1648話、ロゼッタ、夜間部隊育成計画
「ぎゃあぁ!? 足攣った足ぃ」
夜間部隊が死屍累々だ。
訓練を私からベルングシュタット私兵団にお任せしたら、大勢が怪我した。
うん、足攣るのが多かったけど怪我と言えば怪我なんだよ。
こりゃダメだ。という訳で、ヒーリングサークルで怪我を治させて貰う。
「正直このままだと訓練になりません。ちょっとこの状況であそこに行くと勘違いしちゃう人出てきそうではあるけど、四の五の言ってるよりやるしかないわ。という訳で、本日昼部隊より先行して夜間部隊は強制レベリングを行おうと思います」
皆を集めて方針転換のご報告。
皆なんだそりゃ? と小首をかしげている。
「皆さんステータスは見たことある? 自分のステータス。生まれて一度は見たことあると思うのだけど」
言われ、一部おっちゃんたちがステータスを確認する。
普通に見ただけだと自分しか見えないので虚空見つめてる変な集団が完成する。
「じゃあステータス見たことない人はステータス表示、と念じてみて。自分のステータス画面が表示されるから。出ない人は手を挙げてねー」
しばらく待って、全員がステータスを開けたことを確認する。
「ステータス欄にレベルが書かれてる欄があると思う、大体が一桁ではないだろうか?」
俺二桁あります。とかそういう報告はどうでもいいんだよ。
「これから行う強制レベリングはこのレベルを強制的に引き上げる訓練です。パワーレベリングといいますが、これを行う場合、反動で全身にレベルアップ痛という激痛が走ります。場合によってはおしっこや大きい方を漏らす方も出てしまいます。なので今回は立候補制にしたいと思います。覚悟が決まった方は私の周りに集まって。今まで通りレベルアップはせず訓練を行いたい方はキーリの傍に寄って」
お、肉屋のおっちゃん一番乗りだ。
「まぁ激痛に関しては近所のばあちゃんが教えてくれたからな。覚悟は出来てる。えーっとなんかオムツとかいうのするんだよな?」
「オムツをするかどうかは個人にお任せしてるんだよ。これは漏らしてもズボンなどを濡らさないための装着具なので漏らさなくなるわけではないの。だから漏らさない自信があるならそのままでも構わないわよ」
「いや、ください、多分無理そうだし」
レベリング済みお婆さんに教わったのだろうからどれほどの激痛かは理解してるんだろう。
彼がかなり覚悟を決めてるのを知り、他のメンバーも立候補した人は全員オムツを所望した。
ふむ。おば様連中は今回は様子見らしい。
ま、それも仕方ないよね。あ。性格大人しいオバサンが代表して受けることになったっぽい。
多分力関係的にノーと言えないオバサンなんだろう。可哀想に。
まぁ実力的力関係が一気に変わるから今後どうなるか不明だけど。
よし、夜勤部隊のレベリング参加者はこんだけか。大体半分だね。
んじゃキーリ、私兵団の皆さん、そっちはお任せするんだよ。
転移ー。
っと、邪神洞窟最下層に転移した私たちは早速一段上がってレベリングを開始する。
まずは結界を張って、はい、土魔法で遮蔽所作ったからここで着替えちゃって。一回十人ずつくらいは入れるからあわてずゆっくりね。
「ほーあちゃぁ!」
うん? あ。おじいちゃんとおばあちゃんがレベリング中だったか。
ミノタウロスさんたち相手に徒手空拳で激闘を繰り広げているのは昼の部隊で訓練していたジジババ連中。皆でピクニック行くような感覚で最下層一歩手前で格闘訓練してるらしい。
ま、怪我がないようなら問題無し。ミノさんたちが大量に死滅してるけど、まぁ問題はあるまい。
「な、なんだありゃぁ。ババァが壁走ってる!?」
「爺さんの蹴りであの化け物が即死してんだが……」
「なぁにこれぇ」
「はいはい、昼の部隊ですでにレベリング受けてるご老人たちだから気にしないで。ほら、着替えた着替えた」
皆がおむつを装着するのを待って、遮蔽物をトイレとシャワールームに変更。
「では結界前にやってきたこのミノくんに一人一回、軽くでいいので攻撃を当ててください。武器の先っぽが触れるくらいでもいいですよ」
次々に恐る恐る腰の引けた攻撃を当てていく。
曲がりなりにもミノさん顔が怖いし吠えたら恐ろしいもんなぁ。
魔物だから下手に攻撃喰らったら即死もあり得る、だから皆戦々恐々、言われたとおりにちょんっとだけ攻撃というかおさわりして逃げるように距離を取る。
よし、全員攻撃したね。
準備は完了。
「お、ロゼッタの嬢ちゃん、コレ貰ってええんか?」
「ええ。全員攻撃済みなのでどうぞー」
「そいや!」
私が倒そうかと思ったんだけど、お爺さんの一人が近づいてきて倒していいかと聞いて来たので了承しておいた。
今更ミノさん倒したところで私のレベルは上がらないからね。お爺さんにお渡ししておこう。
さぁ、絶叫の祭典始まり始まりー。




