1876話、ゴルディアス、サイエンスフィア防衛線7
SIDE:ゴルディアス
「ウオラァ!」
サイエンスフィア国内で巨大強化兵と単騎で渡り合う。
正直分が悪い。
大型相手なら何とかできるが、巨大型相手になると一人でギリなんとか。ちょっとの油断で大怪我だ。
特に俺みたいな重量級で火力特化だと相手を攻撃したと同時に反撃食らっちまうからダメージも大きい。
クソッタレ、頭に食らっちまった。
脳漿でも飛び出たかと思ったが、血が流れ出ただけのようだ。
それでも目に流れると少々面倒だ。
ええい、視界が赤いっ。
「で、伝令、北東より人族兵多数。えっ、と、援軍?」
「援軍ならそのまま手伝わせろ!」
「黒薔薇の守護者たちとか名乗ってますが」
「知らんっ! 巻き込まれないうちに距離を取れ! とにかく倒せる奴を倒していけと伝えてくれ。味方を倒すなよ!」
「了解しました!」
どこの誰かは知らんが手伝いたいならさっさと手伝って貰おう。
それよりもこの巨大型だ。
無駄にデカい図体に素早い動き、どれだけ切っても即回復。
面倒なことこの上ない。
「があぁ!!」
気合と共に真空波斬。巨体を真っ二つにしてやるが、即座にくっつきやがる。
―― 苦戦しているな。手伝おうか? ――
「見て分かんだろ、手伝えるならいつでも頼む!」
言った瞬間だった。
巨大型の足元から木の根が飛び出し拘束を始める。
「お、おお!?」
―― ヴァルトラッセ、エルフ一同今より参戦しよう ――
って、ヴァルトラッセ! お前ら遅すぎだろぉ!? 待ってたぜチクショウ!
空から数百ものヴァルトラッセが降りてくる。
各々、空中からも魔法で木の根を操れるようで、そこいらじゅうで強化兵たちの動きが阻害されていく。
「お前らが来てくれりゃ百人力よ!」
―― アルターより伝言、遅くなってすまぬ。神からそろそろ戦闘になるとは聞いていたが、いつかは分かっていなかった。そも、我々の星とこの星との日付が違ってな ――
ぎりぎり気付いてくれただけでも御の字か。
あらわれたヴァルトラッセ達のおかげで巨大型や超巨大型まで拘束され、撃破速度が上がる。
動かなくなれば超巨大型といえども脅威にならず、コアを暴き出されて破壊され始めた。
―― なるほど、巨大型以上はコアの大きさがわかりやすくなるので破壊しやすくなるのだな。うむ、全ヴァルトラッセに共有しよう ――
ヴァルトラッセ達の強みは植物として離れたヴァルトラッセと知識を共有できることだろう。
俺たちの訓練も習っていたし、魔法特化、技術特化を一人でも作りだせば、その全てを共有して種族全体が強くなる。
おそらく、俺たち人類の最強格であるお嬢でさえも、今の彼らなら勝てるのではないだろうか?
それぐらい、頼りになる種族であった。
「つ、強い、いや、強いなんてもんじゃない! ヴァルトラッセ達が来てから一気にレッドラインが広がったぞ! このまま押し返せるんじゃないか!」
「伝令! 敵増援、超巨大型複数! な、なんだよアレ! け、獣、超巨大な獣型が居ます!!」
獣型ぁ!?
うげ、何だありゃ。四つ足の筋肉達磨が爆風まき散らしながら音速の壁突破して突撃し始める。
ソニックブームによりヴァルトラッセの木の根を引きちぎるせいで拘束もできないようだ。
「ああもう、なんだってこんな、神はそこまで俺らが憎いか!」
「双神の兄だけが敵意を持ってるんですよね。神一人の行動だけで、これですか……」
―― 不味いな。あの戦力で来られると我々でも止めきれないかもしれんぞ ――
せっかく手伝いに来てくれたのに、すまんな。
しかし、辛ぇな。これだけのメンツ揃えて敗戦濃厚なのかよ。
お嬢、俺ぁ弱音なんざ今まで吐いたことすらねぇんだが……
今回ばっかは無理かもしれねぇ。
でも、でもな。
それでもやっぱ、負けたままで終わるのは、許せねぇんだ。
抗うぞ。最後の一人になったとしても、だ。
俺は、俺は絶対にあきらめねぇ!!
「オラァ! 頭下げてあきらめムードかテメェら! 負けたままでいいのかよ! あんな奴らに蹂躙されるだけでいいのかよ! 立ち上がれ! 顔を上げろ! テメェらの守りたいモノを守らず諦めちまうのか!!」
そうだ。覚悟ならすでに決めたはずだ。
自分たちは大切なモノを守る為に命を捨てる覚悟をしたはずだ。
ならば揺らぐな! おのれの信念を杖に立ち上がれ。
「どのみち、ここで諦めて死ぬか、戦い抜いて死ぬか。好きにすりゃいいがよ、やっぱ、最後は前のめりで行きてぇよな」
―― 死に急ぐなよ ――
そう言われても、もう後は消化試合みたいなもんだろ。
できるだけ、長引かせるつもりだが、あれだけまだ後詰めがいるんじゃどうにもならん。
それでも、自分だけは覚悟を決めたからな。誰かを道連れにするんじゃねぇ。やりたい奴だけ抗え。俺も抗う。行くぞ強化兵ども。ゴルディアスここにあり、ってところを最後まで見せてやる!!




