1859話、バンディッシュ、親竜共和国防衛線5
SIDE:バンディッシュ
正直な話を言えば、キツい。
ルギアス王が許可したおかげで冒険者たちが参戦してくれたが、それでもまだまだ敵の攻勢が激しい。
大型の数が多いせいでライオネル兵もベテラン冒険者も手一杯になりつつある。
結局元の木阿弥だ。
中型と小型が他国の兵や判断の甘い冒険者などで対応せざるを得ず、かなりの損失が出ている。
そのほとんどは霊薬で何とかなる程度だが、このまま続ければ死者がシャレにならなくなるだろう。
今でもそれなりに出ているんだ。霊薬使ってもどうしようもねぇくらいに即死だった奴とかな。
出来るなら、もっと増援が欲しい。
だが、増援の気配はない。というかそもそも各地の配置は最大戦力になってるはずだ。これ以上人類側には増援できる存在がいないはずである。
いや、お嬢たちなら二重三重の作戦を用意してるかもしれんが、俺の把握してる限りじゃ……
そういやあいつらどっか増援来てるか?
なんだっけ、あの木の奴ら。
あいつらの実力は俺たちと同等のはずだ、十体もいれば今の戦況を好転できる。
いや、今ここにいない奴らを求めても仕方ァねぇか。
「バンディッシュ総大将、敵影さらに増! 大型への対処が間に合いません!」
「巨大型に割いてるライオネル兵を一人づつ引き抜いて当たれ!」
「ですが、それだとライオネル兵にも死者が……」
「いいか伝令兵! 俺らは何のための兵だ? 国を守る為の兵だ、守るべきは己の命より大切なモンなんだよっ! 全軍覚悟を決めろ! この先はライオネル兵だって死を覚悟して戦う総力戦だ! 冒険者にまでケツ持って貰って負けたままでいいのか連合軍! 気合入れろ! 震える足で立ちやがれ!」
あー、ックソ。これだけの戦力備えて、俺らも必死に訓練して来たってのによ、負け戦なんてあり得るか!?
冗談じゃねぇ。冗談じゃねぇよ!
俺らが血反吐吐いて訓練してきたのは奴らに蹂躙されるためじゃねぇんだぞ!
守りたいモノを守る為に立ち上がったのに力及ばず負けましたなんて、そんな終わり方ってあるかよ!
すでに俺だって戦場で超巨大型相手に戦ってる、余ってる戦力はねぇのに敵の後続はひっきりなしに来やがる。
中型と小型だけならまだ何とかなるのだ。
大型以上はもう要らねぇんだよ!!
「き、北軍崩壊!」
「嘘だろ!?」
「冒険者がかろうじて持ちこたえてますが、これ以上は……」
「おいバンディッシュのおっさん、パルパルたちを北の防衛に送るぞ。エゼリアの嬢ちゃんたちとパルパルだけでもかなりの戦力になんだろ!」
「ザントベルグ、そりゃありがたいが、彼女らが抜けても大丈夫なのか?」
「ヒューマとカズキサイトー、あとアントニオに奮闘して貰うさ。んじゃ、指示だしてくっぜ」
巨大強化兵を撃破したタイミングで近くにやって来たザントベルグからの申し出に感謝しつつ、目の前の敵を撃破すべく動き続ける。
ったく、巨大な敵と戦いながら周囲に指示出しして国の防衛にまで意識を割けとか無茶振りが過ぎんだろ。
「バンディッシュ!」
「ンだよバルガス!」
「西が崩れた!」
「だあぁぁ! せっかく北が何とかなりそうなのにっ!」
どーすんだよ!
もう冒険者も打ち止めだぜ。
これ以上戦力は……
「で、伝令! 西側は任されたし、とのことです」
「はぁ? 誰が任せろって!」
「そ、それが……ルギアス王が出る、と」
国王自ら出陣してどーすんだ!
ああクソ、でもそうまでしねぇと守れねぇよな?
「気張れライオネル! テメェらが倒せば倒しただけ敵の猛攻が弱まるんだ!」
つってもこの超巨大強化兵マジで再生力高すぎんだろ。
どんだけ回復させてんだよ、あと回復しながら攻撃してくるとかタイミング難しいし、腕とか切ったらそのまま攻撃してくるせいで下手に切り離しもできねぇとか、っとぉ。指だけ切っても飛びかかってくんのかよ!?
「バンディッシュ総大将、超巨大型の口に何かが!」
「お、おい、ぜ、全員退避!!」
次の瞬間、超巨大型の口から一直線に光の筋が放出された。
それは親竜共和国の町壁を両断し、地面を黒く焦がしていく。
「うっそだろ?」
「はは、町壁が紙のようだ……」
「っ! 町壁城壁上部組生存連絡!」
どうやら事前に察知したおかげで死者はいないらしい。
ただ、今ので北側から南に掛けて、町壁に縦の穴が開いてしまった。
「民間人に死者は!」
―― 国内にいる冒険者っす、城の方は射線外れてました。それで、あの、俺の真後ろにいた冒険者が数名消し飛びました、何すか今の! ――
クソ、やっぱ犠牲者いるじゃねぇか。
避難済みの民間人たちも安全とは言い難いぞこりゃ。
城内に逃げ込んでる民間人に被害が及ぶ前に超巨大型を撃破しねぇと……




