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1881/1986

1866話、リーマス、プライジャコリャ防衛線6

 SIDE:リーマス


 正直に言わせて貰えば、怖い。

 何で自分はこんな宣言してしまったんだろう。

 これじゃあこの国と共に集団で死にますと宣言したようなものである。

 でも、仕方ないのだ。

 こうするしかなかったのだ。


 市民の中にはこの国から出たくない。

 この国と共に死ぬ。

 そういう住民が多かった。

 他国からの避難民もここを逃れてまた別の場所に逃げろというのか、と泣きそうな顔で叫んでいた。


 他の国々の王と協議した結果。

 全ての国がここで耐え切ると告げたのだ。

 皆が決めたことならば、私もやるしかないじゃないか。


 私の命運もここまでか?

 いや、むしろ逃げたところでどうにもならない。

 逃げ場すらないのに逃げる意味がないんだ。

 だったら、だったらもう、ここで徹底抗戦しかないだろう。


 市民も奮起したようで、手に手に武器を構えて中央広場へと集まっている。

 円陣を組んで、子供や老人を中心に押しやり、若手やベテランの男性が一番前に、恰幅のいい女性陣がその列に交じり、自分たちこそが最終防衛ラインなのだと憤る。

 たとえ国を蹂躙されようとも、そう簡単に全滅などしてやらないと、自分たちにだって守りたいものがあるんだと武器を取る。


「南最終防衛ライン崩壊!」


「北のレッドラインが崩れたぞ!」


「西の兵士何やってんだ! クソ、小型が町に!」


 東門こそはなまる君たちが奮戦しているものの、ついに強化兵たちが町門へと辿り着く。

 頑丈な町門も、レベル300を超えるバケモノたちに全力を振るわれればなすすべもなく、次々と崩壊していく。

 その光景に、住民たちは思わず震えた。


「リーマス王! ここも崩壊します! 退避を!」


「弓兵たちは!?」


「我々は何とでもなります。さぁ、お早く!」


「……分かった。残った避難民たちの指揮を執るよ。貴族と平民で諍いが起こってもアレだし、なんとか力を合わせるしかないだろう」


 近衛騎士たちに促されて町門から飛び降りる。

 パワーレベリングをしたおかげだろう。

 この高さから降りても傷一つ付かない。手加減スキルのおかげか着地もスムーズで地面に傷を付けたりもしない。


 そして、私が離れた次の瞬間、町門が外から粉砕されて崩壊する。

 宣言した矢先に全方位の戦線崩壊で敵が雪崩れ込んでくるとか、どれだけ終わってるんだ。

 まだ兵士たちも冒険者たちも奮戦してるってのに!


「はは、アレがあたしら蹂躙するってぇ?」


「ふん。嬢ちゃんたちは下がってな。野郎共! 力仕事は俺らの仕事だ。建築だけしか取り柄がねぇなんて言わせてんじゃねぇぞ! 続け野郎共!」


 建築、土木、鍛冶、厳つい男たちが先陣切って小型強化兵と激突する。

 手にするは己がよく使う工具。

 ツルハシを使う作業員に、丸太で戦う建築士。

 その合間を縫って食堂のおばちゃんたちがフライパン両手にバケモノへと肉薄する。


 本来ならば、そんな武器で勝てるモノではないはずだ。

 しかし、ロゼッタ嬢が配って来たそれらは、強化兵を穿ち、貫き、吹き飛ばす。

 なんとかストーンとかいうものすごい硬い鉱石使ってるらしいけど、レベル2000くらいの市民が使って折れないのも凄いな。


 あと、丸太は普通の資材のはずだけど、普通に戦えてるのはなんで?

 疑問は尽きないが、一般市民でも小型兵相手ならば覚悟さえ決めれば何とかできるらしい。

 近衛騎士たちにも彼らのフォローを頼み、私は各国王がいる中央付近へと向かう。


「皆さん覚悟はいいですね」


「う、うむ。まさかここまで強化兵が来ようとは……」


「ライオネル兵はこうならないために助っ人に来たのではなかったのか!」


「あんたの国軍が足引っ張ったって聞いてるぞ?」


「なんだと!?」


「はいはい、そういう誰の失態かは戦いが終ってからでも出来るでしょう。まずは全員生き残る。兵士たちも冒険者も、他の力ある人たちもすでに出張った後。残った我々は死なないために抗わなければ奴らに蹂躙されます。覚悟を決めてください各国の王たち。私ももう、覚悟は決めました」


「リーマス王……ああ。分かっている。ここまでくればもう、やるしかないのだな」


「儂は戦う術は持たぬ。パワーレベリングとやらも受けなかったのだが……」


「私もだ」


「レベルがない場合は相手の攻撃が掠っただけでも死ぬ可能性があります。中央にいる子供たちと身を固めておいてください。王族だからと安全が確保できるとは思わないでください。レベルを上げなかったのは自業自得なのですから」


「うぐ……」


 しかし、酷い有様だ。

 国としての機能が次々に破壊されている。

 兵士たちは忸怩たる思いだろう。

 守るべき背後に攻め込まれ、いいように蹂躙されているのだ。

 血涙流して駆けつけたい思いを必死にこらえ、自分たちが受け持つ巨大型以上を戦うしかないんだろう。

 だから、彼らが駆け付けるまでの時間だけでいい。耐え切る。

 市民たち自身の力で大切な人々を守り切るしかないんだ。

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