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1934/1986

後日談:クラムサージュ、いつもの日常

SIDE:クラムサージュ


 いつもの日常は、意外と早く戻って来た。

 国が崩壊した時には絶望感に苛まれたものだけど、まさかここまで早く復興するとは。

 さすがロゼッタが鍛えた兵士たちってところねぇ。


 プライダル商店は復興と同時にさっさとアイテムボックスから商品を取り出し販売を再開、再開初日から行列を作る歴史的な記録を打ち立てつつ、平常運転まで数日とかからなかった。

 復興に暇を持て余した市民や、まだ国が戻っていない他国の市民も手伝ってライオネルの生活基盤を早急に復興させたので、人々の暮らしが戻るのはかなり早かったのだ。


 他国に関しても兵士たちとヴァルトラッセ達により順次国が再建されていくそうなので、新たな国が出来次第その国の住民たちがライオネルから去っていくそうだ。

 一部他国民はライオネルの暮らしの良さにこっちに定住したいとか、村に戻るのが嫌だ。と言い出す者もいるが、その辺りは本人と国の采配次第なので私のような錬金術師には一切関係ない。


 私としては、このプライダル商店の経営者とその妻として末永く幸せに、大きくなった息子たちに事業任せてエルフレッドとの隠居生活が出来れば大満足だ。

 

「おう、クラムサージュさん、飯出来たぞ、エルフレッド引っ張って来てくれ」


「あいよー」


 食堂の方からルインクさんが声をかけてくる。

 自分の書斎で経営者として集中しているエルフレッドを引っ張り出して、私たちは食堂に会する。

 前世からの人生を考えれば、なんと満ち足りた生活だろうか?


 食堂にはすでに数多の食事がならび、子供たちがわいわいと楽しそうに歓談している。

 私とエルフレッドはその一角に腰を下ろし、ルインクとその妻チェルシーが作った食事を、元孤児の子供たちと一緒に楽しむ。


 放っておいても食事が出てきて、お金は皆が稼いでくれる。

 最愛の人はいつも隣で、子供は既に二人、乳飲みが終ったあとは孤児っ子たちが面倒を見てくれているので仕事中の心配も無用。

 錬金術も孤児っ子たちに教えたから商材関連はお任せできるし、素材はクライマルたち冒険者組がとってきてくれる。


 気が向いた時に買い物をして、休日にピクニックに出かけ、平和な国、平和な街、平和なお店で楽しく人生を謳歌で来ている。

 商店では常に笑いが絶えず。

 耳をすませばストイさんの陽気な歌声が店内へと聞こえてきている。


「さて。食事も終わったし、そろそろ告げておこう」


 エルフレッド? 何かしら? と目をぱちくりしている私たちの元へ、二人の少年少女がやって来る。


「正式に、マリムとフライジャルが紋章官となった。今後この二人はプライダル商店を離れて王国に住むことになる」


「あら、フライジャル良かったの?」


「ええ、問題なく。代わりは既にいますので」


 それはアルケーニスのスパイのことかしら。

 まぁ何かしてくる訳もないし、気にする程ではないでしょう。


「その件はどうでもいい。あの娘は基本カウンターに立たせるからな」


 エルフレッドがすでに把握してるならなおさら問題ないわね。


「え、何で分かってんです……」


「シュプレシアの前で状況報告させるのはどうかと思うぞ」


 あの子どこにいるのかたまにわからなくなるわよね。ロゼッタ直伝の隠蔽スキル使いこなしてるから諜報員向きなのよ。なんでこの店にいるのかしら?


「はー、レコールたちも出てっちゃったし、ついにフライジャルたちもかぁ。初期の孤児、私たち以外いなくなっちゃうねララーレ」


「そういうマーシャも料理関係で貴族のお店に行くんじゃなかった?」


「私のは研修だもの。戻ってきてルインクさんの跡継ぐつもりだよ。私の故郷はもう、ここだから」


「別に戻って来なくてもいいんだぞ。俺も学院復活したら教師やら学食料理人として引っこ抜かれるし。チェルシー以外にも料理覚えた奴はいる。縛られる必要はなく巣立つことも視野に入れとけよ」


「そうそう、プライダル商店はいつだって皆の故郷。帰ってきたいときに帰ってきなさい、でも巣立つべきだと思うなら遠慮は要らないわ。貴女の道は貴女が決めなきゃいけないんだから」


 どんなに頑張っても孤児は出る。浮浪者も出てくるので、ライオネルでは見かけ次第冒険者ギルドか商業ギルドという名のハローワークに連れて行くのが通例になっている。

 ロゼッタが作ったこの通例は、きっと何十年と変わらずライオネルの暗黙の了解となるだろう。

 私たちはその通例を守り続け、この国の平和に少しだけ、貢献する。それでいい。それが、いい。


「エルフレッド」


「ん? なんだ?」


「ピクニック、久しぶりに行かない? 皆で」


「……そう、だな。復興から今日まで、皆休みなく働いてくれている。たまには息抜きも必要か」


「ええ。森の守護者さんに話通して、綺麗な湖の畔なんてどうかしら?」


 ロゼッタの恩恵、ほんと大きすぎるなぁ、一般人でもレベルが高いから国の外に出て昼寝するくらい何の問題もなく出来るようになったもの。さすがに魔物の居る場所で昼寝はしないけど。

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