1651話、テテ、新しい孤児院
SIDE:テテ
孤児院が生えた。その次には広場に遊具が生えた。ついでに池が生えた。
何を言ってるかわからないって? 私も意味が分かりません。
魔法って、凄いなぁ。
私たちはただただ茫然と、新しく生まれていくブランコやら鉄棒あらためタングステン棒やらを見つめていた。
楽しそうな遊び場になってるけど、ついさっきまで広場だったことを考えると、意味不明な状況だ。
たった一瞬でこんな遊具施設になるなんて誰が想像できただろう。
「一応、遊具から落ちたら子供に怪我とか死亡もあり得るから、遊んでる子供たちから目を離さないようにね。可能ならもう少し対応できる大人を引き入れた方がいいんだよ」
「ぐ、具体的に何人くらいが理想でしょうか?」
「子供二人に付き一人くらい、かな。それ以上だと見落とす可能性が高いと思うんだよ。さすがにそれだけのメンバーは雇えないとは思うんだけど。年長者がしっかり見るようにしておけば子供同士でもある程度は見れるでしょ?」
「な、なるほど……」
「あと池は浅くしてあるけど落ちないよう気を付けてね。子供って声を出さずに沈むことが多いらしいから」
「き、肝に銘じます」
「んじゃ、私は内装整えてくるんだよ。終わったらまたテテちゃんたちと会議再開ね。場所わからなかったらカウンター裏の案内図を見るんだよ。んじゃ、会議室で会いましょう」
と、ロゼッタ様が孤児院内へと入っていく。
孤児院が、かなり広くなっちゃった。というか、全体的に白くて綺麗な施設になった。
今までの雨漏りが心配なおんぼろ施設じゃなくなったのはありがたいけど……
「うわ、広れぇー!?」
「わーっ」
「探検しようぜ探検!」
「私お風呂見たーい!」
子供たちが我先にと孤児院へ走っていく。
ちょ、これ拙いよ。さっきロゼッタ様が子供見とけって言ったばっかりだよ!?
「し、シスターさんたちも子供たちの後追ってください!」
「あ、そ、そうね!」
「皆待ちなさーいっ」
「怪我しちゃだめよーっ」
そして、元院長と気絶したままの下っ端さん。そして私だけがこの場に残される。
えーっと、どうします?
「ひ、ひとまず先ほどの場所、があるかわかりませんが、会議室に向かっておきましょう」
「そ、そうですね」
私はひょいっと下っ端さんを持ち上げる。
私の体が彼を持ち上げるには真上に両手で抱え上げるしかない。そうじゃないと地面に付いちゃうし。
「お、重くないんですか?」
「レベリングしたからこのくらいの体重は持ち上がりますよ。さっさと行きましょう」
元院長さんと一緒に会議室に向かう。
子供たちはちょっと心配だけど、まぁあの少年君もいるし大丈夫でしょ。
入り口に入ると、いつものような入り口じゃなかった。
少し広めの広場と入り口から対面の場所にカウンター。
受付が出来るような設備になっていて少年少女の一部が興味深そうに探索中だった。
「これはまた……ギルドみたいな施設だな」
あ、下っ端さん起きた?
声が上から降ってきたので下っ端さんを降ろす。
「ギルドの施設?」
「エントランスっつーかフロントっつーか。高級旅館とかがこんな感じの入り口してんだ。天井から下がってる案内板見てみ」
「うわ、ほんとだ。案内板がある。へー。こっちに行くと皆のお部屋があるんだ」
「子供の部屋だから襲撃とかを防ぐために内側にあるみたいだな」
「ロゼッタ様考えてるなぁ。というかこの屋敷、まさかロゼッタ様の頭の中に建築地図とか入ってたのかな?」
「じゃねぇとここまで正確に作れねぇだろ。さすがロゼッタ神様だぜ」
いろいろ見てみたい気はするけれど、えーっと。あ。カウンター裏にスタッフオンリーとか書かれた部屋があったんだけど、そこに館内地図が書かれた絵が壁に掛けられていた。
一階と二階の図があるけど会議室は……あった、二階だ。
「こりゃすげぇ。今ある教会より広いな。俺もここ住みたくなってくるぜ」
「止めてください、危険人物のたまり場になってしまいます」
下っ端さん顔が怖いからなぁ。
私もだいぶ慣れたけど、まだ「あ゛?」とか言われると怖いもん。
会議室の場所を確認できたので、私たちはそちらへと向かう。
階段を上がる時もちょっとびっくり。すぐ隣に手すりが設置されてる。
階段に手すりなんて初めて見たよ。でも確かに触りながら上がるのちょっと安全だよね。
部屋に辿り着くと、伽藍堂の部屋が待っていた。
ここ、何もないよ? 椅子すらないんだけど?
「ま、そうなるよな。ロゼッタ神様まだこの部屋来てねぇんだろ」
「あ、そっか」
新しく作ったばっかりだから何もないのは当然だった。
仕方ないので三人揃って何もない部屋の中でぼーっと突っ立っておく。
たまに室内をうろうろするけど、何もないとやることもないから困るよね?




