後日談:???、考察の日々
SIDE:ジェームス・ライデンノット
【カロントホンゴー地区にて新たに遺跡が発見されました。考古学専門家によると、古代文明ライオネル王国である可能性が非常に高く、一万年前栄華を誇っていたとされる伝説の国がついに日の目を見ることとなりました。この国は謎も多く、文献が各国に残っていながらもある時を境に歴史から消失してしまったとされていた国であり……】
「まさか、本当にでてくるとはな」
正直、可能性は高かったが本当に遺跡が出て来た時はあっけにとられたものである。
各所に残っている文献にたびたび出てくる国でありながら、今までその姿を一切見せなかった伝説の国である。
曰く、ライオネルの兵は指先一つで魔王を殺せる、とか、国の敵は国内へと入る前に砲撃で消し飛ぶとか。ロゼッタ神の霊薬が億を超えるほどに眠った倉庫をいくつも隠し持っているとか、ともかく夢のような国なのである。
長年存在することそのものを疑問視されていたものの、ロゼッタ神教発祥の地でもあることから実際に同じ名前の国はあるはずだ、とされてきた。
しかし、一万年もの時が流れてしまうとやはりどれほど栄華を極めた国であろうとも所在すら不明となってしまうのである。
そもそも、ライオネル王国はロゼッタ暦4000年ほどを境に歴史上の書物から一切の名を記されなくなっているのだ。
つまりその辺りで滅んだのでは、というのが近年の考察である。
「そもそもや。つい数年前まで戦争しとったんやもん、歴史考察とかする暇なかったんやんこの国」
「そりゃ仕方ねぇだろ。敵国のクソ大統領様がいきなりこの土地は儂の土地じゃぁとか言い出して攻めてきたんだぜ。20年も続けやがって、しかも向こうの継戦能力がなくなったから休戦しようぜ。とかふざけんなって話だろ?」
「まぁそのおかげで向こうの国は周辺国に土地奪われて弱小国家になっちまっただろ。あれじゃもう他国に侵略しようとか考えねぇわ」
「その点ウチの防衛力は凄かったな」
「途中何度も諦めそうになったのに、その度に敵国の兵を一気に削って領地取り戻したからな」
「それについて、僕の方で噂を持ってるんだ。その領地を取り戻した一軍、ウチの国の軍じゃないらしいんだ」
「は? じゃあどこのだよ?」
「それがわからないんだよ。ただ……その軍団のシンボルとなってる旗。ここにあるライオネルの旗に似てるって噂なんだよ」
「おいおい、まさかライオネル兵が助っ人に来てくれたとか言いたいのかダニエ?」
「まさか? さすがに今までライオネル軍団が残ってるわけないだろ? 別の軍だろうとは思うけど、確かに今回の戦争、相手国が負ける戦に大体謎の軍が絡んでたんだよなぁ」
「なぁお前ら、ライオネル関連でこんな噂があるの知ってるか?」
「ほう、噂、気になるな。教えてくれケヴィン」
「ライオネル兵にはロゼッタ神から受けた密命があるらしいんだ」
密命? そのような記述は今のところどこにもなかったと思うが。
「それどこの情報だよ?」
「今回見つかったロゼリア共和国の資料だ」
お前、いつの間に!? どっから仕入れたんだ! 私も多方にお願いしてまだ一切貰ってないのに!
「ふふん。資料手に入れたチームに知り合いがいたんだ。コピーだけど貰って来たんだよ。後で見るといい。んで、ここに書かれてる情報によるとだな。ライオネル兵はライオネル王国がもしも今までの教えを忘れ、国を滅ぼし、民を虐げる王が現れた時、ライオネル兵自らの全力を持ってライオネル王国を滅ぼすように、言われてたんだと」
「なんでまたそんなことを?」
「ロゼッタ神曰く、自浄作用を無くした国は悲惨な末路しかないんだよ。ならばそうなる前に潔く後進に譲るべき。一度国を滅ぼして民主的な国として立ち上がる様に。だそうだ。さらにライオネル兵が腐ってしまった場合邪神キーリも同様にライオネル軍を滅ぼすように言ってあるらしい。王国には邪神を。つまり三竦みの状況を作り出しておき、どれか一つが機能しなくなった時点で他の二つが協力して糺すようにシステムを構築してたってことらしい」
「待てよ。それって、4000年経ったあとライオネル王国が消え去った理由に直結してないか?」
「じゃあ何かいジェームス。君はライオネル王国の国王が暗愚になったことでライオネル兵により国が滅んだ、といいたいのかい?」
「可能性はあるだろう? まぁそれはこれからの資料でなんとかなるだろ、ライオネル王国発見は私たちの功績だからな。資料を調べる権利ももぎ取ってある。これから忙しいぞぉ、なぁキーリク」
「あはは。あ。そやジェームスはん、ウチな、その遺跡、直に行ってみたいんやけど、そういうの可能なん?」
「ふ、任せたまえすでに遺跡内部調査枠も貰っている。全員で行こうじゃないか」
「うおお!? マジかよジェームス!」
「信じてたわジェームス!」
「やるな……」
ふ、今回だけだが皆のヒーローになっちまったぜ。
「そか、最後の挨拶、できそやな……」
小さく、キーリクが何かを呟いたのが気になったが、歓喜に湧く皆の声にかき消されてしまった。




