいのではないか、


そんな考えが頭をよぎってしまうのだ。


童貞臭いと笑われようとも仕方がないじゃないか、事実そうであるのだから!


先日高校に進学したばかりの男子で美人なお姉さんとまともに話せる人など、


果たしてどれだけの数がいようか。


俺は頭の中で自分を正当化しながら、苦し紛れに会釈を返し自室へと戻った。






◆◇◆






「シェリーさん、ヒューマンの側は今どのような状況かわかりますか?」




「ヒューマンですか?詳しくはわかりませんが魔石に溜まった魔力を活用した技術が発展し、


かなり裕福で人口もかなり増加していると聞いております。」




魔石を使った文明か、現代でいう蒸気機関や電気の代替品なのだろうか。


となると少なくとも第一次産業革命後くらいの技術力はあると思われる。


もし第二次産業革命後の19世紀以降の文明力であれば、俺の知識で追いつくのも難しくなってくる。


自分で言うのもなんだが知識としてはかなりあるほうだとは思う。だが所詮は高校一年生の知識量だ、


どこまでこの世界で通用するのかわからない。




「魔石っていうのは魔力を貯められる石ということですか?」




「はい、手動で魔力を込めることもできますが、ヒューマンの間で流通しているのは


おそらく天然の魔石がメインだと思われます。」




「天然の魔石もあるんですね、でもなぜそれがメインだとわかるんですか?」




「まずただの石を魔石にするには莫大な魔力が必要になり、ヒューマンでそれが可能な者は


おそらく両方の手で数えられるほどしかいないと思われます。」




「ならすでにある魔石に魔力を込めるとかはできないんですか?」




「もちろん可能ですがもともとは自然のマナが地中に溜まってできたものなので、


自身の魔力を使うヒューマンでは、魔力の波長が合わずうまく魔石に魔力を流せないのです。」




なるほど手動で貯められるというのは、自然のマナを操れるハイヒューマンなら容易に可能ということなのか。


ならば魔石は石油や石炭のように、ヒューマンにとっては有限の資源ということになる。




「魔石というのはどこでも簡単に取れるようなものなんですか?」




「いえ、魔石はアムネシア王国近辺では多くとれますが、それ以外では一部魔力だまり付近


のほかではあまりとれないかと。」




この近辺と魔力だまりでだけ多くとれる?魔力だまりはなんとなくわかるがこの国の周りだけ


採れるのはなぜだろうか。




「ではこの国全体も魔力が濃い地帯なんですか?」




「もちろんそれもありますが、わたくしたちが自然の魔力を行使して魔法を発動することで


魔力が循環して地中の石に魔力がたまりやすくなっております。」




なるほどイメージとしては魔力だまりのほうが魔石ができやすいのだけれど、魔力が循環することでも


魔石が生成されるということか。


そうするとエネルギー源である魔石を使えばヒューマンと取引に持ち込めそうだ。


しかし魔石自体は現状足りているのであれば、何かしらの加工をしてからのほうが


興味を持ってもらえるだろう。




「ありがとうございます。ちなみになんですけど俺にも魔法は使えたりするんでしょうか?」




「もちろんです、勇磨さまは自然の魔力に愛されておりますので、訓練すれば私共と同じように魔法を行使できると思われます。」




「本当ですか!」




もしかしてこれが異世界転移お決まりのチート能力ということだろうか。


ハイヒューマンたちと同じように魔法が使えるならば、魔石を使っていろいろ実験してみよう。


イメージを言葉にして誰かに作ってもらうより、自分で試行錯誤するほうがよほどワクワクする。


まずは何から始めようか...




「早ければ5年ほどで使えるようになると思いますよ。」




俺の儚い少年心は一瞬にして消え去った。

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