1904話、ロゼッタ、崩壊へのカウントダウン
「なぜだ……?」
その映像を見た兄神さんが呆然としていた。
私の信者、つまりまぁ生き残ってる人々全てを滅ぼしてやる、と強化兵たちを再始動させた兄神さん。
これでどうだ、と高笑いしていた彼だったが、私に人々が滅ぶ様を見せてやろう、と各国の映像を出した瞬間、想定と違う状況を見せられて絶句してしまったのである。
各地で人々が結託し、雄叫び上げながら強化兵を撃破していた。
ベルーチ並みの巨大な強化兵であっても彼らは嬉々として襲い掛かり、意外とすんなり撃破していたのだ。
特にリズリンドの動きがヤバい。ほぼ的確に巨大型以上の核を打ち抜き超巨大型であろうとも瞬殺することもあるようだ。
彼女のスキルに巨人特攻かジャイアントキリング辺りが生えてそうな気がする。
「馬鹿な、死に体だった、ほぼ死んでいたではないか! ライオネル兵も霊薬とかいうのが効かなくなって重傷者多数、もはや経戦能力はどの国もなかったはず! なぜ? なぜこれほどの戦力が残っている!? 何が起こった? いや、ロゼッタ・ベルングシュタット! 貴様一体何をした!」
「なにを、って神になったんだからこの世界では奇跡、に相当すること?」
「死者蘇生はご法度だぞ! 神同士の契約で行ってはならないと……」
「いや、だってその契約知らんし? 私今なったばっかじゃん? そんで出来ることがあるってわかったからやれるだけやるよね?」
「なっ」
「そもそもこっちが禁忌云々言うんだったらさぁ、神なのに自分の創生世界にアバター使わず直接介入とか不味いんじゃない?」
「そ、それは、ば、バレねばいいのだ、バレ……あ」
あー、それも今ようやく理解したのか。
そこにアルセデアルさんが居ますね。他の神の端末体。
そして、それがいるということはつまり、すでにあんたのやらかし他の神々にバレちゃってるってことですよね?
「あ。ああ。あああ……」
「はぁ、ようやく会話が出来そうね、兄さん?」
「う、嘘だ。こんなこと、あるはずが、私は、私はこの世界の神だぞ? この世界を自由にできる神なんだ、だから……」
「兄さん、もうあきらめてください。すでに兄さんは包囲されてます。今までのやらかしも全て把握されてるんですよ。私もちょっと違反してたってことで怒られたんですからね。兄さんの場合はちょっと、その、フォローできないかな?」
「ま、そういう訳なんで、神界、行っとく?」
絶望的な状況だと気付いた兄神はその場に膝をつき頭を抱えだす。
「なぜだ? なぜこうなる? 私はこの世界の神だぞ。なんだってできたんだ。気に入った男に祝福与えて、ハーレムを作って成功人生を歩むのを見てるだけでよかったんだ」
そっすね。んで私がいろいろ関与してルート破壊した、とかで介入始めたんでしたよね。
完全に自業自得かな。
まぁ、私としては下位存在消去。とかされなかっただけ幸運だったと思ってるけど。
「兄さん、皆さんから、潔く出頭するならば罪は軽いとのことですし、神界に向かいましょう。私も一緒に謝りますから」
妹神さんも意外と調子に乗ってたもんね。
彼女の求めるモノはハーレムではなく純愛だったってことで私が敵対対象になってなかったってだけで。
自分の世界で好き勝手他世界の下位存在を召喚したりしてたのは確かだし。
しかし、皆凄い気合入ってるな。
っと、今更だけど助っ人が各国に辿り着いたっぽい、皆遅すぎるんだよ。
遠かった? 知らんがな。
最後の助っ人メンバーとして送り込んではいたんだけど、遅くし過ぎて第一波には間に合わなかった。
おかげで各国壊滅状態になってしまった。
この戦いが真の意味で終わった後に先輩方に何とかできないか聞いてみるかな。
死者蘇生の奇跡はさすがに次はないよ。とアルセデアルの本体神からお怒りのお言葉を受けてしまったし。
本来なら兄神の言う様に、おいそれと使っていると世界の理が壊れて死者が世界に蔓延したりしてしまうらしい。
なので、今回のみ、私が神に成れた祝福、として見咎め無し、ということになったようだ。
このあと神様講習とか言うのが開かれるらしい。妹神さんと一緒に受けないといけないらしくて、妹神さんは凄く嫌そうだった。
なんか、車の免許更新で違反者が見せられる講習みたいなものらしい。
私は初見だから問題ないけど、妹神さんは多分何度目かの講習なんだろうね。
「い、嫌だ。私は、私はこの世界の神だ。神なんだ――――っ!!」
「……え?」
妹神さん目を点にしてびっくり。
アルセデアルの体使ってるので幼女がびっくりしているようにしか見えない。
何が起こったかっていうと、兄神さんが逃げ出した。それだけである。
うん、絶対逃がす訳がないんだよ。というか、私から逃げられるなんて思うなよ?




