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ただの魔王の友人だったのに  作者: NY


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第七話 自室にて

魔法が使えないことは残念だったが、もともと使えない前提で考えていたのだから大した問題ではない。

思春期盛りの俺からするとすごくもやもやしているが問題ない。

まずは俺が感じたことを国王様に報告することにしよう。

そもそもこの問題が俺をここに召喚してまで解決したいものなのかどうか確認しなければならない。

今は呼び出したばかりでよくしてくれているが、意味のない問題ばかり解決していても

厄介払いされてしまうかもしれないからだ。

まあこの国の人たちに限ってそんなことはないとは思うが、万が一そうなれば俺はこの世界で生き抜くだけのすべがなくなってしまう。

いくら現代の知識があるとはいえ、何をしようにもそれを活用できるだけの環境や資金がなければ

意味がないのだ。

王族の後ろ盾がなくなってしまえば、ただの高校生だった俺にできることなんて限られている。

剣道の心得があるとはいえ、実際の戦闘経験なんてあるはずもないので、

どこまで通用するのかわからない。

それこそ恐怖にとらわれて何もできずに死んでしまう可能性も大いにあるだろう。

なので今この機会を逃すわけにはいかないのだ。


「シェリーさん、国王陛下に報告したいことがあるのですが、お会いするにはどうすればよいで...」


「余ならここにおるぞ、勇磨よ」


言葉をさえぎられるように発せられた方を振り返ると、ちょうど扉を開けて国王が入ってきていた。

どうやら考え込んでいる間に部屋の前まで来ていたようだ。

それにしてもタイミングが良すぎる気はするが、ちょうどいいのでこの場で

俺が感じたことについて一連の流れを国王様に報告した。


「やはりすぐに気が付いたか、勇磨の言うとおりである。我らはヒューマンのことを庇護の対象としか見ておらず、対等な存在として接することができていなかった。気づいたころにはこのありさまだ。」


国王は半ばあきらめのような悔し気な顔で肯定の意を示した。

それは他のハイヒューマンたちと違い、親が子に向ける感情のようではなく、

友の苦しみに気づけないまま、離れて行ってしまった人を思うかのような表情に思えた。


「しかし気づいたところで我らハイヒューマンだけでは、どうすればよかったのか皆目見当もつかない。

そこで勇磨、そなたを召喚することでヒューマンに近い意見を聞こうと思い至ったのだ。

このような理由でこちらの世界に呼び出してしまい、すまないと思っている。」


「いえ、ここは居心地もよく、皆さん親切にしてくださいますから。

俺にできることなら何でも言ってください。」


国王のこの態度からして、おそらく元の世界に戻るすべはないのだろう。

元の世界に未練がないといえばうそになる。

俺は両親は海外におり会えることは少なかったが、定期的に連絡は取っていたし

誕生日や運動会などの行事には必ず帰ってきてくれていた。

それ以外の日も祖父や祖母が面倒を見てくれていたし、友達も多くはないが心を許せる友がいたため、

何か不自由があったわけでもないのだ。

しかしここは自分でも驚くほど心地よい、まるで常にぬるま湯に浸かっているかのような感覚がする。

もしかするとこれがマナに愛されているということなのかもしれない。

ともかく何があろうと今はできることをやるしかないのだから、そんなことを考えていても仕方がない。


「そう言ってくれると助かる。それで魔法が使える助手が欲しいということだったな」


「はい、まだ俺には当分扱えないそうなので」


「であれば我が妹であるセラをつけよう。妹はハイヒューマンの中でも最もマナに愛され

その扱いもうまい。助手として不足はないであろう。」


今唯一この世界で気まずい人が助手に決まってしまった。

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