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1957/1986

後日談:とある記者、秘密の薔薇園

SIDE:とある記者


 最近立ちあがった新聞社というものが、とある国に存在した。

 今までなかったのは国が情報統制をしていたからだが、先の神話級戦争によりロゼッタ神側の勝利に終わったことで、各国は平和維持へと舵を切り始めた。

 その一環で、我が国もまた国民への情報開示を緩めたのである。

 そこで立ちあがったのが、毎日の情報を伝える新聞社だ。


 社長は今まで考えてはいたのだが、この国で行うには難しい、と半ばあきらめていたらしい。

 この度情報規制が緩んだことで立ち上げを決意したのだとか。

 興味があったので入社した私は、記者という役職に就かされ、都市伝説を探すメンバーとなったのである。


「いやー、お二人が情報提供してくださって助かりました」


 記者は私を含めて三人。

 フィールドワークが主なので冒険者から記者になったメンバーが選ばれたらしい。

 そしてガイドとして派遣されたのが目の前に居る四十代くらいのオジサンと、その妻と言われる年が離れすぎているのではないか、と思えるほど美しい妻さんだ。

 名前は言えない、ということで、私たちは中年Aと女性Bとして記事に記載させて貰う予定だ。

 ただ、たまにおじさんがパルシェと呼んでいるので女性はパルシェさんなのだろう。

 本人は呼びたくなさそうだったが、女性Bの方が記者さんたちの前でも呼んでほしいなぁ、と言っていたので、イチャイチャしたかっただけらしい。羨ましい。


 彼らの職業は分からないが社長の伝手で呼んできた信頼できる二人らしいので、ウチの記者たちも安心して道案内を任せている。

 今回、彼らに案内してもらうのは、戦争中に出現した助っ人の一部の話である。

 都市伝説として、男だけの騎士団があるという。


 その名も、黒薔薇の守護者。

 女性は一切入ることを赦されず、さらに騎士団に入ったモノたちにはイニシエーション。洗礼式があるのだとか。

 噂では、騎士団内でカップルがいるらしい。

 女性がいないのにカップルとはこれ如何に? 我々記者団は噂の真相を探るべく、人里離れた山奥へと向かった。


 この山奥の先に、彼らの楽園があるのだと言われている。

 なぜ彼らは人里近くで住まないのか。人との繋がりを断って独自の生活をしているのは何故なのか。

 都市伝説とされているゆえんの正体と、彼らの真相を、今回はお届けしたい。


「あーっと、多分この森抜けた後だな。そこから先が縄張りだ」


「かなり歩きましたね。麓の村から三日ですか……」


「あの、記者団にもそちらの妻さんも、女性が居ますが問題ないでしょうか? 相手を刺激してしまったりとか?」


「そりゃないから安心しろ。ただ、まぁ、時間帯によっちゃ衝撃的な光景を見せられるかもな」


「衝撃的な、光景……」


 誰ともなく、ゴクリと生唾を飲む。

 一体どんな光景が待っているというのか。

 ライオネル軍のような訓練風景か? アレは一度見せて貰ったが人外の領域だった。

 それともライオネルの遊園地のような光景か? 確かにアレは衝撃的だった。

 そっちに行った記者団に嫉妬すら覚えたほどだ。私もそっちを記事にしたかった。


 森を抜けた先にあったのは、足元に生えるくらいの草しかない小高い丘。その上に一人、ロッキングチェアに座った女性が赤子を抱いて座っていた。

 ゆらゆらと揺れながら、赤子の体を優しく叩いて眠りを誘っている。


「ああ、やっぱり、ここに居ましたねペルグリッド・レレア・ファーガレア」


「あら、ロゼッタのお使い? お二人さん。それに、後ろの方々は?」


 男女纏めて記者団の誰もが思わず惚れてしまいそうなほどの見目麗しい女性は、にこやかに微笑む。


「誰彼構わず魅了するのは止めておけ、全く、お前さんは一切懲りるということをしないな」


「あら。だって同じことでも一度目と二度目ならアプローチも違うし結果も違うじゃない、なぜ一度や二度の失敗で諦めるのかしら? ダメだったら違う方法、地道に実力を作って新たな手法、いつかは必ず辿り着くなら懲りるなんて無意味だわ。とはいえ、この地以外に向かうとロゼッタ神教が殺しに来るからここから動くなって教祖さんに言われてるけれど。ライアネリオ君のおかげで生活には困ってないわ。ただ、あの生産性のない性生活だけは理解できないけれど」


「彼らだけは貴女を愛して利用されたりはしないからね。妥当な采配だとは思うわ」


「そうかしら? ロゼッタも甘いわね。私、一切諦めるつもりはないわ。この世界を裏から牛耳るのは私。ロゼッタじゃないわ。そう、いつか、いつかは必ず、諦めなければ辿り着けるのよ」


 薄く微笑む女性は儚げで、しかし芯の通った確かな覚悟が見えた。一瞬で心臓が鷲掴みにされるかのような……


「はいそれまで。全く記者団を魅了しないでください。パルシェ、そいつら案内してくるから君は用件を」


「了解」


「ほら皆さん人類の敵に傾倒する前に黒薔薇の騎士団見に行きましょう。こっちだぞー」


 中年Aに案内されて、私たちは丘を越えて居住地へと向かう。

 そこには……衝撃的な、男たちのパラダイスが、がががががが―――――


 後日、ペルグリッドという聖母のような存在に会ったはずなのに、彼女への憧憬みたいなものは全て男たちの裸体に塗りつぶされ、私たちは一か月ほどうなされることになったのだった。

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― 新着の感想 ―
神の子って神のルール的にどういう扱いなんですかね 普通に覇権取れそうなんだよ
>「あーっと、多分この森抜けた後だな。そこから先が縄張りだ」 >あーっ  ここは狙って書いたと推測。  アッー! っとしている場面を観ちゃったみたいだし。
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