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1644話、ロゼッタ、人生の分岐点

「全員整列!」


 本日、ついに訓練を始めて一週間が終った。

 接待期間は終わりをつげた。

 ここからはロゼッタ式訓練を徹底的に叩き込む。


 町の戦うお兄さんお姉さんから歴戦の戦士へと変わって貰う。

 そのための知識も基礎体力も手に入れて貰ったはずだ。

 あとはレベリングと基本戦術、その他もろもろ、騎士団としてふさわしい精神性を学んでもらう。


「さて、本日で一週間が経った。皆、訓練開始より七日で随分と見違えたんじゃないか?」


 最初の頃はまとまりもない烏合の衆だった彼らも、私の号令一つでしっかりと集まってきている。

 これだけでも軍としては十分な訓練成果だろう。

 まぁ戦力自体は雀の涙だし、多少のダメージ食らっただけで瓦解する程度の士気なんだけどね。

 戦う覚悟が完了してないから彼らはちょっとの恐怖で戦闘不能になってしまう。

 

「本日は前にも言ったが選択の日だ。お前たちの人生を変える日でもある」


 皆、今日まで必死に考えたのか、浮かない顔もちらほらいる。


「基礎的な知識を身に着けてもらった、これは騎士を目指すことを諦めた者へのはなむけでもある。遠慮はいらない。呵責も不要。己の目指す未来をしっかりと考えた末の結論だ。誰もお前を責める権利はない。顔を上げ、決意を秘め、歩みだせ。目指すべき道が決まったモノは今より去れ。理由を述べる意味はない。覚悟は既に決まっているだろう? ならばただ、踵を返し去ればいい。私は君を応援しよう。その決断に、幸あれ」


 騎士団員として残るメンバーは何の話? と小首をかしげている者もいる。

 しかし、辞める決断をした数人は、その場で拳を握り、涙を流す。

 驚く周囲には目もくれず、涙をぬぐって踵を返す。


 たった一週間。しかしすでに給金は手渡しで渡してある。

 ゆえに資金は出来た。

 知識もある。

 やりたいことがあって、お金や知識がなかったからあきらめていた者が、夢の為に巣立っていく。

 彼らは騎士団になりたくて来たわけじゃない。お金払いがよく、知識も身に着くと知ったから、何かを守りたい以外の理由で仕方なく入隊した者たちだ。


「あ、あれ? シュクネ、お姉さん?」


「あ、はは、ごめんねテテちゃん。私、就職したかったんだ。でも知識も計算力もなくてさ。ごめん。応援してる」


 また一人、夢に向かって踵を返す。

 テテちゃん、なんか知り合いどんどんいなくなってくな。

 少し悲しそうにしながらも、しかし目的が見定まっているようで、前を向き直るテテちゃん。

 心、強いなぁ。


「泣くなよ。俺はいなくなったりしねぇし」


 同じ孤児院にいた少年が隣からテテちゃんへと告げている。

 ありがと、と告げるテテちゃんだけど、残念。少年の秘めた思いが伝わってない。

 あーもう、もどかしいなぁ。少年がもうちょっと大人な思考回路さえ持ってれば……


「さて、仲のいい誰かが去っていくのは辛いかもしれない、でも彼らには彼らの選んだ道がある。むしろ祝福してやるといい。選ぶべき道を選べた同胞を」


 そして……


「これよりロゼッタ騎士団、真なる訓練を開始する。覚悟はいいかヒヨッコ共。お前たちはこれから苦難の連続を味わうことだろう。逃げ出したくなる時もある、辞めたくなるときもある。その時、一欠けらだけでいい。自分の背後に守りたいモノを思い浮かべてほしい」


 空気が変わった。

 皆、今までのお遊び的な雰囲気が消え始めた。


「まずは点呼の仕方を覚えて貰う。今回は代表者は一番前にいる者。明日からは各チームで持ち回りのリーダーを決め、その者を上司として扱い訓練に挑め。点呼開始!」


 唐突に点呼開始を告げる。

 困惑する騎士団員をしり目に数字を声として張り上げる男たちの掛け声が六つ。


「ベルングシュタット私兵団全六名確認完了!」


 そう言いながら、私たちの元へとやってくる私兵部隊六名。

 ちょと強面を選ばして貰ったのはこの先に使わせて貰うためである。


「え? え? 私兵団?」


「ベルングシュタット家、直属の?」


「このように、点呼として人数確認を行う。常々自分のグループの総人数と仲間の顔を覚えておくように」


 高台で告げる私の前へとやってきた私兵団が騎士団員たちへと向きを変え、休め、の体勢で佇む。


「本日、お前たちの訓練を手伝うこととなったベルングシュタット私兵団である! お前たちは民間人ではあった。しかし今より騎士を目指す。ゆえに今まで通りの精神ではいられない。軍として部隊として、立派な軍人となって貰う。先ほど我々がやったようにやればいい。点呼、開始!」


 弾かれるように点呼を行い始める騎士団員。老人たちが一番早かったな。さすが年の功。


「お嬢、本当によろしいのですね?」


「ええ。よろしく」


 今回の訓練は一気にレベルアップする。

 今までのお遊戯みたいな訓練とは比較にならない程だ。

 正直、老人や子供にやらせるような訓練じゃないだろう。

 それでも、レベリング済みなので彼らもちゃんと付いていけている。


 むしろ若者や中年の方がひぃひぃ言っているくらいだ。

 うん、これで思考のヤバい奴とかヘタレを暴き出して、後はレベリングだな、今日は。

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