1867話、ゴルディアス、サイエンスフィア防衛線6
SIDE:ゴルディアス
不味いな……
全ての状況を鑑みて、俺は思わず頭を掻いた。
兵力が、足りねぇ。
ライオネル兵や有名冒険者パーティーは大型以上の対処にとられている。
普通の冒険者は中型や小型の対処で忙しい。
各国の兵士も機能し始めた奴らは小型を相手取ってくれてはいるが、やはり小型の数が多いのと、中型が放置される傾向があるのが面倒だ。
フォローに入ろうにも俺一人行ったところで焼け石に水って奴だ。
あー、こんなことならオスカーでも連れてくるんだったな。
さすがに今からはライオネルに戻るにゃ遠すぎる。
「ん? ありゃどこの一団だ?」
サイエンスフィアの町から四方に突出していく者たちがいた。
近くにいた伝令兵に尋ねると、さぁ、と答える。
まぁそうだよな。お前さん別の伝令で来ただけで無関係だもんな。
んー、結構使えるメンバーのようだからそのまま戦って貰うか。
動きはかなりいいな。
だが容姿が大分脛に傷持ってそうな奴らばっかだ。
「ああ。闇組織か」
なら、いいか。
見た感じ戦う相手は強化兵に限定されてるみてぇだし。
ただ、彼らが手伝ってくれたところでまだ敵の軍勢に軍配が上がっている。
徐々に押されていく兵士たちは、戦線を維持できなくなり、軍としての機能を失った者たちから崩壊していく。
あ、クソ、北東から強化兵が雪崩れ込んでやがる。
「弓兵、魔術兵! 町門が崩壊すっぞ! 退避しながら飛行型に対処しろ!」
「無茶苦茶言うな!?」
「総大将なのに無茶振りが過ぎる!」
「うわぁ!? 本当に崩れ出した!?」
「強化兵が雪崩れ込むぞ!!」
「そんなっ、サイエンスフィアが……」
サイエンスフィアが……ああん? 地震?
急激に、振動が生まれた。
体が上下に揺れる振動に、強化兵たちが尻餅をついている。
弓兵たちは振動中も魔法で体を強化して町壁からの脱出をはかり、なんとか町中へと退避できたようだ。
俺も町の中央広場へと辿り着き、襲い掛かって来るだろう強化兵たちの対処を始めよう、とした矢先だ。
激しくなった地震と共に、サイエンスフィア王城が起き上がる。
一般市民たちを退避させたはずの王城が起き上がり、錆色の巨大人型機械が地面よりせりだした。
「おいおい、なんだありゃ……」
【あーあー、こちらサイエンスフィアの王である。皆のもの、サイエンスフィアの地が悪漢共に穢されたことは遺憾というほかない。しかし、我らサイエンスフィアが誇る王城にて各国の避難民はしっかりと保護している。この人型機構スチームパンク・サイエンスフィアがある限り、我が国は不滅である!!】
まぁたお嬢が喜びそうなもんこさえやがって! というか絶対お嬢関与したでしょ!
サイエンスフィア王城はまさかの大型ロボットへと変貌を遂げたらしい。
自ら歩き移動する王城が空から近づく飛行型強化兵たちに鉄塊を打ち込んでいく。
攻撃手段もあるのか。まさしく防衛要塞だな。
「サイエンスフィア王国内の被害については考えるな! 国が蹂躙されようと国民さえ生き残ってりゃ国は建つ! 親竜共和国を思い出せ! 何もない場所から国を作り上げることだって俺たちは可能なんだ! だから、負けるな! 強化兵どもを駆逐して、皆の安全を確保しろ! ここがお前らの踏ん張りどころだぞ兵士共!!」
チッ、中型まで王城目指して来てんじゃねぇか。
「弓兵、魔法兵は飛行型を迎撃しながらあの移動城塞に乗り込め! 王城内部の屋上からの迎撃に切り替えろ!」
「だから無茶振りが過ぎる!」
「弓兵使いが荒すぎ」
「魔法でひとっとびだけどな」
「おいおい、誰だ大型逃した奴!?」
「総大将! 町壁壊して巨大型が覗いてます!」
「嘘だろオイ!? ライオネル兵何してんだ! しゃーねぇ。お前らは小型と中型をどうにかしろ! 巨大型は俺が何とかする!」
「大型はどうなさるんですか!?」
「それは……」
「私が行こう」
と、王城側から走り込んできた一人の男が俺を追い越し大型強化兵へと突撃する。
「おい!?」
「あ、あの方は……ザイード王子!?」
ザイード? ああ、第三王子こっち戻ってたのか。
ふむ、しっかり渡り合えてるな。じゃああいつの相手は任せるか。
しかし、指示しながら巨大強化兵を一人で相手どるのかよ。
こりゃ俺も進退窮まったか?
負けられねぇ戦いってなぁここまで重いのか。
背中に背負ったもんが重すぎていけねぇや。
「さぁて、いっちょやってみっかぁ!!」
町壁を壊し、巨大強化兵がサイエンスフィア城下町内を踏みしめる。
木々が折れ、地面が砕かれ、民家が倒壊する。
あまり壊してくれるなよ。戻って来た市民が悲しむじゃねぇか。
「遊ぼうぜデカブツ!」
トゥーハンデッドソードを引き抜き巨体に迫る。
これ以上、やらせはしねぇ。強化兵ども、覚悟しろよ!!




