後日談:ルフェリット、産めよ増やせよ地に満ちよ
SIDE:ルフェリット・ポルゥ・ペルンエーヴェン
ロゼッタ神により、元の星から遥か離れた何光年も先の星。
ヴァルトラッセ達の住む砂漠の星に、私たちエルフもまた生活の根を下ろしていた。
今は生き残った子供たちに常識を伝えることを最優先、だったはずなのに……
「なんであんたたちは子宝に恵まれてるの!?」
「えへへ」
えへへ、じゃないわよこのエロフ! ガキどもがマセていいものじゃないのよ! というか生まれる時どーすんの! ここには産婆なんていないのよ? 砂嵐も酷いし魔物も多い。まぁこの魔物はほとんどが向こうの星から送り込んできた奴だけども。
あいつらもデスワワームの死骸から作られた森で生活を始めてそこからあまり出てこようとしない。小動物系の魔物たちがエルフ用の町にやってきて残飯を漁っていくくらいだ。
見つけたら狩るようにはしてるけどあまり狩り過ぎるといなくなってしまうので難しいところである。
もう少し森が多くなるか、砂嵐がマシになれば生活圏が広くなると思うんだけど……
―― 安心しろエルフたちよ。我が仲間がすでに子供の産み方を教わっている。産婆の代わりは我々が勤めよう。問題としては産湯に砂が入らぬよう気を付けねばならないというところだが ――
「結界で砂嵐はシャットアウトできるけど、動けば砂が舞い上がるものね。いっそ二重に結界でも張る?」
「それもアリかもしれないですね。でも、あまり怒らないでルフェリット姉さん。エルフの男性が少ないから私たちが頑張って産まないとなのよ」
「皆に頑張ってもらうことになるけどね。しっかり絞るゾ」
「男性エルフが少ないからハーレムみたいになってるけど……大丈夫? かなりやつれてるわよ?」
「あ、はい、あの、できれば、新しいエルフを連れて来ていただけると……」
―― 彼らは結界の中で暮らしている、独自の結界見つけるの面倒。エルフの助力欲しい、でも皆忙しい ――
子作りに忙しいだけでしょうが!? ええいどうすれば……
「仕方ない、そこのやつれた少年君は私とヴァルトラッセたちに付いて行って新しいエルフを連れてきましょう。ヴァルトラッセの一部はエルフたちが腹上死しないように気を付けて見てあげて」
「あ、それは大丈夫ですよ、もうすぐ女性エルフはルフェリット姉さん以外孕んじゃうので、後あそこにいる子たちだけですし、ヤバそうな男の子には霊薬飲ませてるから」
こやつら、無茶苦茶なことやらかしてない? 大丈夫!?
―― む、本当か! ルフェリット殿、この星の原住民と思しき生命体を発見したらしい。今から行ってくる。エルフたちは町から出ぬように ――
「あ、はい」
「とりあえず、はい。君も霊薬飲んどきなさい」
「あ、うん。ありがとうルフェリットお姉ちゃん」
くぅ、眩しい笑顔!?
年がかなり離れちゃってるけれど、可愛い男の子の笑顔ってなんでこう……なんでこう、ムラッとくるのかしらっ?
「どうしたのルフェリットお姉ちゃん?」
「あ、ルフェリット姉さん、あそこの家空いてますよ」
「そう、空いてるのね」
「え? あれ? あの、え?」
「行ってらー」
お腹の膨らんだ女の子エルフに見送られ、私たちは空き家へと入っていく。
……
…………
……………………
「ふぅ。この星のエルフは安泰ね」
―― 随分と艶やかそうで何より。エルフ代表としてルフェリット殿に同席願えるかな? ――
空き家から出て来た私にヴァルトラッセが声をかけてくる。
もしかしてお待たせしちゃったかしら?
「原住民だっけ?」
―― 独自の言語は持っているようだ。一応念話も伝わるのだが、向こうが念話の概念を理解しないので意思疎通が出来ぬ ――
「了解、私も手伝いましょう」
ヴァルトラッセに案内されてやって来たのは、とある空き家の一室。
ヴァルトラッセが作った町はエルフ以外住んでいないので空き家が多いのだ。
そのうえ暇を持て余したヴァルトラッセが次々増やしていくのですでにライオネルくらいの広さは砂漠地帯を町が占領している。
「これはまた、変わった種族が居たわね」
真っ黒い顔に白い楕円系の瞳が二つ。三角錐のような体に饅頭みたいな足二つ。
何ですかこの生物は?
「えっと、初めまして?」
「おっぴぽぽぬはももけ」
ごめん、全く分かんない。
ジャンプしたりタップダンスしたり、いろいろしてくれているようだけど伝わらない。
この場合は……付与魔法で念話出来るようにするしかないか。
この日、名もなき星は新たなる時代にシフトした。
星に生存していた原住民と、神により創設されし新種族、そして別の星からやって来たエルフたち、三つの種族がここに合流を果たしたのである。
そしてここから、新たなる文化が加速していく――――




