1652話、ロゼッタ、経営補助、補助なんだよ?
会議室にやってくると、三人揃ってぼーっと突っ立っていた。
先に椅子でも置いとくんだったな。失敗失敗。
ささっと人数分の椅子と丸テーブルを取り出し、ついでにホワイトボードとペンを設置。
んじゃま経営会議をしましょうか。
プレゼンはちゃんと考えてきたんだよ?
「それじゃ、まずは状況確認しましょうか」
「では、こちらを。今の孤児院の現状纏めてみました」
「お、やるじゃんテテちゃん。どれどれー」
私は受け取った羊皮紙を読み込んでいく。
なるほどねー。
子供なりにまとめられた良い報告書だ。
問題としては経営者目線の報告書じゃないことだろう。
まぁその辺りは教えてないので仕方ないんだよ。
「ロゼッタ神様、こちらも合わせてどうぞ」
「あいよ」
下っ端君も纏めてくれていたようだ。
こっちも経営者としては及第点だ。
しかし欲しい情報はある程度手に入った。
どこそこの貴族がどの子を狙ってるとかも分かってやりやすくなったね。
一応ベルングシュタット領に住んでいる騎士爵や男爵なんだけど、クソ野郎はいるんだよなぁ、なんとも恥ずかしい話だ。
とはいえ、個人的趣味を真っ向から否定する訳にもいかない訳で、幼女好きとか幼男好きとか私としては処刑でいいかなとは思うんだけど、貴族になると変態嗜好に目覚めやすくなるらしい。
こればっかりは暇になり過ぎて頭おかしくなった、あるいはやりたいことやり終えたから普段やらないことにハマりたい症候群なのかもしれない。
「あ、あの、こちらも、提出すべき、でしょうか?」
それだよそれ! 経営に関する書類、一番必須!
「見ても?」
「えぇと、テテさん、これはこの孤児院のとても大切な書類なの、部外者に見せちゃいけないんだけど……」
「どうぞロゼッタ様。それを見て忌憚無い意見をお願いします」
では一読。
なるほどねー。
結構持ち直し始めてるじゃん。二人ともよくやれてる。
ただ、各貴族への挨拶回りに金使いすぎかな。
「元院長さん、この挨拶回りのお品書きは貴女が?」
「は、はい、今までの慣習ですので、お持ちしないと資金提供を止めるという方もいらっしゃいますので」
「ほほぅ、どこの貴族か教えて貰えて? あ、テテちゃん。いや、下っ端君。悪いんだけど紋章師にウチの紋章を孤児院に刻むよう発注お願い」
「えう!? 紋章師!?」
あ、これは知らない感じだね。
「仕方ない。テテちゃん、下っ端君。この会議終わったら紋章師のところ行くから頼み方を覚えておくように」
それから、こいつとこいつとこいつは潰していいな。
「元院長さん。この三人以外にブラックリスト載せとくべき貴族は居る?」
「ぶらっく?」
「要するにまともに相手したらこちらの不利益になることを強要してくる奴のこと」
「で、でしたら、こちらと、こちら。あとこの方も、でしょうか。特にこちらの方はとある子にご執心で、ぜひ引き取りたいと言ってくるのですが、最近は引き取れないなら寄付を止める、と。かなり多く寄付していただいているので断るに断れず、今は子供の方が他のこと一緒に居たいと言ってくれているので断れているのですが……」
「うん、じゃあ思い切って切っちゃって。こいつの寄付はこの金額でしょ。ポケットマネー出しとくから問題ないよね?」
「さすがロゼッタ神様!」
「それからこことここ、あとこいつとの契約も切っていいかな。武力行使されても今のテテちゃんなら鎮圧できるし」
「えぅ、荒事ですか」
「まぁ私兵団の方もこの近辺多めに警邏するようお願いしておくんだよ」
そもそも、ベルングシュタット家の紋章効果で下手なことできなくなると思うんだけどね。阿呆がやらかした場合は一族郎党取り潰しだし。
「不正な資金の流れもないし、畑の収穫も問題無し。少年君が冒険者になって稼いでるみたいだけど、この収入は孤児院の資金に計上していいの?」
「本人からは資金の足しにしてくれ、と言われています」
「いい子だねぇ。まぁ本人納得済みならいいか。あとは……経営手法だね。じゃあ今から統計学や家計簿の付け方、住民税に関して、と説明をしていこうか」
それからしばらく皆で勉強会。
経営に関してしっかりと教えさせていただいた。
基本は断るモノはきっぱり断る。
ウチが関わるんだから他の寄付が一切なくなっても今後百年不自由なく暮らせるんだよ。
「こ、こんな見やすくなるなんて……」
「ロゼッタシンサマカワイイヤッター」
「断る勇気、私に必要なのは断る勇気っ」
三者三様。私の言葉を聞いて思うところがあったようで、しばし一人きりで考え始める三人。
その間に私は今後の経営方針をホワイトボードに書き出しておく。
ん、まぁこんな感じにしとけば末永く経営できるかな。




