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1878/1986

1863話、ローディアルア、後悔先に立たず

SIDE:ローディアルア


 私は不幸だ。

 せっかく転生したのにクソみたいな人生だ。

 生まれた家は最悪だったし、親ガチャも失敗した。

 暴力を振るう父と児童虐待してくる母。

 父が母を殴り、たまったうっぷんで母が私や兄を虐待するのだ。


 兄は2歳まで生存できた。

 でも母の怒りが溜まり過ぎたことで汚物用の壺に顔を突っ込まされて死んだ。

 最悪の死に様だった。


 父が長男殺してどうすんだって母を殴りまくったおかげで私への憂さ晴らしは少し少なくなったが、いつ兄のように殺されるか、戦々恐々だった。

 だから歩けるようになった瞬間から保身に走り、2歳になる前に家を出た。

 ふらっと遊びに出たように見せかけて逃げたのだ。


 その後は浮浪児生活。

 食事はさすがに残飯漁りなんてしたくなかったから物乞いでなんとか食いつないだ。

 そうしているうちに貴族の頭の悪そうな妻を見つけて売り込み、私を養子にさせたのだ。

 貴族生活もなかなかに面倒だった。

 しかもやっとの思いで貴族として成り上がれる、と思った矢先に不正発覚で貴族から平民に落とされた。

 またも親ガチャ失敗だ。


 そんな感じで悲惨な人生をなんとか自分の能力でやりくりして、第三の聖女となった。

 本当ならもっと早く頭角を現してアルマティエを追放しての真なる聖女に成りたかったのだけど、私がそうなる前にサクリファと最高司祭がやってしまったのだ。いや、サクリファもまた被害者か。

 ともかく、アルマティエを追放した彼らをさらに追放して、ようやく私はアルカエスオロゥの掌握が叶ったのである。

 叶った、はずだった。


 何でこうなった?

 何が悪かった?

 奪った当初から国は三分割されてしまい、私の派閥だけでなくサクリファ派閥、アルマティエ派閥の信者たちが戦争を繰り広げたせいで国が退廃。

 さらにアルマティエが逃げる際に奇跡を連発したせいでこの国は聖女を追い出し神の逆鱗に触れたとかで私が偽聖女扱いされたのである。

 ほんッと冗談じゃない。


 それでもなんとか国を立て直すため、サクリファを偽聖女として処罰しようとしたら、アルマティエが彼女を助けてしまった。

 しかもサクリファまで聖女と認定しやがったのだ。

 おかげで私は二人の聖女を追い出して居座った偽聖女として暗殺に怯える日々。


 なんとかアルケーニスを味方につけて国を掌握したまではよかった。

 本当に長かった。

 長かったから、きっと緩んでしまったんだろう。


 最後の選択を、誤った。

 男性神からの通告で神と敵対せずにいたいならマギアクロフトに降れ、と言われたのだ。

 国の臣民はほとんどが双神教信者。つまり男性神の言葉に即座に呼応し、マギアクロフトに降りましょう、と言ってきたのである。


 私以外全員だ。

 これではさすがに嫌とは言えない。

 正直男性神の言葉は信用できなかったが、ここで私は国の代表として決断してしまったのだ。

 どうせ最悪ならアルケーニス使って逃げられるでしょ。そう思って気楽に決断した。

 その瞬間、アルケーニスはアルカエスオロゥから即時撤退した。

 私の目論見は一瞬で消えた。


 後はもう逃げ場のない国で臣民共々マギアクロフトからの使徒を迎え入れ。彼らに強制連行されてマギアクロフトへ。

 地下に連れてこられて戸惑う信者たち。その前方に見えた培養槽に私は選択肢を間違えたことにようやく気付いた。


 どうにか逃げられる。そんな気楽な思いは消し飛んだ。

 逃げなきゃ。そう思いながらも逃げられない。

 すでに敵陣真っただ中でマギアクロフト強化兵に囲まれた私たちアルカエスオロゥの国民は、全て、全員揃って強化されたのである。


 ああ。だから……


 だから……――――


「ぬっはぁー。でっかいな! キリハだったな、見るがいい、でっかいぞ! これが超巨大強化兵や!」


「はいはい、おっきいおっきい。コーネリアさん、無茶して死なないでくださいよ」


 タスケテ。

 オネガイ、ワタシヲ、コンナミニクイカラダカラ、カイホウシテ――――


 気付いた時は、ここにいた。

 ナゲキノカルマ侵略軍として、私は超巨大強化兵としてナゲキノカルマを襲撃していたのだ。

 もはやこの体は止まらない。

 私の思考を無視して、私の思考のスペックを持ってナゲキノカルマを消し炭に替えようと近づいていく。


 どれだけ助けを求めても、口から出るのはバケモノの咆哮。

 痛みに叫び、回復する気持ち悪さに嘆き、殺してしまう誰かに懺悔し、それでも体が止まらない。

 醜く肥大し、女性であった名残すら見当たらなくなってしまった強化兵としてだけの機能しかないその体で、私は叫ぶ。

 

 タスケテ、ダレカ。

 ダレデモイイカラ、ワタシヲスクッテ――――


 だけど、痛い。

 凄く痛い、さっさと殺してくれればいいのに、何度も何度も斬って斬って斬って斬って、その程度じゃ死なないの。痛いのはもう嫌なの!

 もう、いい。もういいっ、お前らなんか、私を救ってもくれず、痛みしか与えてこないナゲキノカルマの人民なんか、まとめて死んでしまえ。

 そうよ。あの国を、あの国をさっさと破壊してしまえばこいつらは私を傷つけようと思わなくなるはず。壊そう。さっさと壊そう。痛いのを我慢して、壊すことを優先しよう!

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降伏した国の民は『材料』にされてましたか……やはりと言うか何と言うか。
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