1872話、リオネル、強化兵培養槽襲撃作戦
SIDE:リオネル
「ここが?」
「はい。少々目算誤りましたが地下通路です」
「目算誤ったって、どの辺が……ギャァ――――!?」
マギアクロフト地下施設への入り口付近にやって来た僕たちだったが、転移出来たのでここがどこか分からない。
完全にロゼの案内任せになりそうだ。
というか、キーリはなんでそんなリアル描写な絶叫顔とかいうので驚いてるんだ?
ロゼッタが昭和あたりの驚き顔がリアル寄り過ぎて怖いんだよ、とか言ってたけどそれっぽい驚きだよ……ね? あの、ロゼ? 足、足がなんかめり込んでない?
「目算地点からリオネル様とキーリだけは少し浮かせておいたから問題ないわ。私の足だけで済んでよかったわね」
ど、どういう……って、自分で両足切断した!? 魔法でざしゅって。風の刃が綺麗な足を二本脛から寸断しちゃった!?
「っと、キーリ支えて」
「あ、はい」
倒れそうになったロゼをキーリが支え、その間にロゼが霊薬を取り出し飲み干す。
「……アイテムボックス内の霊薬、減りが速いわね」
「ロゼ?」
両足が再生していくロゼが回復直後の足で立ち上がり、アイテムボックスから予備の靴を取り出し履くのを待って、僕らは潜入作戦を開始する。
というか、転移失敗したのに躊躇なく足斬るって、もしかしてロゼは似たようなこと何度もやってる?
「い、痛くないの?」
「当然痛いですよ。でも転移は便利ですし、頭半分以上さえ残っていれば霊薬で回復できますし。多少地面と同化して使えなくなっても転移を使う方がいいの」
その思考にドン引きだよ!?
はぁ……さすがロゼッタの一部なだけあるなぁ。
いや、彼女こそがロゼッタなんだっけ?
ああ。僕はほんと、どちらのロゼッタを選べというのだろう。
「前回はそこまで辿り着いたのですが、その先の培養槽までは向かえませんでした」
「ヨーデリヒが邪魔したんだっけ? やっぱりまだいるかな?」
「いるでしょう確実に。といいますか、私は別にヨーデリヒに負けたわけではありません。超巨大強化兵の三位一体型にやられただけです」
「はいはい、そんなんどーでもええからささっと培養槽破壊して離脱しよや。強化兵わんさかおるやろし」
「というか、この地下施設だけで賄えるのかな? もっと大きかったりしない?」
「それに関してなのですが、どうやらラットランドが存在していたダンジョン以外のダンジョンを培養施設に使っているようです。神の改造が入ったのかダンジョンがソレ専用の施設になっているとか」
「それ、どこ情報?」
「……さっきから念話が飛んで来るので、この施設のどこかにいる誰か、ですね」
「あかんやん!? 潜入バレとるやん!」
―― バレてないよ。仲間だよ。怪しくないよ、オトモダチダヨ ――
凄く怪しい念話がこちらにも届いて来た。
これ、本当に大丈夫?
ああいや、この念話の声質、聞いたことあるな。
「キミは確か、アルセデアルか」
「おっ」
「うっわ、どっから出て来てんの!?」
曲がり角からひょこっと現れたのは緑の少女。
確かロゼッタと一緒にいたはずだけど、こんな場所に居たのか。
「ロゼッタと一緒じゃなかったのかい?」
「彼女はこの端末体と一緒だと満足に戦えないからね。こちらは独自に潜入させて貰っているよ。それより、培養施設に向かいたいんだろう? 敵に見つかる前に案内しよう。こちらだ」
「うん? 随分流暢に話すなぁ。あんさん本当にアルセデアルか?」
「ああ。それは残念だが違うね。少し前にようやく辿り着いた、この世界で言えば神の一柱だね。過干渉にならない程度に彼女の端末をお借りしているんだ。あと少しだけ持ちこたえて貰いたい。本隊はまもなく着くんだ」
そう言えば神の暴走を止めるために別の神々が来る、みたいなことを言ってたね。
そうか、間に合いそうなのか。
いや、むしろ間に合わない可能性も高いのか。
念話から絶えず聞こえてくる各国の総大将からの報告は全て悲痛なモノが多い。
すでに国内に侵入された国もちらほら、ナゲキノカルマなど超巨大強化兵の一撃で粉微塵に吹き飛んだそうだ。
「貴方が案内してくれるのは、干渉にならないのか?」
「干渉にはなるよ。だから実際に案内するのはこの端末体だ。興味が出るとそっちに反応しがちだから暴走しないように見張っていてくれ。では、健闘を祈る」
なるほど、説明だけしかしてくれなかったのか。
神の干渉が消えたアルセデアルがお、お、っと楽しそうに歩き始める。
僕らは彼女について歩いていくことにした。
できるだけ、早めに破壊しておかないと、各国共にすでに持たないところまで来てるらしい。
連戦に継ぐ連戦なんだし、物量戦線ではこうなるのも仕方ないとは思うけど……
侵略されてそれで終わり、なんて未来は、来てほしくないな……




