後日談:???、現地調査
SIDE:ジェームス・ライデンノット
私たちは本日、ハインドラ国カロントホンゴー地区に存在する古代遺跡の元へとやってきていた。
もともとここには古い洋館が建っていたらしいのだが、今回その所有者許可の元掘り起こすことが可能になったのだそうだ。
「ま、なんやね。そろそろ建て替え時期や思うてたし」
うん、まさか身近な知り合いにその所有者がいたとは思わなかった。
この周辺の土地全てキーリクの所有地だったとは、意外と金持ちだったんだなキーリク。
「いうてもウチの親が稼いだ金ですやん。土地もずーっと前からこのままやったから最近じゃただの肝試しの地になっとったし」
そう、キーリクもほぼ忘れていたそうだが、ここの土地はキーリクの祖先が買い取ってそのままにしている土地だったらしい。
運のいいことに、今回古代都市跡が見つかった大きさと同様の土地全てを所有していたそうだ。
「しかし、ここなら所有者権限で見学も出来ただろうキーリク?」
「所有者権限やと見つかった遺物とか詳しく調べられへんやないですか。ウチの署やから詳しく見れるんよ?」
「それもそうよね。ジェームス、よくやったわ」
「しかし、これだけ掘らないと出てこないとか、どれだけ積もってたんだよ土、6000年で積もる量か?」
「明らかに盛られてるだろ。国を纏めて葬った感じだな」
「おかげで、見ろ。ここが遺跡の入り口だ。外壁こそ全て壊れているが、石畳は健在らしい」
「ほんとだ。早速地質調査のメンバーが湧いてるな」
調査部隊ともなれば、無数の人材が募って来る。
考古学専門だけではなく地質調査員、有毒調査官、測量士などなど、様々な人材と共に私たちは古代遺跡の地を歩く。
「ようこそ、お越しくださいました。今回掘削担当をしておりますアルトティーア組の総括、ロバートです」
「こちらこそ、貴重な発見をしてくださり感謝しております」
「ははは、我々は掘るしかできねぇですから感謝してくださるならありがてぇ話ですわ。ああ、あちらに出土物があります。言われてた通り慎重に動かして素手では触っておりやせん」
「すまないね。気を悪くするかと思ったが、こういった出土品には呪詛が込められている可能性もあるので迂闊に触れるのは推奨されないんだ」
「ええ、わかってますよ。いつものことなんでね。しかし、ここまで夢のある仕事に携われるのは仕事人冥利に尽きるってもんですわ」
確かに、その通りだ。
私たちはロバートさんに挨拶を終えた後、案内役の人と共に出土したモノを紹介して貰う。
一般的な家庭にありそうな古びた道具。さすがに一万の時を超えるとほとんど風化してしまい食器くらいしか残っていないか。
いや、でも刃物も朽ちてはいるが一部あるな。
おお、これはライオネル兵の私物か? ライオネルの紋章付き鉄製防具、の一部だな。
「変だな」
「どうしたマグナス?」
「いや、気のせいかもしれん」
「せっかく気になったんなら言えよ。こっちも気になるだろ。考察は皆ですればいい」
「そう、だな。ライオネル兵の防具は、ロゼッタ神教経典に光り輝く鉱石で作った黄金の防具、とされていただろう。なのに見つかったのが鉄製」
「確かにそれは気になるな」
「とはいえ、よく考えれば4000年以上続く王国だ、鉄製になった時期もあったのだろう」
それもそうか。良く気付いたと思ったが……ん?
「すまない、この球は?」
「わかりません。水晶玉に見えますが何のために使うのか。中央広場で結構な数出土し、あ、あの!?」
突然、キーリクが一つを摘まむ。
おい、キーリク、さすがに素手で掴むのは……なんっ!?
光り輝く球体から何かの光が壁へと向かう。
そして、壁に何かが映った。
「こ、これは!?」
「これ、まさか伝承に残ってた竜珠!?」
「お、おい、これ、もしかして書物に書かれてた映像か!? しかもこれ、コスタロカ王の英雄譚の奴!」
「お、おい、ってことはこれ、天竜討伐の竜珠もこの中に!?」
さ、探せぇぇぇぇ!!
「これ、まさかロゼッタ神の顔見れるチャンス!?」
フレミーそれ言っちゃダメだってば!?
あああ、皆歴史的瞬間を自分が見つけるんだ、と躍起になって竜珠争奪戦が始まっちまった。
「っと、これは?」
転がって来た竜珠を拾い上げ、魔力を込めた瞬間だった。
ああ。これだ。
映像が映った瞬間、なぜか理解した。
理由はわからないけれど、これが正解なのだと理解した。
気付けば、皆も奪い合いを止めて見入っている。
騎士団の楽しそうな訓練模様。
ピクニックみたいな光景に、当時も今と同じような世界が広がっていたのだろう、と思わず嬉しくなる。
そして我々は、一万年も前に行われた、歴史的瞬間を、目の当たりにするのだった――――




