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1944/1986

後日談:シャトラパルラ、三国合同お茶会

SIDE:シャトラパルラ・ザルツヴァッハ


 テーブルクロスのかかった丸テーブルの上には、お茶会ようの高級菓子とお茶の入ったティーカップ。

 震える手でお茶を飲んでいるのは宿敵とすら言えるカスタローレルの王、ライモンドとその父であるサイモンド。

 その隣では王妃となったアテナちゃんが泰然自若でお菓子を摘まんでいる。


 その対面に座っているのは、中央に国王であるラグナ・ザルツヴァッハ。その左右には私とサイモンド元カスタローレル国王の妻であり、別居宣言中の母上が座っている。

 私はもう義理の親子でも何でもないのに、母と呼んで、と懇願してくるので仕方なく、お母様とか、母上とか呼ばせて貰っている。

 本人もすでにザルツヴァッハの人間みたいな立ち位置なので、一旦カスタローレルに戻ってアテナの教育をしていたけれど、ソレが終ったのでザルツヴァッハに戻ります、という意思表示のようだ。


 そんな対面する二国に挟まれるような形で、第三国としてこの場に招待されているのが、エルデンクロイツ国王とその娘の一人、ラトヴィールである。

 ラグナにとっては怨敵のような存在らしいけど、今回は国同士の同盟を行う、ということで、この場に呼んであるのである。

 ただ、空気に当てられたのか非常に居づらそうではある。


「お母さん、これ、凄く美味しい」


「ライオネルのプライダル商店から取り寄せた子供たちの焼いたクッキーという商品よ。普通のクッキーという触れ込みなのだけど、他の名店が焼いたクッキーなどより断然おいしいでしょう?」


 母上とアテナちゃんはとても仲が良好だ。

 私としても妹が彼女だったら、と何度思ったことか。

 元々の妹ってどうなったんだっけ? まぁ今更どうでもいいですわね。


「さて、今回集まって貰ったのは、この三国の中にあったわだかまりを無くし、本日より友好的な国々として同盟を締結しよう、そういう話だったと思うが、カスタローレルの王?」


「あ。ああ。その……」


 と、何かを言いかけたライモンド。しかし私がじぃっと見ているのに気付いて思わず口ごもる。

 何か後ろめたいことでもあるのかしらね。ふふ。


「もぅ、しっかり口にしなければ伝わりませんよアナタ。というわけで、不肖ながら妻となりました私アテナが説明いたします。今回カスタローレル側から両国へ締結したいと思っているのは今までのわだかまりを水に流し、ロゼッタ神の名の元に生還した国々として、互いに発展していくことに協力していきましょう。という同盟を結ばないか、という提案です」


「ふん。カスタローレルと組む理由が全く見当たらんな。我が国の技術が欲しいのならそれ相応の物を貰いたいところだが?」


「通商条約や、交換条件ではありません。この同盟は同盟国への戦争行為を一切禁止し、互いの国への行き来に関税を掛けることなく、自由に行き来できる商業路の作成と、国家間の協力体制を築こう、という同盟です。詳しくはこちらの資料をどうぞ」


「私からもいいか? そもそも我が国と断絶宣言したのはカスタローレル側からだと認識している。さらに貴国には犯罪者を我が国に大量放出したこと、我が妻シャトラパルラへの不当な扱い、国家侵略の疑いなど、信用に値しないことばかりが浮き彫りになっている。さらにエルデンクロイツは我が叔父を誑かし強化兵に変えた疑いもある。ザルツヴァッハにとって貴国ら二国との同盟など背中から刺してくれと刃物を持つ相手に背を向けることと同義かと思うが」


「くはは。ザルツヴァッハの王は辛辣じゃのぅ。確かにエルデンクロイツは貴国の王位継承に関して口を出しておった、が。それは貴殿も同様であろ? 頼ったライオネルの戦力により国を安定させただけのこと、我が国が推していた叔父上が勝てばこの国は叔父上を王として成立していた。つまり互いに国王を立てて王位継承を争った我が国とライオネルの国争いに我が国が負けただけのこと」


「なるほど、どう思うシャト」


「真正面から喧嘩を買われましたね。どうしましょうねぇ。アテナちゃん、このお茶菓子も美味しいわ」


「えへへ。私が王妃になってからお母さんの指導で目を掛けてみたお菓子店のお菓子なんです。今カスタローレルで急成長してるんですよ。もしカスタローレルに来られることがあれば案内します」


「ふふ、楽しみねぇ。ねぇ、アナタ。ライオネルの店とどっちが美味しそうかしら?」


「……そうですね、この三国での同盟は難しいでしょう。我が国としてはライオネルを巻き込む四国同盟であるならば、同盟を結んでもよいかと思いますが、どうしますエルデンクロイツ王?」


「あの国を巻き込んだら大変なことにならんか? いや、確かに安全性は保たれるじゃろうが」


「あー、その、ライオネルが同盟を頷くならば、カスタローレルとしてもそれで構わない。最悪エルデンクロイツ無しの三国同盟でも」


「こらこら、何も同盟を締結せんとは言うておらんだろう。我が国もライオネルが間に入るというのであれば同盟締結もやぶさかではない。あの国は未だに抑止力としては最有力国家じゃからの。カスタローレルが血迷っても奴らがおれば安心じゃ」


 お前が言うのか、とは思ったが、私たちはうふふ、と笑うだけで返答するにとどめる。

 こうして、互いに互いの化かしあいをしながら、ライオネルの返答なしに事後報告で巻き込むことになった四国同盟が締結された。

 まぁ、事前にラグナがエリオット王に話をしておいたから向こうも了承済みなのだけど。そう、四国同盟が結ばれることは既に水面下では決まっていた。

 この話合いで決まったように見せているのは対外的な側面が強いのである。

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