1907話、リーマス、プライジャコリャ終戦
SIDE:リーマス
「朗報だリーマス王。超巨大型がかなり削れたおかげで陸地が見え出した。もうひと踏ん張りってとこだ」
「ヴェスパニールさん、お疲れ。とはいえ、他の国を見てるとここが一番遅れてるように見えるけど……?」
「うぐ……確かに、制圧率はここが一番少ないか。これだけのメンツが居ても巨大型以上がなかなか倒せなくてな。他国の兵士や一般参加者の皆さんが頑張ってくれてるんで小型の方はかなり倒せてるんだが……」
今は巨大型以上を冒険者の上位チーム、ライオネル軍、ヴァルトラッセが引き受け、大型中型を冒険者、闇組織、魔物、他国軍のエースが引き受けてくれている。
残ったメンバーで小型の駆逐に回っているので当初の戦闘状態よりも安定してきているのは確かだ。
戦闘再開前に超巨大型の数を減らせていたのも大きい。
とはいえ、一番の効果はロゼッタさんが神になったらしい時の奇跡により、死んだはずの仲間たちまで復活して動いているのが一番だろう。
油断、慢心、その他の理由で死んでしまった者たちはもう死なないと息巻き、死なせてしまった仲間たちはもう二度と失わせないと決意している。
おかげで命最優先の安全作戦で敵に突出するようなメンバーが出てきていないのが怪我人まで少なくなっている理由である。
―― ヴェスパニール、助っ人来た。適当に落とすから国……の跡地から1Km圏内以上にでないように ――
突然、見知らぬ声が念話で届く。
私の近くまで来て報告してくれていたヴェスパニール共々誰だ? と小首をかしげていると、急に空に影が差した。
せっかく空も日差しが差しているというのに、再び夜になったかのような漆黒となる。
否、漆黒の中に幾つか光が空から差し込んできている。
「なん、だ、あれ?」
「あー。リーマス王、マリッカ殿が助っ人に来てくれたみたいです」
まりっか? 誰だ?
私の疑問に答える様に、空を覆う何かから光が落ちた。
遥か遠く、強化兵しかいない大地に光が落ちたその刹那、音が消え、何かが広がった。
ばさばさっと風圧が頬をなぶり、続いて大きすぎる破壊音が響き渡る。
「なん、これ?」
「えー、マリッカ殿の飛行物から放たれた破壊光線? が強化兵を大地ごと焼き尽くした、とか、そんな感じです」
とりあえず理解はしてないが事実の状況報告は出来る、といった様子のヴェスパニール。
またロゼッタ嬢関連だろう! あの女は神になってもやることなすことが私たちの想定から逸脱しすぎている。なんだこれ!? なんだこれ!!
「我、降臨。とりあえず挨拶しに来た」
そして空を覆う何かから光と共に降りてくる人の形をした魔物、いや、魔族? いや、魔族でもあんなのっぺりとした銀色の生物はいない。なんだ、あれ?
「アレがコスタロカ王国に伝わる四人の勇者の一人、宇宙生物マリッカ殿です」
「え? なぁにそれ? 私の頭はもう限界ですが? これ以上知識は入らないですよ」
「……取り合えず助っ人です。出来るなら一回目の戦争時に来てほしかったですが」
「星の一か所をピンポイントで指定されてもなかなか見つけるの大変だった。今何とか見つかった、許してほしい」
「はぁ……」
彼女? が何を言っているのか私にはさっぱりです。
えっと、握手とかしたほうがいいですか?
え? あの、指先? えーっと、指先同士触れればいいんです?
なんか光ったぁ!?
「挨拶終わった。ヴェスパニール、これから掃射を開始する、さっきも言った1Km圏内には近づかないように、巻き添えになっても私、知らない」
「ええ、すでに皆に伝えています。そもそもそんなに遠くまでは誰も到達してませんよ」
「ならよし、掃射開始」
あ、こっからできるん……だぁ!?
上空を覆う何かから無数の光が地面に落ちた。
ちゅどどどどんっと地面が爆散していき沢山の強化兵たちが吹き飛んでいくのが見える。
丁度プライジャコリャから1Km圏外全てで光が縦横無尽に駆け巡り始めていた。
「あ、圧倒的じゃないか……」
これ、戦闘開始時にいてくれたら一切の死者が出なかったのでは?
「対宇宙生物用UFOからの一斉射、地上の生物など塵芥に等しき、コスタロカ王との盟約により、我マリッカはロゼッタに味方する、やむなし」
ふふんっと胸を張る謎生命体。意外と愛嬌がある様に見えてくるから不思議である。
しかし、彼女を味方に付ければ今後国の守護者として十分すぎる抑止力になってくれるのでは? いや、でもこいつもライオネル国の一員といっていいのか。さすがに引き抜けんか。
「うーん、こりゃ一番最初に掃討終わりそうな気がして来たな」
「ヴェスパニール殿、残るの小型しかいなくなるのではないか?」
光に飲まれて消え去っていく超巨大型強化兵を見送りながら、私たちはため息を吐くのだった。
私たちの頑張りって、一体……




