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ただの魔王の友人だったのに  作者: NY


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第五話 散策

翌日、俺は昨日聞いた話が本当かどうか疑うような景色を目にしていた。


ヒューマンと少なからず交戦し、現状魔族などと揶揄されているというのに、


俺が街に出て受けた待遇は想定していたものとは全く違った。


町の人は俺を見つけるや否や、まるで久しぶりに帰郷した知り合いかのように話しかけてくるのだ。


初めは見間違いかもしれないと思っていたが、すれ違う人みな気さくに挨拶してくれる。


そもそも魔力の行使や視認ができるハイヒューマンにとって、魔力のないヒューマンと見間違えるはずがない。


さらにハイヒューマンの特徴として明らかにヒューマンと異なる部分がある。


ハイヒューマンたちの見た目は、俺たちの世界ではエルフと呼ばれる種族と酷似している。


言ってしまえば耳がヒューマンより長く先がとがっているのだ。


だというのにこのような待遇を受けているのはなぜだろうか。


昨日聞いた話が間違っていないとしたら、考えられる答えはこれしかないだろう。


ハイヒューマン側からすればヒューマンが反乱し、土地や資源を奪っていったなどと


微塵も思っていないのである。


あくまでもヒューマンは反乱したのではなく独り立ちしたのだと、そう思っているようだった。


ヒューマンの視点から言わせてもらうと何とも滑稽な話である。


絶対的指導者たちから領土を激しい抵抗の末、勝ち取ったと思いこんでいるヒューマンたちは、


実は相談さえすれば土地も資源も、新しい国を作ることさえ何も難しいことなどなかったのだ。


だがしかしそう気づくと同時に、ヒューマンが独立を目指した理由も明らかだった。


この国には道具というものが驚くほどに少ない。


もちろん必要最低限なものはそろっているが、それだけなのだ。


畑を耕す農具や荷物を運ぶ馬車も、火をつける道具すら見つからなかった。


理由は単純、ハイヒューマンたちには一つとして必要がなかったからだ。


ハイヒューマンたちは皆魔法が使え、その魔法を行使するための魔力も


大気のマナからほぼ無尽蔵に得られるため、半永久的に魔法の行使が可能なのだ。


さらにほとんどのハイヒューマンは魔法の行使や維持に脳のリソースをほとんど使わないという。


まるで呼吸でもするかのように魔力を操り、魔法を使用し続けられるというとんでも種族なのである。


対してヒューマンはどうかといえば、魔法の行使自体は才能のあるものならば可能だが、


自身の体内にあるマナを使用せねばならず、そのマナの量も個人差はあれどさほど多くはない。


つまりヒューマンはハイヒューマンが築く社会の中では適応できない、


「自分一人では何もできない」そんな不満や不安が募りに募り、爆発した結果なのだろう。


なにより、




「ハイヒューマン側に悪意が一切ないことが残酷だよな~」




ハイヒューマンたちは100%善意でやっていても、ヒューマン側からすればそれは


自分たちの存在意義そのものを奪う行為になってしまう。


何もせずただ毎日遊び惚ける、もちろんそれに対して何も思わない者もいるだろう。


しかし成長し自分たちの親代わりであるハイヒューマンたちが日々頑張っていること、


自分たちのためにしている苦労に気づき始めたとき、感謝とともに罪悪感が芽生え始める。


確かにハイヒューマンたちは脳のリソースをほぼ使わずに魔法を行使できる。


だがやはり仕事していれば精神的疲れはどうしても付きまとう。


疲れを見せないようにしていても、一緒に暮らしていればいやでも気づいてしまう。


「自分がいなければもう少し楽できるのかな...」そういった考えが出てしまうのは必然だった。

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