後日談:ケルシス、新聞社入社
SIDE:ケルシス・ギルダンテ
そして、一年の時が流れた――――
去年の卒業同様に、学園を送り出されたのは、レミーネ・ギルダンテ、イスタリア・アンデルタークなどを含めた卒業生たち。
僕、ケルシスもまた、無事に卒業することが出来た。
とはいえ、僕の人生はこれで終わりじゃない。
ここからが長いのだ。
レミーネさんと結婚することになりまして、ギルダンテに養子として婿入りしたまでは良かったんだけど、レミーネさんの義理の父たちはそこまで裕福ではない。そのため僕やレミーネさんも働かなければならない。
そこで、最近ライオネルにも進出して来た新聞社に入社することにしたのだ。
なんでもレミーネさんの知り合いが経営者だって話で、そこからお前ら来ないかって言われたんだけどケルシスきゅん一緒にやっちゃう? 記者っちゃおうぜ! ってことで一緒に記者になることになった。
まぁ記者がどういう者かは分かってるからいいんだけど、あまり人と話すの苦手な僕に務まるのかどうか。
とはいえ、僕の役割はレミーネさんが話をしてる相手の言葉をメモして記事に書き起こすお仕事だ。直接話さなくていいので随分と楽ではある。
本来取材して記事にするという一人が行う役を二人でこなしている僕らは給料二人分貰う訳にもいかず、さすがに周囲への気配りがいるということで二人で一人分の給料を貰うことにしていた。
働き次第でもっと給料は上がるらしいけど、これ以上の仕事任されても困るし、このままゆっくりお仕事させて貰おうと思う。
ちなみに、レミーネさんの知り合い、まさかとは思ってたんだけどやっぱりド屑なシスターさんだった。
なんでも新聞社立ち上げたのが彼女らしく、孤児院経営飽きたから新しい事業始めたいってことで新聞社を立ち上げたんだとか。
でもね、なんかここ最近、新聞社飽きたな。って良く呟くようになったんだ。
ここまで軌道に乗せといて今いなくなられたら新聞社潰れますよ?
社長としての回し方とか後任決めてもないのに辞めるのはどうかと。
「お、そーだレミーネ、お前社長やんね?」
「えー、いきなりなんそれ!」
「ここに座ってりゃいいだけの簡単な仕事だって」
そんなわけあるか。
レミーネさん騙されてますよ。
「ほんと! じゃーやるー」
「おー、じゃあ任せた! 皆―、今日から新聞社の社長はレミーネだから。んじゃバイビー「させるか!」」
ぎりぎりで逃げそうになったド屑シスターの腕を掴み取る。
「なんだいケルシス君」
「せめて、せめて社長としての仕事を教えてから行ってください。このまま放置されたら一年も立たずに新聞社潰れます!」
騒動を見ていた社員たちもそうだそうだ、とド屑シスターを逃がさないように囲い込む。
「えー、面倒臭ぇな」
さすがにこのまま逃げ切るのは無理だと理解してくれたようで、自分が今までやってた仕事を教えてくれる。
うえぇ、そんなことまでしてたんですか。
というか、そんな犯罪すれすれの行為は出来ませんよ!?
と、ともかく僕らでも何とかできるように落とし込んでいくしかないか。
必要な仕事は聞き終えた。
最低限運営できる状態に持っていき、他のメンバーもこれ以上は聞かなくていい、と質問することがなくなったのを見計らい、僕はド屑シスターの腕を放す。
次の瞬間、ばきゃっと窓を割り砕いて外へと飛び出すド屑シスター。
ここ、三階……
「ヒャッハー、まぁたなぁケルシスっちゃん! あーばよーっ」
どこの盗人だよ。
真下に待機させてたらしいバイクっぽい魔道具に乗り込みそのまま逃走していくド屑シスター。
ほんともう、やりたい放題やったあとは残された人完全放置だよあの人。
その辺りがド屑だって言われるんだぞ。
「おーし、今日からあたしがしゃちょーだぞー。ケルシスきゅん、お茶をくめーい」
「はいはい。あー、皆さんとりあえず業務再開で」
僕らが一番下っ端なのに、レミーネさんはもう。
お茶を適当に汲んでレミーネさんに与え、僕は社長の仕事を考える。
うーん。僕らだけじゃちょっと難しいな。仕方ない。
なので、念話を使ってキーリさんに助けを求める。
僕らはロゼッタさん関連の関りで何かあったら連絡しい、とキーリさんに言われてたのだ。
まさか本当に頼ることになるとは。
んで、翌日。キーリさんより派遣されてきたコボルト君一号により、新聞社の改革が始まるのだった。
今までのブラック企業、突撃思考、相手の迷惑顧みず、な取材態度は消え去り、丁寧な取材と確かな事実に基づいた、堅実な新聞の提供が始まったのである。
ほんと、ド屑シスターさん横領までしてたとか救えないよ。シスターやってる場合じゃないよあの人。とりあえず各国指名手配しといた方がいいんじゃないかな?




